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第2章 黒騎士と魔王
第80話 さらなる高みへ
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(さて、どう攻めるかな?)
エドワードと対峙し始めてから、しばらくの時間がたった。お互いにらみ合いを続けている。
「どうした?先程までの、魔王と対峙していたときの貴公はどこへ行った?」
さっきまでのやりとりで完全に、自分の中から「無敵」感が消えて無くなってしまっていた。エルちゃんやみんなを助けたい一心で必死になっているうちに自然とあの状態になったんだと思う。
「心意気は買ったが、貴公自身のスイッチが入っていないようだな。……ならば、私があの時の貴公を呼び戻して見せよう!」
来た!俺が攻めあぐねているうちに向こうから来た。早い。何をするか決める前に攻撃が到達する。
(ギィィイン!!)
攻撃を受け流す。当然、それで終わりじゃない。エドワードは攻める隙を与えないかのように、捉えるだけでも大変な攻撃をしてくる。
「どうした?さあ、さあ!」
速さだけなら、魔王化したエルちゃんの方がよっぽど速い。でも技があるだけでかなり違う。攻撃が読みづらい。思いもしない攻撃が来る。ときには緩急を付けたり、フェイントも入れてくる。
「くそおっ!」
やっぱ、経験と鍛錬に裏付けされた強さは違う。相手をより確実に、正確に、着実に攻めて翻弄して倒す。それが、この人なのだ!
「このまま、私が勝たせてもらう!」
エドワードは一旦間合いを空け、構えを取った。これは……シャイニング・ガストだ!
「それで来るなら……!」
俺は最初に戦ったときと同じように、凰留撃で迎え撃つ。この技は対策済みだ!
「喰らえ!シャイニング・ガスト!」
目にも止まらないスピードで襲い来る。俺は落ち着いて迎え撃つことにした。でも、何か胸騒ぎがする。なんだろう?
(ブオッッッ!)
エドワードが衝撃波を纏って接近してくる!俺自身も技の体勢に入った。……ここだ!
(ブウゥゥン!!)
思い切り空を斬った!躱されたんだ!
「甘いな!二度も同じ手は食わんよ!」
横に回られた!完全にはめられた!どうする!
「スクリュウ・ガスト!」
気配だけで恐ろしい技がくるのがわかった。でも、今からじゃ間に合わない!
(ガリィィィイ!)
カンだけを頼りに体を反らせた。しかし、頭の横に強い衝撃が加わった。額冠に当たったようだ。なかったら確実に死んでたかもしれない。
「躱したか!だが、まだ私の攻撃は終わっていない!」
だめだ!今度こそ、無理だ!躱せない!
(……光風霽月……)
急に頭の中に三皇の精神の一つがよぎった。……そうだ。焦っちゃいけない。こういうときにこそ心を落ち着けないといけないんだ。
(極意…光風霽月……)
神経を研ぎ澄まし、自分の感じるままに動くんだ。
「砕寒松柏!」
エドワードの技の正体は突き技だった。それに回転を加えている。それに対して俺は同じように突きで迎え撃った。
(ギッ!!!)
剣先がぶつかり合う!そして、軋むような音を立てて、エドワードの剣が砕けた。
「馬鹿な!」
予想外の事態にエドワードが怯んだ。今だ!
「峨龍滅睛!!」
即座に跳躍し、相手の頭部への攻撃を見舞った。
「勝負あったな!」
見ていたサヨちゃんが制止を促す。……そうだな。エドワードの剣を壊したんだし……、
(パカン!)
エドワードの兜がキレイに真っ二つに割れた。彼自身を斬るんじゃなくて、纏っている闘志を斬るつもりでやってみたら、案外うまくいった。
「これでハッキリしたな。そなたの技は究極の殺人剣であり、究極の活人剣なのじゃ。」
言われてみてわかったけど、本当にそうなのかもしれない。倒すべきものを倒し、守るべきものを守った。守ったというより、斬らなかったということかな?
「完敗だ。私の秘技を凌がれ、剣を壊された。その上、頭に一撃されてしまった。……貴公の勝ちだ。」
そうだな、勝ったんだ。でも、危なかった。ちょっとでも間違えば、俺の方が負けていた。
「魔王と戦う前の貴公ならば、私も勝てたかもしれん。貴公はあの戦いを通して成長した。短い時間のうちにさらに強くなった!」
自分にも実感はあった。精神的に何かを乗り越えたような気がする。それがこの人より強くなったかどうかは別として。
「やはり、貴公は勇者にふさわしい。今は貴公以外に適役はいないだろう。」
そして、決まったように握手を求めてくる。当然、俺もそれを断るつもりはなかった。……それより、この人の素顔……めっちゃイケメンじゃないか!顔に大きな傷はあるけど。どうせ、ケツアゴのゴリラみたいなんだろうと思ってたのに。
「気は済んだか?二人とも。」
サヨちゃんは横から、それぐらいにしておけと言わんばかりに割って入ってくる。
「帰るぞ!まずは自分たちの体を、仲間をいたわるがよい。」
間違いない。あれだけの激闘を繰り広げたんだからな!早く帰ろう。
(グウウウウッ!!)
