【第1部完結】勇者参上!!~東方一の武芸の名門から破門された俺は西方で勇者になって究極奥義無双する!~

Bonzaebon

文字の大きさ
上 下
81 / 401
第2章 黒騎士と魔王

第81話 疲労回復、滋養強壮に!その名はパーシィモン!!

しおりを挟む
 俺たちは町に帰ってきた。食事をしてから、すぐに寝た。さすがに疲れた。いろんな事がありすぎたんだ。その翌朝。


「何?変な木の実をを食べたじゃと?」

「そうなんだよ。見た目はおいしそうなオレンジ色だったんだけど、すっごい苦くてさあ。なあ、エルちゃん?」


 同じものを食べたエルちゃんに同意を求める。


「ええ。あれは苦かったです。なんだか、お薬を煮詰めて凝縮したような味がしました。」


 表現がうまいな。俺には思いつかない例え方だ。


「オレンジ色?苦い?……!?」


 サヨちゃんはしばらく考え込み、何かに思い当たったようだ。ていうか、それだけの情報で絞り込めるの?


「それをどこで手に入れたのじゃ?」

「どこって、あの砦の下の方にある森の中だよ。」

「まさか、そんな場所に自生しておったとは!」

「?」


 何かサヨちゃんは驚いている。その様子を見て、俺とエルちゃんは顔を見合わせた。あれのなにがそうさせてるんだろう?ただの苦くてまずい木の実だったのに。


「いや、待て。むしろ前人未踏の土地故に今まで知られておらんかったのではなかろうか?」

「ちょっと、ちょっと!サヨちゃん!ちゃんと説明して。話が全く見えてこないんだけど。」

「うむ、ああ、そうか!そなたらは知らんのじゃな。ならば説明して進ぜよう。」


 なんだよ!えらくもったいぶるなあ。ただ、シンプルに正体が知りたいだけなのに。


「それはおそらくパーシィモンじゃ。」

「ぱーしもん?なにそれ?」

「パーシィモンじゃ!何故知らんのじゃ!常識じゃぞ!」


 知らねーよ!初めて聞いたわ。そんな名前。


「エルちゃん知ってる?」

「霊薬の材料でそんなのがあったような気がします。」

「違う。そうじゃない。近いが違う。ある意味霊薬以上の霊薬じゃぞ!」


 霊薬?霊薬以上?霊薬異常の間違いじゃないよね?あんなまずい物がお薬以上ってどういうこと?


「あれが薬以上の薬って、ギャグにしか聞こえないんだけど?」

「あーもう!これじゃから、素人は!あれはそのままでも効果はあるが、熟成・乾燥を経ることで至福の、極上の甘さを持つんじゃ!幻の高級食材でもあるんじゃぞ!」

「へー、そーなんだ?」

「真面目に聞けぃ!!」


 また、サヨちゃんの悪い癖が出た。食べ物のことになると、ムキになる、熱くなる。このままだと下手すりゃ、また徹夜コースだ!それだけは絶対に避けたい。


「そなたらがパーシィモン以外口にしておらんかったと言うておったじゃろ?それでも倒れることなく動き回れたのは、あの実のおかげじゃ。」

「えー、うそぉ?」

「ええい、いい加減にせい!とにかく、あの実は滋養強壮の効果があるのじゃ!」


 まあいいや。あれしか食べてなくても平気だったんだし、そういうことにしておこう。


「前人未踏って言ってましたけど、先に来てた人は一人いたみたいですよ?」

「え?あー、あの行き倒れのガイコツ?」


 そういえば、そんなのがいたな?夜寝るとき、見張りをしてもらってたんだった。翌朝、埋葬してあげたな。


「あの人をアンデッドにするときに記憶が見えたんですけど、あの実を仙人の所まで持って帰るんだって強く思ってた見たいです。」

「何?仙人じゃと?……まさか?思わぬところで点と点が線でつながったわい!」


 こんどは何よ?アレとコレがどう関係あんの?


「その行き倒れの正体は味仙人の弟子、ゲンジィー・フォレストじゃ。」

「誰だよ!もう意味わかんねー!」


 そんなモブのことなんてどうでもいいよ!だいたいそんなの知って誰が得するんだよ!


「妾のグルメ仲間に味の仙人がおったじゃろう?あやつの弟子じゃ。正確には元・弟子じゃ。師の怒りを買って破門にされたんじゃ。あやつはヨリを戻すために、幻の食材を獲得しに行って行方不明になっておったのじゃ。」


 破門!なんでこんなときに一番聞きたくないワードが出てくるんだ。やめて!心にブッ刺さるから!


「パーシィモンを目前にして息絶えたか……。破門の末の、非業の死。そうか、そうか。」

「勇者さま?顔色悪いですよ?」

「ちょっと、気分が……。」

「破門?なんか似たような奴を知っているような気がするのお。」


 や、やめろ。これ以上いけない。トラウマを刺激するな。このままでは陸で溺死する!


(コンコンコン!)


 そのとき、ドアをノックする音が聞こえた。誰か来た?


「失礼、邪魔をする!」


 なんとエドワードだった。救世主あらわる!昨日俺が割ったはずの兜を被っている。見たところ新しい様に見えるので、予備か?同じの何個持ってんだろ?


「おお!そなたか!ということは、もうそんな時間になっておったか?」

「少し早かったかもしれん。だが、早いに越したことはない。」

「では行くか!二人とも来るがよい。」


 いきなりだ。唐突すぎる。聞いてないぞ、そんなの。


「どこへ?」

「冒険者ギルドじゃ!」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

巻き込まれた薬師の日常

白髭
ファンタジー
商人見習いの少年に憑依した薬師の研究・開発日誌です。自分の居場所を見つけたい、認められたい。その心が原動力となり、工夫を凝らしながら商品開発をしていきます。巻き込まれた薬師は、いつの間にか周りを巻き込み、人脈と産業の輪を広げていく。現在3章継続中です。【カクヨムでも掲載しています】レイティングは念の為です。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

異世界転生漫遊記

しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は 体を壊し亡くなってしまった。 それを哀れんだ神の手によって 主人公は異世界に転生することに 前世の失敗を繰り返さないように 今度は自由に楽しく生きていこうと 決める 主人公が転生した世界は 魔物が闊歩する世界! それを知った主人公は幼い頃から 努力し続け、剣と魔法を習得する! 初めての作品です! よろしくお願いします! 感想よろしくお願いします!

異世界無宿

ゆきねる
ファンタジー
運転席から見た景色は、異世界だった。 アクション映画への憧れを捨て切れない男、和泉 俊介。 映画の影響で筋トレしてみたり、休日にエアガンを弄りつつ映画を観るのが楽しみな男。 訳あって車を購入する事になった時、偶然通りかかったお店にて運命の出会いをする。 一目惚れで購入した車の納車日。 エンジンをかけて前方に目をやった時、そこは知らない景色(異世界)が広がっていた… 神様の道楽で異世界転移をさせられた男は、愛車の持つ特別な能力を頼りに異世界を駆け抜ける。 アクション有り! ロマンス控えめ! ご都合主義展開あり! ノリと勢いで物語を書いてますので、B級映画を観るような感覚で楽しんでいただければ幸いです。 不定期投稿になります。 投稿する際の時間は11:30(24h表記)となります。

処理中です...