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【286】 ヤークト公爵の青い屋敷
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今日の夜は強い風が吹く。
ナイツさんは金の髪を上品に押さえながらも俺の前に。その右手にはあの聖槍『パルジファル』が握らていた。
「これを使います」
「その神器、今のレベルなら使用できるんですね」
「ええ、Lv.5000となった今なら制限はありません。……ので、捜索スキルも解放されております」
「よろしく頼みます」
お願いするとナイツさんは槍を地面に突き立てた。それを手から緩やかに離し……って、まさか!
槍は『コトン』と地面に落下。
穂先が方角を示した(?)
「この先のようですね」
そんな冷静に断言するナイツさん。
常にクールだから表情が読み取り辛い。ていうか、マジかよ。この槍を倒して導かれるままに歩き続けるって事か。どこかの世界でそんな秘密道具があったような、無かったような。
「本当にこれでヤークト公爵の屋敷を探せるんです?」
「大丈夫です。ルナさん達が連れ去られているのなら、槍が居場所を教えてくれるのです」
「分かりました。行きましょう」
パルジファルをどんどん倒し先へ進んでいく。先頭を行くナイツさんを追いかけ、ひたすら歩いて歩きまくった。
さすがにイルミネイトから距離があるな。
深夜帯独特の冷たい風が頬を突き刺す。少し嫌な空気さえ感じる。そんな不穏な中、ふとモニカちゃんを見ると少し震えていた。
このパーティの中では最年少だし、か弱い少女だ。そうだな、さっき声を掛けて貰った礼もある。俺は上着を脱ぎ、モニカちゃんの肩に掛けた。
「お、おにーさん……?」
「寒いだろ。無理するな」
「……うん、ありがと★」
嬉しそうに微笑み、頬を赤くしていた。どうやら、気に入って貰えたようだな。
気づくとジェネラル氏やプライム、ナイツさんから視線を浴びていた。みんな微笑ましそうにこちらを観察している。……そんな見られても困るんだが。
「カイト殿、気を使って戴き感謝します」
「いや、同じ仲間。協力し合うのは当然です」
少し和やかな感じになって、俺自身の緊張も解れていた。正直、俺はルナ達が連れ去られて心が穏やかではなかった。怒りもあったし、憎しみもあった。悲しみにさえも襲われていた。でも、嘆いていても先へは進めない。
立ち止まっている場合ではない。一刻も早くみんなを助け出すんだ。
帝国の北側。
上流・中流貴族など裕福層が構える『U地区』へ入ろうとしていた。そうだな、公爵なのだからこの地区に住んでいるのは当たり前だろうな。
しかし、ここからが肝心だ。
U地区には多くの貴族が住んでいる。だから、普通に特定するには難易度が高すぎる。だが、今はナイツさんの神器がある。今も尚、槍が居場所を示してくれていた。
「この先のようですね」
ようやくか。あれからずっと歩き続けては休憩したり、仮眠を取ったりした。さすがレッドムーンは広大すぎる。このU地区の到着でさえ一時間以上は掛かっていた。
「ナイツ、そろそろですかな」
疲労感をまったく顔に出さないジェネラル氏は、ナイツさんにそう確認する。一方のナイツさんも変わらず澄まし顔。どっちもレベル上がって余裕あるなあ。
「ええ、槍が一定の方向しか倒れなくなりました。もう直ぐのようです」
この先か。
確かに無駄に広い道が直線に続いている。どうやら見えてきたようだな。
そのまま前進すると『青い屋敷』が視界に入ってきた。あんな大きくて目立つ屋敷、怪しさ満点だ。あの住居こそヤークト公爵の屋敷だろう。
「どうだ、ナイツさん」
「あの青い屋敷で間違いないでしょう」
「決まったな」
距離にしてもうあと僅か。
ようやくここまで辿り着いた。
あの屋敷の中にルナ達が捕らえられているはず。その場所を睨んでいると、しばらく無口だったプライムが口を開く。
「カイトさん、作戦はどうする?」
「作戦、か。そうだな、ただ無策で突入っていうのも馬鹿だしな。なら、そうだな……う~ん……うん、二手に別れるか」
「ほう、面白そうだな。じゃあ、カイトさんにはモニカを貸すよ」
「え? モニカちゃんを?」
「そのモニカはな、本当は低レベルでもそれなりに強いんだよ。でも、レベルが上がって更に強くなっちまった。もうそのパワーは未知数と言っていい」
マジかよ。
この子、そんな強いのか。
恐らく、ガラテイアには及ばないものの、かなりの力を持つというわけかな。それが本当なら心強い。
「了解した。モニカちゃん、俺と来てくれ」
「うん★ おにーさんを守ってあげるね……フフフ★」
あれ~、なんかやっぱり呪いレベルのオーラが漏れ出しているような。この子、どんな力を持っているんだ……?
