本当は貴方に興味なかったので断罪は謹んでお断り致します。

B介

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攻略対象者の方々失礼します。

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芳子さん。僕はどうしたら良いのだろうか…。
今、会うべきでは無い方々とお会いしています。できれば現在未来とも会いたくは無かったが、学園では見かける事になるはずだった。決して今じゃない。

「ヴィヴァリアン様、申し訳ございません。早めに着いてしまいまして…。」

「嘘をつくな!噂のプロントの妖精を見に来たんだろ!!お前らが嫌がっている剣術稽古にこんな早く来るはずは無い。」

ヴィヴァリアンはギロッと少年達を睨む。

「バレましたか?…うわ!マジで妖精だ!」

皇子に対してフランクな物言いの少年は現在の騎士団団長の息子、キリウス・アゼルド。藍色の髪に褐色の肌、スカイブルーの瞳が特徴的だ。いずれ、ヴィヴァリアン付きの近衛騎士となる。そして近衛隊隊長だ。

「うわっ綺麗!」
目をキラキラさせながら僕を見ているのが、キリウスの弟のアリウス・アゼルド。カウディリアン付きの近衛騎士となる。僕を断罪した1人だ。牢屋に連れて行かれたっけ。兄と同じ藍色の髪に褐色の肌だが、この若草色の瞳に僕は睨まれたのを忘れない。

確か、2人共攻略対象のはずだ。主人公と関わっていたのを覚えている。

そして、ただジッと見てくる、栗色の髪に意志の強そうな赤い瞳、侯爵家のサリファン・ダンドリー。この人はあまりよく知らないが、同じ歳でカウディリアンのいつも横にいた。無口な印象、侍従者になると言われていた。噂では未来の侍従長らしい。断罪された時の冷徹な雰囲気を覚えている。
もちろん、攻略対象だと思う。

だから僕は、怖くて怖くて兄の身体により密着する。

「お前たち…俺の弟が怯えている。離れてくれ。」

エスティリオは面識がもうあるようで、厳しめな視線を送った。

「そうだぞ!少し離れろ!」
カウディリアンは、エスティリオとネフェリアの前に手を広げて立ちはだかる。

「すまない!噂の妖精はどこにも顔を出さないし、エスティリオにお願いしても会わせてくれないし、王宮に来ていると分かれば会いたくなるじゃないか!」

申し訳なさそうに眉を下げるキリウスに、ヴィヴァリアンは冷たい視線を送る。

「会わせないのはそれ程の理由があるのだ。ネフェリアは男性が怖いから、私達にも最近慣れたのだ、これでまた嫌われたらかなわん。」

「国王様にお会いした時、バロン宰相にお聞きした。ネフェリア、いきなり済まなかった。もし宜しければ俺達と、友として一緒に過ごさせてくれないか?」

お、お友達?
本当に、お友達になれるのかな…。
まだ、怖い…。だけど、今後の事を考えると、嫌われなければ、もしもの時助けてくれる?あんな冷たい目で見ない?

僕を…殺さない?

口から出そうになる一言、不安からか、自然に親指を口に含んでいた。
7歳ではあまり見ない行為だが、それだけ心の傷が深い。

ただ、とっっっても可愛い行為だ。
不安げに潤ませた紫の瞳、小さな赤い唇が可愛らしい小さな指を咥えて少年達を見ている。

ぎゅーーーん!!と少年達の心臓を締め付けた。


守ってやらねば!!

「い、いじめない?」
ネフェリアは、今言える精一杯の一言を確認した。

「絶対いじめない!!」

キリウスは力いっぱい宣言し、アリウスとサリファンもコクコクと頭を激しく縦に振る。

「ん、じゃあ。お友達になって下さい。」

兄に抱っこされながら、ペコッと頭を下げる。

キリウス達はネフェリアの言葉と仕草に自然と頬を緩ませる。
反対に皇子達はギリギリと歯を軋ませた。

その後、一緒にお茶を飲みながら会話を弾ませた。弾んだのは周りだけで、基本ネフェリアは答えていただけだが。

「では、そろそろ剣術の稽古だな。ネフェリアは見学するか?バロン宰相の元へ向かうか?」

ヴィヴァリアンの問いに、見学したいとお願いする。

僕も騎士になりたいし、本当は一緒に練習したいけど…。

チラッと同じ歳のカウディリアンとサリファンを見る。

ネフェリアと比べると遥かに大きくて、自分が一緒に練習したいと言うと、邪魔になる気がした。

剣術の講師は騎士団団長のカリウス・アゼルド。キリウスとアリウスの父だ。

カリウスは、既に集まっていた少年、皇子らに近づくと、目を見開き固まった。

「なっ!よ、妖精がいるぞ!!?」

小柄なせいか、まだ幼児体型でぽちゃんとしつつ、姿勢良い立ち姿でカリウスを見上げるネフェリアに、カリウスは顔を真っ赤にして叫んだ。

よ、妖精!?どこだ!?

ネフェリアは興奮し、キョロキョロと辺りを見渡す。

その様子にため息を吐きつつ、エスティリオはカリウスにお辞儀をする。

「カリウス様、本日急遽、エスティリオも参加させて頂く事になりました。ご教授のほど、宜しくお願い致します。こちらは私の弟、ネフェリアです。決して妖精ではございません。」

エスティリオの言葉に、カリウスはひょいっと、ネフェリアを持ち上げた。

顔の前まで抱き上げ、ジッとネフェリアを見つめる。
あっ、アリウスと同じ若草色の瞳だ。
そんな事をボーッと考えていると、ネフェリアはカリウスに小脇に抱えられた。

「今日の稽古は終わり、じゃあな!」
クルッと踵を返すカリウス。

「待て!待てー!!」

まさかの行動にネフェリアは唖然としていると、ヴィヴァリアンがカリウスから引き剥がしてくれた。

「父上!!何してるんですか!?」
キリウスの怒りの声に、頭を掻くカリウス。

「いや、ついね。だってすごく可愛くないか?!あれだろ?プロントの妖精。もう拝めないかも知れないから、今のうちに捕まえといた方が……。」

「父上!!」
今度はアリウスから怒られるカリウス。

「すまん、すまん。じゃあ、稽古するか?」

まだ硬直しているネフェリアの頭をヴィヴァリアンは優しく撫でてあげた。

「もう、大丈夫だ。彼奴は脳筋なんだ。腕は確かだが、直情型でね。ここで見ていてくれ。」

「…はい。ヴィー様。」

初めてお会いしたカリウスは油断ならない男とネフェリアは認識した。

これは、騎士になるのも安全とは言えないかも知れない。
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