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#34 初めての来客

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『梓、由花、美晴、音夢side』


「あっ、おーい! 美晴ちゃーん!」

「あ、あれ? みんなもう揃ってるんすか?」


 現在は日曜日の朝。 真人の家の最寄り駅に、班員の4人が私服姿で集まっていた。


「美晴、遅い」

「いやいや、集合時間の30分前っすよ? これでも早過ぎかなって思ってたのに…… さては、みんな考えることは同じっすね?」

「あー、うん、そうかもね…… 私は楽しみで待ちきれなくて……」

「恥ずかしながら私もです」

「音夢も」

「まぁ、そうっすよね。 じゃあみんなで行きますかっ! 真人っちに予定より早く着くって言っておくっすね?」


 チャットアプリでそう連絡すると、ハムスターがOKと書かれた看板を振ってるスタンプが送られてきて、その次に「気をつけて来てね」と連絡が返って来た。


「とは言っても駅から5分くらいっすからすぐ着くっすけどね」

「どんなお家なんだろうね? 住所的には結構都内っぽかったけど」

「他にも多くの女性と住んでると言ってましたし、まぁまぁ広いんじゃないですか?」

「楽しみ」


 4人は期待に胸を膨らませながら歩を進めていった。


「一応、住所はこの辺だけど……」

「家っぽいのは無いっすね」

「ここ?」

「え、ここですか……? 流石に大き過ぎでは?」


 梓達はなんの問題もなく示された住所に辿り着いたのだが、家っぽい建物が見つからなく、周りをキョロキョロと見渡していた。


「あっ、あの子達じゃない? おーいっ、こっちよー!」


 すると、すぐそこのマンションから出てきた1人の女性に声をかけられた。


「あなた達がまーくんのお友達?」

「まーくん?」

「お母さん、真人の友達の前でその呼び方は真人も嫌がるんじゃないか……?」

「えー? だって、まーくんはまーくんだし……」

「はぁ…… 嫌われても知らないからな。 さて、真人のお友達諸君。 ようこそ我が家へ。 歓迎するよ。 私は真人の姉の大野那波だ」

「私はお母さんの大野真那ですっ!」

「えっ、お母さんっすか? めちゃくちゃ若いっすね……」

「みーちゃん! この子達いい子よ!」

「チョロすぎないか……? まぁ、真人が連れてくるならいい子だとは思うが」

「あの、ここが真人くんのお家なんですか?」

「あぁ、そうだぞ」

「ほ、本当に? 大きすぎませんか?」

「まぁ、その辺りについても色々と話すことあるから、まずは入ろうか」


 那波達の案内で、4人は地下に入りエレベーターの認証を済ませて上へと上がっていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あっ、みんないらっしゃい……」