ナイツさんは金の髪を上品に押さえながらも俺の前に。その右手にはあの聖槍『パルジファル』が握らていた。
「これを使います」
「その神器、今のレベルなら使用できるんですね」
「ええ、Lv.5000となった今なら制限はありません。……ので、捜索スキルも解放されております」
「よろしく頼みます」
お願いするとナイツさんは槍を地面に突き立てた。それを手から緩やかに離し……って、まさか!
槍は『コトン』と地面に落下。
穂先が方角を示した(?)
「この先のようですね」
そんな冷静に断言するナイツさん。
常にクールだから表情が読み取り辛い。ていうか、マジかよ。この槍を倒して導かれるままに歩き続けるって事か。どこかの世界でそんな秘密道具があったような、無かったような。
「本当にこれでヤークト公爵の屋敷を探せるんです?」
「大丈夫です。ルナさん達が連れ去られているのなら、槍が居場所を教えてくれるのです」
「分かりました。行きましょう」
パルジファルをどんどん倒し先へ進んでいく。先頭を行くナイツさんを追いかけ、ひたすら歩いて歩きまくった。
さすがにイルミネイトから距離があるな。
深夜帯独特の冷たい風が頬を突き刺す。少し嫌な空気さえ感じる。そんな不穏な中、ふとモニカちゃんを見ると少し震えていた。
このパーティの中では最年少だし、か弱い少女だ。そうだな、さっき声を掛けて貰った礼もある。俺は上着を脱ぎ、モニカちゃんの肩に掛けた。
「お、おにーさん……?」
「寒いだろ。無理するな」
「……うん、ありがと★」
嬉しそうに微笑み、頬を赤くしていた。どうやら、気に入って貰えたようだな。
気づくとジェネラル氏やプライム、ナイツさんから視線を浴びていた。みんな微笑ましそうにこちらを観察している。……そんな見られても困るんだが。
「カイト殿、気を使って戴き感謝します」
「いや、同じ仲間。協力し合うのは当然です」
少し和やかな感じになって、俺自身の緊張も解れていた。正直、俺はルナ達が連れ去られて心が穏やかではなかった。怒りもあったし、憎しみもあった。悲しみにさえも襲われていた。でも、嘆いていても先へは進めない。
立ち止まっている場合ではない。一刻も早くみんなを助け出すんだ。
帝国の北側。
上流・中流貴族など裕福層が構える『U地区』へ入ろうとしていた。そうだな、公爵なのだからこの地区に住んでいるのは当たり前だろうな。
しかし、ここからが肝心だ。
U地区には多くの貴族が住んでいる。だから、普通に特定するには難易度が高すぎる。だが、今はナイツさんの神器がある。今も尚、槍が居場所を示してくれていた。
「この先のようですね」
ようやくか。あれからずっと歩き続けては休憩したり、仮眠を取ったりした。さすがレッドムーンは広大すぎる。このU地区の到着でさえ一時間以上は掛かっていた。
「ナイツ、そろそろですかな」
疲労感をまったく顔に出さないジェネラル氏は、ナイツさんにそう確認する。一方のナイツさんも変わらず澄まし顔。どっちもレベル上がって余裕あるなあ。
「ええ、槍が一定の方向しか倒れなくなりました。もう直ぐのようです」
この先か。
確かに無駄に広い道が直線に続いている。どうやら見えてきたようだな。
そのまま前進すると『青い屋敷』が視界に入ってきた。あんな大きくて目立つ屋敷、怪しさ満点だ。あの住居こそヤークト公爵の屋敷だろう。
「どうだ、ナイツさん」
「あの青い屋敷で間違いないでしょう」
「決まったな」
距離にしてもうあと僅か。
ようやくここまで辿り着いた。
あの屋敷の中にルナ達が捕らえられているはず。その場所を睨んでいると、しばらく無口だったプライムが口を開く。
「カイトさん、作戦はどうする?」
「作戦、か。そうだな、ただ無策で突入っていうのも馬鹿だしな。なら、そうだな……う~ん……うん、二手に別れるか」
「ほう、面白そうだな。じゃあ、カイトさんにはモニカを貸すよ」
「え? モニカちゃんを?」
「そのモニカはな、本当は低レベルでもそれなりに強いんだよ。でも、レベルが上がって更に強くなっちまった。もうそのパワーは未知数と言っていい」
マジかよ。
この子、そんな強いのか。
恐らく、ガラテイアには及ばないものの、かなりの力を持つというわけかな。それが本当なら心強い。
「了解した。モニカちゃん、俺と来てくれ」
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