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第5章 完成!究極の超次元殺法!!
第275話 勇者の背中が見えた時
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「少々、理不尽な目にあってもらう事を覚悟してもらいたい。」
「魔術師ならでは、の必勝策をね。」
彼らは再び私を挟み込むように前後に陣取った。これならさっきと同じように先手を取ってしまえば、手は出せないはず。そうと決まれば……、
「グラヴィテーション!」
背後から声がした。これは重力を増加させる魔術。私の攻撃を警戒して、今度は向こうが先手を取った。
(ヴンっ!!)
「……うくっ!?」
低く空気が響く音がした瞬間、急に体が重くなった。まるで人一人をおぶっているかのような感覚だ。
「この通りだ。これで貴女は身動きできない。弟の重力魔術で相手の動きを封じ、私の空間圧縮魔法で止めを刺す。これが我ら兄弟の必勝戦術だ。」
それを聞いて血の気が引いた。このままでは確実に負けてしまう。
「スペティアル・コンプレッション!」
「うああああっ!?」
今度は自分の体が巨大な見えない手に握られたかの様な錯覚に陥った。体全体にギリギリと締め付ける感触が伝わってくる。
「念のために聞いておく。降参してくれるなら、これ以上攻撃をするのはやめる。これが最後のチャンスだ。さあ、どうする?」
痛い。早くこの苦しみから逃れたい。でも、負けたくない。逃れるだけなら、アクセレイションで筋力を増強させれば出来ると思う。この手の魔術はごく狭い範囲にだけ効果があるだけだから。でも一時的に逃れられるだけで急激なアクセレイションの使用後は隙が出来てしまう。再び同じ魔術を使用され捕縛されるのは目に見えている。
(こういう時、彼ならどうするんだろう……?)
こんな危機的な状況で勇者の事を思い出した。自分の記憶には彼が不利な状況にあっても懸命に戦う姿が目に焼き付いている。
(いつでも彼は諦めなかった。本当にどうしようもない時でも。)
私がコアの暴走でデーモンになっていたときも最後まで諦めずに元に戻そうとしていた。それどころか私をなるべく傷付けない様にさえしていた。彼の側にいるためにはそれ相応に自分も強くならなくてはいけない。彼の勇気を一欠片でも貰えたら……どんな窮地でも乗り越えることが出来る。
「どうするのかな?早く決断しないと私は貴女を殺してしまうかもしれない。」
「私は……負けません。絶対に……諦めない!」
アクセレイション!この場から一時的に逃れるために身体能力を増強させる。自分に掛かった魔力の束縛を力ずくで引きちぎる。
「ば、馬鹿な!魔力の束縛から逃れられるというのか!」
「光風霽月……霽月八閃!!」
魔力その物や魔法生命を斬るための力、彼が私を悪魔の支配から解き放つために使ったあの技。今まで出来ると思っていなかったけれど、あの技をその身で受けた自分だからこそ、今の自分なら自然に出来ると思った。
(スンッ!)
「魔術の術式が解除された!何が起きたんだ!?」
彼らは常軌を逸した事態に戸惑いを見せている。チャンスは今。このまま一気に攻めれば勝てる!
「円旋封壊!!」
一回目は半分不発に終わったこの技も今の状態なら効果覿面だった。二人は堪らず地に伏せてしまっている。
「チェックメイトです!このまま、おとなしく降参してください!」
大鎌の刃を黒ローブの人に突きつけた。
「はは……まさか逆に我々が追い詰められるとは。しかも、この後に及んで貴女は手心を加えるというのか。」
私は二人を斬らずに刃を出さない状態で強打した。私の思う彼もいつもそうしているから、彼の信念に同調したかった。
「貴女は気高いのだな。危険な状況に陥っても我々のような策を講じたりはしなかった。我々兄弟の負けだ。実力的にも、精神的にも。」
「我々は降参する。参った!」
「おおーっと、これは奇跡的な大逆転です!魔次元殺法コンビの降参により、ブラック・ロータスの勝利が確定しましたぁ!」
その瞬間、熱狂的な歓声が闘技場に響き渡った。建物がその音で壊れてしまいそうなくらいの凄さだった。会場全体の人達が私たちの勝利を祝福してくれている。こんな経験は初めてだった。今までの人生であまり人に褒められたことのなかった自分にとっては、夢のような出来事だった。
「何かお忘れではありませんか?負けを認めたのなら、先生の解放をお願いします。」
「も、もちろんだとも!」
弟の白いローブの人が慌てて、ワームホールを出現させて、飲み込まれた先生を解放した。
「不覚を取った。面目ない。」
先生は無事だったみたい。本当に身動きを取れない状態にされていただけのようだ。
「いえ、私が迂闊でした。相手が魔術師なのはわかっていたのに、何も対策が出来ていませんでしたから。先生が魔術に疎いのは知っていたのに。」
「私も魔術についての知識を深める必要があるな。とはいえ、君の臨機応変さには驚いたよ。たった一人で勝利を収めてしまうとは。」
「私はただ、無我夢中で戦っただけです。そのため少し危ない綱渡りをしてしまいました。」
一歩間違えれば大怪我に繋がりかねない無謀な挑戦をしてしまった。でも、その見返りに少し不完全とはいえ、奥義を使うことが出来た。そこはちょっと、誇らしい……かな?もちろん勇者の彼のおかげなので自分だけの力じゃない。彼に助けられた事があるからこそ、手にできた勝利なんだ。
「魔術師ならでは、の必勝策をね。」
彼らは再び私を挟み込むように前後に陣取った。これならさっきと同じように先手を取ってしまえば、手は出せないはず。そうと決まれば……、
「グラヴィテーション!」
背後から声がした。これは重力を増加させる魔術。私の攻撃を警戒して、今度は向こうが先手を取った。
(ヴンっ!!)