その時、盛大にお腹が鳴った。俺のが。……そういえば、昨日からまともに何も食べてなかった。
「なんじゃ!その返事は!本当に締まらんやつじゃのう。」
そのとき、盛大に笑いが起こった。みんな笑っている。エルちゃんやエドワードにも笑われている。……そして、クロエも口元を抑えながら小刻みに震えている。笑ってる!あの人も笑ったりするんだ。
エドワードと対峙し始めてから、しばらくの時間がたった。お互いにらみ合いを続けている。
「どうした?先程までの、魔王と対峙していたときの貴公はどこへ行った?」
さっきまでのやりとりで完全に、自分の中から「無敵」感が消えて無くなってしまっていた。エルちゃんやみんなを助けたい一心で必死になっているうちに自然とあの状態になったんだと思う。
「心意気は買ったが、貴公自身のスイッチが入っていないようだな。……ならば、私があの時の貴公を呼び戻して見せよう!」
来た!俺が攻めあぐねているうちに向こうから来た。早い。何をするか決める前に攻撃が到達する。
(ギィィイン!!)
攻撃を受け流す。当然、それで終わりじゃない。エドワードは攻める隙を与えないかのように、捉えるだけでも大変な攻撃をしてくる。
「どうした?さあ、さあ!」
速さだけなら、魔王化したエルちゃんの方がよっぽど速い。でも技があるだけでかなり違う。攻撃が読みづらい。思いもしない攻撃が来る。ときには緩急を付けたり、フェイントも入れてくる。
「くそおっ!」
やっぱ、経験と鍛錬に裏付けされた強さは違う。相手をより確実に、正確に、着実に攻めて翻弄して倒す。それが、この人なのだ!
「このまま、私が勝たせてもらう!」
エドワードは一旦間合いを空け、構えを取った。これは……シャイニング・ガストだ!
「それで来るなら……!」
俺は最初に戦ったときと同じように、凰留撃で迎え撃つ。この技は対策済みだ!
「喰らえ!シャイニング・ガスト!」
目にも止まらないスピードで襲い来る。俺は落ち着いて迎え撃つことにした。でも、何か胸騒ぎがする。なんだろう?
(ブオッッッ!)
エドワードが衝撃波を纏って接近してくる!俺自身も技の体勢に入った。……ここだ!
(ブウゥゥン!!)
思い切り空を斬った!躱されたんだ!
「甘いな!二度も同じ手は食わんよ!」
横に回られた!完全にはめられた!どうする!
「スクリュウ・ガスト!」
気配だけで恐ろしい技がくるのがわかった。でも、今からじゃ間に合わない!
(ガリィィィイ!)
カンだけを頼りに体を反らせた。しかし、頭の横に強い衝撃が加わった。額冠に当たったようだ。なかったら確実に死んでたかもしれない。
「躱したか!だが、まだ私の攻撃は終わっていない!」
だめだ!今度こそ、無理だ!躱せない!
(……光風霽月……)
急に頭の中に三皇の精神の一つがよぎった。……そうだ。焦っちゃいけない。こういうときにこそ心を落ち着けないといけないんだ。
(極意…光風霽月……)
神経を研ぎ澄まし、自分の感じるままに動くんだ。
「砕寒松柏!」
エドワードの技の正体は突き技だった。それに回転を加えている。それに対して俺は同じように突きで迎え撃った。
(ギッ!!!)
剣先がぶつかり合う!そして、軋むような音を立てて、エドワードの剣が砕けた。
「馬鹿な!」
予想外の事態にエドワードが怯んだ。今だ!
「峨龍滅睛!!」
即座に跳躍し、相手の頭部への攻撃を見舞った。
「勝負あったな!」
見ていたサヨちゃんが制止を促す。……そうだな。エドワードの剣を壊したんだし……、
(パカン!)
エドワードの兜がキレイに真っ二つに割れた。彼自身を斬るんじゃなくて、纏っている闘志を斬るつもりでやってみたら、案外うまくいった。
「これでハッキリしたな。そなたの技は究極の殺人剣であり、究極の活人剣なのじゃ。」
言われてみてわかったけど、本当にそうなのかもしれない。倒すべきものを倒し、守るべきものを守った。守ったというより、斬らなかったということかな?
「完敗だ。私の秘技を凌がれ、剣を壊された。その上、頭に一撃されてしまった。……貴公の勝ちだ。」
そうだな、勝ったんだ。でも、危なかった。ちょっとでも間違えば、俺の方が負けていた。
「魔王と戦う前の貴公ならば、私も勝てたかもしれん。貴公はあの戦いを通して成長した。短い時間のうちにさらに強くなった!」
自分にも実感はあった。精神的に何かを乗り越えたような気がする。それがこの人より強くなったかどうかは別として。
「やはり、貴公は勇者にふさわしい。今は貴公以外に適役はいないだろう。」
そして、決まったように握手を求めてくる。当然、俺もそれを断るつもりはなかった。……それより、この人の素顔……めっちゃイケメンじゃないか!顔に大きな傷はあるけど。どうせ、ケツアゴのゴリラみたいなんだろうと思ってたのに。
「気は済んだか?二人とも。」
サヨちゃんは横から、それぐらいにしておけと言わんばかりに割って入ってくる。
「帰るぞ!まずは自分たちの体を、仲間をいたわるがよい。」
間違いない。あれだけの激闘を繰り広げたんだからな!早く帰ろう。
(グウウウウッ!!)
その時、盛大にお腹が鳴った。俺のが。……そういえば、昨日からまともに何も食べてなかった。
「なんじゃ!その返事は!本当に締まらんやつじゃのう。」
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