【第1部完結】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~

Bonzaebon

文字の大きさ
389 / 401
第2部  第1章 はぐれ梁山泊極端派【私の思い出に決着を……。】

第47話 お次は遺産相続の手続きに入ります。

しおりを挟む

「……うう? ラヴァン様?」

「もう大丈夫だ。私は君の側にずっといる。君を守るために。」


 過去の記憶が融合し、エルはラヴァンの元へと向かっていく。ラヴァンも迎えに行くかのようにエルの元に駆け寄る。その間、エルは俺のことを一切見なかった。俺なんてまるで知らないかのように。


「ホホホ。意外や意外。なかなか思い切ったことをしたわね。見直したわ、お坊ちゃん。」


 ラヴァンがまさかの行動を取った。さすがに素直に負けを認めると思っていた。俺の考えは甘かったようだ。魔術師はみんなこんなことする人ばっかりなんだろうか? 人間不信になってしまいそうだ。


「これで終わりだ。私の目的の半分は達成された。あとはエルフリーデ様の遺産を取り返すのみだ。これは彼女の婚約者としての私の使命だ。」

「ホホホ。では遺産を取りに行きましょう。この婦人……ナドラが自身の記憶の迷宮に封印しているのよ。ナドラの記憶の中にお入りなさい。」

「なるほど、やはりそこにあったか。私の考えていた通りだ。私の力が不可欠な事も含めてな。……では行こうか、エレオノーラ。君が取り返したい物を取りに行こう。」

「はい。ラヴァン様。」


 エルはラヴァンの顔を見て、嬉しそうにしている。さっきまで俺の側にいた彼女とは明らかに態度が豹変していた。ラヴァンのことを昔から知っているみたいに、親しげな感じで接している。


「エル、待ってくれ!」

「何だ君は? 見ての通り、私は彼女の婚約者だ。君に邪魔される筋合いはない。敗者は潔く引き下がってくれ。迷惑だ。」

「勇者様……? 安心して下さい。私はラヴァン様と共に母の遺産を取りに行きます。お心添えはありがたいですけど、これは二人で解決しないといけない事なんです。」

「……!?」


 ショックだな。エルが俺に対して急に他人行儀になってしまった。俺との思い出は完全になくなってしまったのか? 偽りの記憶に上書きされてしまったのだろうか?


「ゆっくりしてはいられない。行こう。」


 ラヴァンは蛇の魔王……が操るオバサンの目の前に空間の裂け目を作り出し、エルと共にその中へ入っていった。


「ホホホ。これで終わりね、勇者。そして、エレオノーラも私の手中に収まったことになるわね。」

「どういう意味だ?」


 手中に収まっただと……? いったいどういう意味なんだ? そもそも、蛇の魔王の目的はどこにあるのだろう? もちろん俺を倒すのが目的なんだろうけど、やけにエルにこだわっているようにも見える。もしかしたら、真の目的はそっちなのでは……?


「勇者、あなたは悉く私の計画を邪魔してきた。今回だけではないわ。それよりも前からよ。全てはあの娘の……、」


 その時、異変が起きた。蛇の魔王の頭上から何者かが現れたのだ! 無駄にデカい図体、タマネギっぽい髪型……そう、ゲイリーだ! ゲイリーが突如現れ、蛇の魔王の体の上にのしかかる形になった!


「ううおあっ!?」

「問題ないッス! 俺っち、体の丈夫さが取り柄なんで! 腕立て、腹筋、スクワット毎日かかさないんスよ!」


 相変わらず場違いな事を言っている。誰も聞いてねえよ、そんなこと。それよりも今までどこにいたとか、どうやってここに来たか説明しろよ……。


「この機会は逃さぬ!」


 黄ジイが倒れている蛇の魔王の元へやってきて、攻撃を仕掛けた。間一髪、黒い影がオバサンの体から抜け出ていった。黄ジイもそれに気付き、途中で攻撃をとりやめた。


「ホホ、全く隙も油断もありはしないわね! 危ないところだったわ。とんだ邪魔が入ったものね。」


 黒い影は蛇の姿になった。オバサンの体から逃れたということは、黄ジイの攻撃に脅威を感じたのだろう。


「もうよいわ。ある程度私の計画は成功した。後はあなた達を始末するだけ。ただし決着は外でつけることにしましょう。……援軍が近付きつつあるのでね。」


 援軍? 魔王軍を呼び寄せたんだろうか? それが本当だとしたらマズいな。とか考えているうちに蛇の魔王は姿を消した。これでヤツの言うとおり、外で決着をつけることになってしまった。


「ロアよ。早く、二人の後を追うのじゃ。魔王の言う通り、災いが近付きつつあるのは間違いない。早急に決着をつけてくるが良い。」

「でも、俺が行ってもエルに拒絶されそうだぜ?」


 彼女の記憶は書き換えられた。俺のことは憶えているようだが、俺との繋がりがなくなったに等しい。俺は彼女にとってその他大勢になってしまっている。


「何を弱気なことを言うとるんじゃ。こころのそこから思ってはおらぬ癖に。信じておるんじゃろう、あの娘を?」


 確かに気がかりなことはある。エルの様子が少しおかしかった。態度や言動はラヴァンを信じているようだったが、若干、目がうつろになっているように見えた。もしかしたら、彼女の心の中では、偽りの記憶と真実の記憶がせめぎ合っているのかもしれない。獣の魔王になっていたときと同じように。


「そうだな。彼女の記憶を呼び起こすのは俺の役目だった。……じゃあ、行ってくるよ。みんなはいつでも脱出できるようにしておいてくれ。すぐ戻ってくる!」


 俺は異空跋渉でオバサンの記憶の世界へと飛び込んだ。このまま、ラヴァンの思い通りにさせるわけにはいかない。エルの記憶を必ず呼び戻すんだ!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~

枯井戸
ファンタジー
力も強くない、足も速くない、魔法も使えないし、頭も大してよくない、どこにでもいるちょっとオタク趣味の主人公・東雲真緒が白雉国に勇者として転生する。 同期の勇者はそれぞれ力が強かったり、魔法が使えたり、回復ができたりと各々の才能を開花させ頭角を現していくのだが、真緒に与えられた才能は異世界転生モノでよく見る〝ステータスオープン〟のみだった。 仲間には使えないと蔑まれ、ギルドには落第勇者の烙印を押され、現地人には殺害されかけ、挙句の果てに大事な人を亡くし、見ず知らずの土地の最底辺で生きていくことになった真緒だったが、彼女はまだ〝ステータスオープン〟の可能性に気づいていないだけだった。 ───────────── ※投稿時間は多少前後しますが毎日投稿は続けていくつもりです。 ※タイトルは予告なしにガラリと変わる場合があるのでご了承ください。 ※表紙は現在の主人公のイメージ図です。もしまた別の国へ行く場合、彼女の装いも変化するかもしれません。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...