シュガー君は甘すぎる

白湯子

文字の大きさ
4 / 7

シュガー君の彼女

しおりを挟む


今日はハロウィンだ。

まわりの子達は自分で作ったお菓子を配り歩いている。
ぼっち人生が長かった私は、大学生になってもやはりぼっちで騒がしいキャンパスの中、1人静かな所を探すのであった。


*****


やっと見つけた場所は、あまり使われていない校舎の近くにあるベンチだった。そのベンチの汚れ具合は人が使っていないことを物語っている。私はベンチにハンカチを敷き、腰を下ろした。


今の時間は空き時間なため、次の講義が始まるまでここに居ることに決定した。
手提げに入っている本を取り出そうとするが、今日買ったお菓子が邪魔して取り出すことができない。


(……大きすぎちゃったかな…。)


このお菓子はシュガー君にあげるものだ。ハロウィンの度シュガー君はあの決まり文句を言ってくるので、朝お菓子を買うことがハロウィンの日課になっていた。

毎年、お菓子をあげているが、シュガー君はお気に召さないようで、いつも微妙な顔をする。そのため、お菓子を買うときはどれが喜んでくれるのかと真剣に悩む。

本当は手作りを渡したいが、料理が苦手過ぎて渡せない。レシピを見て作っているはずが、何故か何度作っても危険物になってしまう。解せぬ。
私は重いため息をついた。

何気なく視線を遠くに向ければ、丁度シュガー君か歩いているのが見えた。
シュガー君も空き時間なのだろうか。
シュガー君の元へ行こうとして腰をあげると、可愛らしい女の子がシュガー君に駆け寄って行くのが見えた。隣に並び、愛嬌のある可愛らしい笑みを浮かべている女の子は、ふわふわとした髪にクリッとした大きい目、全体的に細く守ってあげたくなるような美少女だった。

シュガー君は、中学校を卒業した時から身長がぐんぐんと伸びた。私より頭一つ分低かったシュガー君は、あっという間に私を追い越し、私より頭一つ分大きくなってしまった。顔つきはまだ幼さを残していたが、周りの人々がはっと注目するほどの美貌だ。
そんな二人が並んでいる姿は絵になっていて、とてもお似合いだと思った。
つい、その姿に見入っていると、二人の顔は近づいていった―――


「あっ……。」


見ちゃいけないはずなのに身体がいうことを聞かない。動け身体、私の身体でしょ。

気づけば、そこには誰も居なかった。
きっと二人は寄り添い、どこかに言ってしまったのだろう。

いつも以上に心臓の音が煩いが、それは恋愛に免疫がない私にとって刺激的であったものを見てしまったからだと言い聞かせる。
落ち着くためにお気に入りの本を読もうとするが、内容がまったく頭に入ってこない。文字を追うとすると心臓の音が邪魔するのだ。
私は読むことを諦め、本を手提げに仕舞おうとすると、シュガー君にあげようと思っていたお菓子が目に入る。


(彼女が居るなら、これは要らないよね。)


きっと二人は仲良くハロウィンを過ごすだろう。

私は豪快にそのお菓子を口に流し込み、むせた。


「ごふっ!!」


目に涙が溜まる。
この涙はむせたために生理的に出てきた涙だ。
何の感情も含んでいない涙のはずなのに、どうして止まらないんだろう。


私の周りを甘ったるい香りが包み込む。その香りはシュガー君のようだ。
ただ甘い、甘すぎる。
私には甘すぎた。




私は初めて講義をサボってしまったのだ。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

君は番じゃ無かったと言われた王宮からの帰り道、本物の番に拾われました

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
ココはフラワーテイル王国と言います。確率は少ないけど、番に出会うと匂いで分かると言います。かく言う、私の両親は番だったみたいで、未だに甘い匂いがするって言って、ラブラブです。私もそんな両親みたいになりたいっ!と思っていたのに、私に番宣言した人からは、甘い匂いがしません。しかも、番じゃなかったなんて言い出しました。番婚約破棄?そんなの聞いた事無いわっ!! 打ちひしがれたライムは王宮からの帰り道、本物の番に出会えちゃいます。

ホストな彼と別れようとしたお話

下菊みこと
恋愛
ヤンデレ男子に捕まるお話です。 あるいは最終的にお互いに溺れていくお話です。 御都合主義のハッピーエンドのSSです。 小説家になろう様でも投稿しています。

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る

家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。 しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。 仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。 そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

【完結】小さなマリーは僕の物

miniko
恋愛
マリーは小柄で胸元も寂しい自分の容姿にコンプレックスを抱いていた。 彼女の子供の頃からの婚約者は、容姿端麗、性格も良く、とても大事にしてくれる完璧な人。 しかし、周囲からの圧力もあり、自分は彼に不釣り合いだと感じて、婚約解消を目指す。 ※マリー視点とアラン視点、同じ内容を交互に書く予定です。(最終話はマリー視点のみ)

処理中です...