闇の錬金術師と三毛猫 ~全種類のポーションが製造可能になったので猫と共にお店でスローライフします~

桜井正宗

文字の大きさ
36 / 43

第36話 アークトゥルス帝国

しおりを挟む
改めて衛兵を買収。
こんな手段は使いたくないが、今は仕方ない。

「――出ていいぞ、爆炎の錬金術師アシャ」

衛兵は牢を開錠してくれた。
おかげで50万ベルも支払ってしまったけど、それだけの価値はある。


「わたくしを出してくれてありがとう、カイリ」
「礼はいいよ。それより、大監獄・イグノラムスへどうやって行けばいい?」
「ここからアークトゥルス帝国までは、距離がありすぎます。なので、テレポートかワープポータルを開くしかないのですよ」


そんな上位職のスキルを使える人は――ああ、いたわ。


「なるほど。じゃあ、スピカに会いに行くか」
「スピカ?」
「ああ、エレクトラ教会の聖職者さんだよ。ついて来てくれ」
「分かりましたわ」


騎士団を出て行き、エレクトラ教会を目指した。


* * *


教会まで辿り着き、俺はさっそく中へ。
さすがにまだ礼拝者が多くいるな。
キョロキョロと探すと、横から声を掛けられた。


「あら、カイリさんではないですか」
「スピカ! いてくれたか」
「ええ。今日は教会のお仕事がありましたから。……あら、なんだか高貴な女性を連れているのですね」

アシャの存在に気づき、スピカは目を白黒させた。

「爆炎の錬金術師アシャだよ」
「え! カイリさんが倒したという……なぜ?」
「説明すると色々あるんだけど、話すよ」


俺は火事に遭ったこと、放火した犯人が元ギルドマスターであること、ベケットを大監獄・イグノラムスへ収監したいことを話した。


「そうだったのですね。ご両親も行方不明なのですね」
「ああ、ベケットを処理したら父さんと母さんを探す」
「分かりました。私の方でも何か分かったらお知らせしますね」

「頼む」

「では、アークトゥルス帝国へ行きたいのですね」
「そうだ。金は払う」
「銀貨一枚となります。お支払いいただいたお金は孤児の為に使われますので、ご安心ください」

それは素晴らしいことだ。
そうか、スピカは恵まれない子供たちの為に頑張っているんだな。俺は銀貨を支払った。

「これで頼む」
「確かに受け取りました。では、アークトゥルス帝国へ参りますので、カイリ様……手を」

「あ、ああ……」


ぎゅっと手を握られ、俺は動揺する。
スピカほど美人からそうされると緊張するなぁ……。浮かれていると、ヴァルハラが肉球の柔らかいところでペチペチ叩いてきた。


「カイリさん!!」
「な、なんだよ。怖いな」
「鼻の下伸びてます」
「し、仕方ないだろ。スピカは美人なんだから……」
「むぅぅ……一緒にお風呂に入ったのにぃ」

「そ、それを言うな!」


一応コソコソ話なので、スピカとアシャには聞こえないはずだ。ていうか、ヴァルハラはなんて怒っているんだ!?
いつもそんな機嫌が悪くなるなんてないのに。

とにかく、ヴァルハラは肉球を。
アシャは俺の肩に手を置いた。

どうやら、術者を軸にさえしていれば良いらしい。


スピカはスキルを発動。


「開始します! テレポート!!」


ついに転移を開始した。


* * *


【アークトゥルス帝国】


目を開けたら、そこは『アークトゥルス帝国』だった。
一瞬で到着したんだ。


「こ、ここが帝国か。初めて来た」


頑丈な壁でどこまでも続き、全ての建物が高く感じる。なんだこりゃ、果てはあるのか?

「到着です。カイリ様、帰りはどうなさいますか?」
「帰りは何とかするよ」
「分かりました。もし必要であればアステリズム教会を頼ってください」
「ありがとう、スピカ」


スピカは再びテレポートして戻った。


「ふぅん、まさか教会の人間と親しいとはね」
「なんだ、アシャ。そんな意外だったか?」
「まあね。というか……いえ、なんでもないわ」
「うん?」

よく分からないが、まあいいか。
それよりも大監獄だ。


「久しぶりに帰ってきたけれど、変わらないわね。そう思うでしょう、ヴァルハラ」


アシャがヴァルハラに話を振った。
無論、ヴァルハラは嫌そうにしていた。シッポが不満そうだ。


「……生まれ故郷ではありますが、特に思うところはありません」
「そう、残念。さて、大監獄・イグノラムスよね。う~ん……では、知り合いの貴族を頼りましょうか」

くるっときびすを返すアシャは、どこかへ歩き出す。

「どこへ行くつもりだ、アシャ」
「ついてこれば分かります。まあ、あの方ならばその者を大監獄へ収監してくれるでしょう」
「本当か」
「ええ、嘘は言いません」


今は、アシャを信じるしかなさそうだな。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

とあるギルド員の事件簿Aランクパーティーを追放されたとやって来た赤魔道士の少年が実は凄腕だった件について~

東稔 雨紗霧
ファンタジー
 冒険者ギルドでカウンター業務をしていたトドロキの元へAランクパーティを追放されたと言う少年が「一人でも受けられるクエストはありますか?」とやって来た。  込み入った事情がありそうだと判断したトドロキは一先ず個室へと案内して詳しい話を聞いてみる事に。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

俺を凡の生産職だからと追放したS級パーティ、魔王が滅んで需要激減したけど大丈夫そ?〜誰でもダンジョン時代にクラフトスキルがバカ売れしてます~

風見 源一郎
ファンタジー
勇者が魔王を倒したことにより、強力な魔物が消滅。ダンジョン踏破の難易度が下がり、強力な武具さえあれば、誰でも魔石集めをしながら最奥のアイテムを取りに行けるようになった。かつてのS級パーティたちも護衛としての需要はあるもの、単価が高すぎて雇ってもらえず、値下げ合戦をせざるを得ない。そんな中、特殊能力や強い魔力を帯びた武具を作り出せる主人公のクラフトスキルは、誰からも求められるようになった。その後勇者がどうなったのかって? さぁ…

神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します

すもも太郎
ファンタジー
 伝説級勇者パーティーを首になったニースは、ギルドからも放逐されて傷心の旅に出る。  その途中で大地の精霊と運命の邂逅を果たし、精霊に認められて加護を得る。  出会った友人たちと共に成り上がり、いつの日にか国家の運命を変えるほどの傑物となって行く。  そんなニースの大活躍を知った元のパーティーが追いかけてくるが、彼らはみじめに落ちぶれて行きあっという間に立場が逆転してしまう。  大精霊の力を得た鑑定師の神眼で、透視してモンスター軍団や敵国を翻弄したり、創り出した究極のアイテムで一般兵が超人化したりします。  今にも踏み潰されそうな弱小国が超大国に打ち勝っていくサクセスストーリーです。  ※ハッピーエンドです

魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。 名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。 絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。 運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。 熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。 そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。 これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。 「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」 知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

処理中です...