「……うくっ!?」
低く空気が響く音がした瞬間、急に体が重くなった。まるで人一人をおぶっているかのような感覚だ。
「この通りだ。これで貴女は身動きできない。弟の重力魔術で相手の動きを封じ、私の空間圧縮魔法で止めを刺す。これが我ら兄弟の必勝戦術だ。」
それを聞いて血の気が引いた。このままでは確実に負けてしまう。
「スペティアル・コンプレッション!」
「うああああっ!?」
今度は自分の体が巨大な見えない手に握られたかの様な錯覚に陥った。体全体にギリギリと締め付ける感触が伝わってくる。
「念のために聞いておく。降参してくれるなら、これ以上攻撃をするのはやめる。これが最後のチャンスだ。さあ、どうする?」
痛い。早くこの苦しみから逃れたい。でも、負けたくない。逃れるだけなら、アクセレイションで筋力を増強させれば出来ると思う。この手の魔術はごく狭い範囲にだけ効果があるだけだから。でも一時的に逃れられるだけで急激なアクセレイションの使用後は隙が出来てしまう。再び同じ魔術を使用され捕縛されるのは目に見えている。
(こういう時、彼ならどうするんだろう……?)
こんな危機的な状況で勇者の事を思い出した。自分の記憶には彼が不利な状況にあっても懸命に戦う姿が目に焼き付いている。
(いつでも彼は諦めなかった。本当にどうしようもない時でも。)
私がコアの暴走でデーモンになっていたときも最後まで諦めずに元に戻そうとしていた。それどころか私をなるべく傷付けない様にさえしていた。彼の側にいるためにはそれ相応に自分も強くならなくてはいけない。彼の勇気を一欠片でも貰えたら……どんな窮地でも乗り越えることが出来る。
「どうするのかな?早く決断しないと私は貴女を殺してしまうかもしれない。」
「私は……負けません。絶対に……諦めない!」
アクセレイション!この場から一時的に逃れるために身体能力を増強させる。自分に掛かった魔力の束縛を力ずくで引きちぎる。
「ば、馬鹿な!魔力の束縛から逃れられるというのか!」
「光風霽月……霽月八閃!!」
魔力その物や魔法生命を斬るための力、彼が私を悪魔の支配から解き放つために使ったあの技。今まで出来ると思っていなかったけれど、あの技をその身で受けた自分だからこそ、今の自分なら自然に出来ると思った。
(スンッ!)
「魔術の術式が解除された!何が起きたんだ!?」
彼らは常軌を逸した事態に戸惑いを見せている。チャンスは今。このまま一気に攻めれば勝てる!
「円旋封壊!!」
一回目は半分不発に終わったこの技も今の状態なら効果覿面だった。二人は堪らず地に伏せてしまっている。
「チェックメイトです!このまま、おとなしく降参してください!」
大鎌の刃を黒ローブの人に突きつけた。
「はは……まさか逆に我々が追い詰められるとは。しかも、この後に及んで貴女は手心を加えるというのか。」
私は二人を斬らずに刃を出さない状態で強打した。私の思う彼もいつもそうしているから、彼の信念に同調したかった。
「貴女は気高いのだな。危険な状況に陥っても我々のような策を講じたりはしなかった。我々兄弟の負けだ。実力的にも、精神的にも。」
「我々は降参する。参った!」
「おおーっと、これは奇跡的な大逆転です!魔次元殺法コンビの降参により、ブラック・ロータスの勝利が確定しましたぁ!」
その瞬間、熱狂的な歓声が闘技場に響き渡った。建物がその音で壊れてしまいそうなくらいの凄さだった。会場全体の人達が私たちの勝利を祝福してくれている。こんな経験は初めてだった。今までの人生であまり人に褒められたことのなかった自分にとっては、夢のような出来事だった。
「何かお忘れではありませんか?負けを認めたのなら、先生の解放をお願いします。」
「も、もちろんだとも!」
弟の白いローブの人が慌てて、ワームホールを出現させて、飲み込まれた先生を解放した。
「不覚を取った。面目ない。」
先生は無事だったみたい。本当に身動きを取れない状態にされていただけのようだ。
「いえ、私が迂闊でした。相手が魔術師なのはわかっていたのに、何も対策が出来ていませんでしたから。先生が魔術に疎いのは知っていたのに。」
「私も魔術についての知識を深める必要があるな。とはいえ、君の臨機応変さには驚いたよ。たった一人で勝利を収めてしまうとは。」
「私はただ、無我夢中で戦っただけです。そのため少し危ない綱渡りをしてしまいました。」
一歩間違えれば大怪我に繋がりかねない無謀な挑戦をしてしまった。でも、その見返りに少し不完全とはいえ、奥義を使うことが出来た。そこはちょっと、誇らしい……かな?もちろん勇者の彼のおかげなので自分だけの力じゃない。彼に助けられた事があるからこそ、手にできた勝利なんだ。
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