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お菓子職人が皇帝に? 謎の人物の素性を追う
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「それで、パティシエさんって?」
俺が聞き返すと、ハヴァマールは慌てながらも話してくれた。
「う、うん。パティシエさんは、もしかしたら……とんでもない人かもしれないのだ」
「とんでもない人?」
「実は底知れぬ力を感じて、もしかして聖戦に相応しい人物なのかもと思ったのだ」
ハヴァマールがそう思うってことは、相当な人物だな、それは。
けど、パティシエってお菓子職人のことだよな。そんな人が戦闘向きとは思えないけどなぁ。
首をかしげているとスコルが捕捉を入れてくれた。
「あの、ラスティさん。あの方には不思議な力があるんです」
「へえ、スコルが感じるくらいなのか。どんな力だ?」
「どんなお菓子でも甘くできる力です!」
「そ……そっち!? いや、それは凄いことだけど」
こうなったら、一度会いに行ってみようかな。
結構気になってきたし、探していた皇帝候補になるかもしれない。
それから、一旦解散となった。
しばらくして不在だったルドミラが帰還した。俺は残しておいたケーキを渡した。
「ほら、ルドミラ。ケーキだ」
「こ、これは! 私の大好物をなぜ御存知で!」
珍しくテンションの高いルドミラ。
まさかの好物に俺も驚いた。
「いや、たまたまだよ。冷やしておいたから食べてくれ」
「ありがとうございます、ラスティくん!」
微笑むルドミラは美して、可愛かった。
俺は思わず見惚れていた。
……ルドミラは、こういう乙女な表情もできるんだな。
「ところで、ルドミラ。聖戦のことなんだけどさ」
「そういえば、ドヴォルザーク帝国で皇帝を決めるイベントが開催されるのですよね」
「そうなんだ。今日、元老院議長の息子・グランツと戦った」
「なッ! あのグランツと!」
どうやら、ルドミラはグランツのことを知っているようだな。
「さすがに面識があったか」
「ええ。彼はドヴォルザーク帝国時代に会っています。というか、告白されたことが何度もあるんですよ」
思い出したくなさそうにルドミラは、気まずそうに言った。
そうだったのかよ。あの男がルドミラに告白を……。
「それは意外だな」
「ですが……私は当時、レオポルド騎士団の騎士団長でしたのでそんな暇もなく、やんわりと断っていました」
そんなことがあったとはな。
「なるほどね。けど、今はそっちよりもパティシエさんの方なんだ」
「パティシエさん?」
「ケーキを作ったお菓子職人の人だ。スコルとハヴァマールが会ってる。今のところ謎が多すぎて素性が分からない」
「そうなのですね。パティシエさん……む、理解しました」
「マジかよ。ルドミラ、そのパティシエさんを知っているんだ」
「有名な方なので。ラスティくんも会えば分かるかと」
「いや、会ったことないし……どうだろう」
「では、明日にでも向かいましょう」
「決まりだな」
明日、そのパティシエのもとを訪ねることにした。百聞は一見に如かず。実際に会ってみれば、その人がどんな人物なのか分かるし。
聖戦に――皇帝に相応しい者かも見極められる。
俺はルドミラと約束を交わし、部屋へ戻った。
自室へ戻るとそこには丁度、俺のベッドで眠るスコルの姿があった。シスター服のままでスヤスヤと……う~ん、寝顔が可愛い。
このまま眺めていたいが、島国ラルゴの管理もある。
冒険者ギルドの様子も気になるし、久しぶりに夜間活動を行うか――!
俺が聞き返すと、ハヴァマールは慌てながらも話してくれた。
「う、うん。パティシエさんは、もしかしたら……とんでもない人かもしれないのだ」
「とんでもない人?」
「実は底知れぬ力を感じて、もしかして聖戦に相応しい人物なのかもと思ったのだ」
ハヴァマールがそう思うってことは、相当な人物だな、それは。
けど、パティシエってお菓子職人のことだよな。そんな人が戦闘向きとは思えないけどなぁ。
首をかしげているとスコルが捕捉を入れてくれた。
「あの、ラスティさん。あの方には不思議な力があるんです」
「へえ、スコルが感じるくらいなのか。どんな力だ?」
「どんなお菓子でも甘くできる力です!」
「そ……そっち!? いや、それは凄いことだけど」
こうなったら、一度会いに行ってみようかな。
結構気になってきたし、探していた皇帝候補になるかもしれない。
それから、一旦解散となった。
しばらくして不在だったルドミラが帰還した。俺は残しておいたケーキを渡した。
「ほら、ルドミラ。ケーキだ」
「こ、これは! 私の大好物をなぜ御存知で!」
珍しくテンションの高いルドミラ。
まさかの好物に俺も驚いた。
「いや、たまたまだよ。冷やしておいたから食べてくれ」
「ありがとうございます、ラスティくん!」
微笑むルドミラは美して、可愛かった。
俺は思わず見惚れていた。
……ルドミラは、こういう乙女な表情もできるんだな。
「ところで、ルドミラ。聖戦のことなんだけどさ」
「そういえば、ドヴォルザーク帝国で皇帝を決めるイベントが開催されるのですよね」
「そうなんだ。今日、元老院議長の息子・グランツと戦った」
「なッ! あのグランツと!」
どうやら、ルドミラはグランツのことを知っているようだな。
「さすがに面識があったか」
「ええ。彼はドヴォルザーク帝国時代に会っています。というか、告白されたことが何度もあるんですよ」
思い出したくなさそうにルドミラは、気まずそうに言った。
そうだったのかよ。あの男がルドミラに告白を……。
「それは意外だな」
「ですが……私は当時、レオポルド騎士団の騎士団長でしたのでそんな暇もなく、やんわりと断っていました」
そんなことがあったとはな。
「なるほどね。けど、今はそっちよりもパティシエさんの方なんだ」
「パティシエさん?」
「ケーキを作ったお菓子職人の人だ。スコルとハヴァマールが会ってる。今のところ謎が多すぎて素性が分からない」
「そうなのですね。パティシエさん……む、理解しました」
「マジかよ。ルドミラ、そのパティシエさんを知っているんだ」
「有名な方なので。ラスティくんも会えば分かるかと」
「いや、会ったことないし……どうだろう」
「では、明日にでも向かいましょう」
「決まりだな」
明日、そのパティシエのもとを訪ねることにした。百聞は一見に如かず。実際に会ってみれば、その人がどんな人物なのか分かるし。
聖戦に――皇帝に相応しい者かも見極められる。
俺はルドミラと約束を交わし、部屋へ戻った。
自室へ戻るとそこには丁度、俺のベッドで眠るスコルの姿があった。シスター服のままでスヤスヤと……う~ん、寝顔が可愛い。
このまま眺めていたいが、島国ラルゴの管理もある。
冒険者ギルドの様子も気になるし、久しぶりに夜間活動を行うか――!
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