「「「「お邪魔します」」」」

由花「あの、真人さん? どうしました、そんなにこっちを見て」

「あ、ごめん…… 私服姿が新鮮だったからつい……」

音夢「どう?」

「似合ってる…… みんな可愛い、です……」

梓「な、なんか照れるね」

美晴「そうっすね……」

真那「あらあら、みんな仲良しね?」

那波「とりあえず、中に入ろうか」


 いつまでも玄関で立ち話もあれなので、みんなでリビングへと移動していく。


李梨花「あら~、いらっしゃいませ~。 みんなかわいいわね~。 あ、私はこのお家のハウスキーパーの安藤李梨花っていいます~」

エマ「私は護衛官の橋本エマです。 学校にはいつもいるのですが、会うのは初めてですね」


 班員の4人からしたら初対面の李梨花とエマがそこにはいた。


真那「あと2人いるんだけど、その子達は今ちょっとお買い物行ってるからまた後でね?」

那波「真人達は今のうちに家を回ってきたらどうだ?」

「うん、そうするよ…… みんな、案内するから着いてきて……?」


 真人の案内で、班員の4人と家を見て回っていく。


「ここが、庭…… というかプールです……」

美晴「デカっ!? 普通に泳ぎ回れる広さじゃないっすか!」

音夢「ん? このボタンは?」

「屋根の開閉スイッチだね…… 今は閉まってるけど、開けれるらしいよ……」


 まず庭を見てみんな驚き、


「ここがお風呂……」

梓「えっ、お風呂屋さん?」

由花「更衣室もすごく綺麗ですね……」


 浴場を見て驚き、


「一応、ここが僕の部屋……」

「「「「なにこのベッド……」」」」


 散々家を見て回って驚いた後に真人の部屋を見て、4人はもういっぱいいっぱいになっていた。


「もう一個下のフロアには、トレーニングルームとか、遊戯室とか色々あるよ……」

梓「もうなにがきても驚かないよ……」

由花「お家という言葉で片付けてもいいのでしょうか?」

美晴「すごすぎっすねー……」

音夢「毎日が楽しそう」


 30分ほど見て回ったのだが、みんなそれぞれかなり驚き疲れていた。


真那「あっ、おかえりー。 丁度美香ちゃん達も帰ってきたわよ」

那波「折角ならみんなで一回集まって話そうか」


 ということで、まずはみんなで自己紹介タイムとなった。


美香「初めまして、真人君の専属医師の安野美香です。 よろしくね?」

愛莉「私は専属看護婦の田所愛莉です! よろしくお願いしますっ」


 ひとまず大野家の面々は自己紹介が終わったので、班員メンバーの番になった。


梓「私は木村梓って言います! 一応、歌手活動をしてて、今度メジャーデビューする予定です!」

愛莉「えっ、もしかしてAzu……?」

梓「知ってるんですか!? 嬉しいです!」

愛莉「知ってるもなにも、普通に有名人じゃないですかっ! 真人様は知ってたのですか?」

「うん、でも言っていいか分からなかったから……」

エマ「あまり音楽とか聴かない私でもAzuの名前は知ってますよ」

梓「まだまだ未熟ですけどねっ」

由花「えっと、次は私ですね。 星野由花と申します。 助産師を目指して普段は勉強を頑張っています」

美香「あら、医療従事者志望なのね?」

由花「はい、美香先生にはぜひお話を聞きたいなと思って今日を楽しみにしてました」

美香「ええ、なんでも聞いていいわよ。 あと、普通に先生は付けなくていいわ」

由花「ならば美香さんと呼ばせていただきます。 他のみなさんもよろしくお願いします」

美晴「次はウチっすね! 神野美晴っていいます! 夢は護衛官で柔道と水泳を頑張ってるっす!」

エマ「あなたが前話してた柔道部の方ですね? 今度お邪魔しますのでよろしくお願いします」

美晴「こちらこそよろしくお願いしますっす! ウチも護衛官について色々と聞きたいっすよ!」

エマ「時間が取れる時ならいつでもいいですよ」

音夢「如月音夢……です。 バレーボールやって、ます。 ……よろしくお願いします」

李梨花「あら~? もしかして緊張してる~?」

「音夢さん、いつも通りでいいよ……? みんな優しいから……」

音夢「ん、分かった……」

李梨花「音夢ちゃん可愛い~♡ 仲良くしてね~?」

 
 ギュッ


音夢「むぎゅっ…… お、おっぱいが…… 襲いかかってくる……」

那波「じゃあ次は真人だな」

「あ、うん…… えっと大野真人です…… 今日は4人とも来てくれてありがとう…… 楽しんでくれたら嬉しいな……」

真那「まーくん? あのこと言わないのー?」

「そうだね…… 梓さん、由花さん、美晴さん、音夢さん…… 4人には黙ってたんだけど僕は一応、精液検査の結果がAで、それのおかげで国からもらったこのお家に住んでます……」

梓「え、Aランクっ!?」

由花「日本には確かいませんでしたよね……?」

美晴「ま、マジっすか!?」

音夢「ダーリン、やっぱり凄かった」


 4人とも、真人のことは男としては珍しいとは思っていたが、まさか真人がAランクだなんて思ってもみなかった。


那波「4人とも、真人が君達にこのことを伝えたってことは、信頼されてるってことだからね? 大丈夫だとは思うけど、他言無用でお願いするよ」

梓「もちろんです! ……というか、絶対言えませんよこんなことっ」

美香「というか、Aランクとは言っても、いくつかあるどの検査基準も全部大幅に上回っているから、真人君は実質Sランクよ」

由花「そ、そんなことあるんですね……」

真那「まーくんはすごいからねっ! それじゃあ自己紹介も終わったし、ちょっと早いけどお昼ご飯にしましょ!」

李梨花「腕によりをかけて作りました~。 たくさん食べてくださいね~♡」


 梓達が来る前に、李梨花や真那が主体でほとんど作っておいた料理達がどんどんリビングのテーブルへと運ばれていく。

 すると、あっという間にテーブルは美味しそうな料理で溢れかえっていった。


梓「わぁ~、すごいっ! これ全部作ったんですか?」

李梨花「そうよ~♡」

音夢「全部1人で?」

李梨花「ううん~、真那さんとあとね~、今日はなんと真人様も手伝ってくれました~♡」

愛莉「えっ! 初耳です……」

李梨花「美香さんと愛莉さんがケーキ買いに行ってる間に作ったの~。 ほらこれ~」

「挟んだだけですけどね……」


 真人が作ったのは色んな具材が挟まったサンドイッチで、あらかじめ切られているものを真人が並べて挟んだだけなので簡単なのだが、女性陣はかなり色めきたった。


那波「まさか真人の手料理が食べれるなんてな……」

エマ「ちょっともったいない気もしちゃいますね……」

「また機会があれば作りますから……」


 他の料理はどれも自分で好きなものを取り分けるような形式だが、サンドイッチだけはちゃんと人数分同じ量作られていた。 ……取り分けにすると戦争が起こるかもしれなかったので。


真那「全部並べ終わったかしらね? じゃあ、まーくん?」

「えっと…… いただきます」


 真人の音頭でちょっと早めの昼食が始まった。


美晴「んー! 美味しいっす!」

エマ「いい食べっぷりです」

美晴「って、エマさんその皿てんこ盛りっすけど、全部食べるんすか?」

エマ「そうですが? 食べないと動けませんからね」

美晴「おぉー、ウチもたくさん食べるっす!」

音夢「野菜苦手だけど…… なぜか食べれる」

李梨花「野菜に限らずだけど~、苦手なものって最初に食べた時の調理法とか味付けが合わなかったってだけで、ちゃんと自分が美味しいって思えれば人間大体のものは食べれるからね~」

音夢「……なんか負けた気分」

李梨花「ふふ~♡ おかわりいっぱいあるからね?」

由花「本当に美味しい…… 毎日これが食べれるのは羨ましいですね」

美香「そうね。 私もこの家に来てからちゃんとしたものを食べるようになって、だいぶ体調とかよくなったもの」

由花「前まではちゃんとしたもの食べてなかったんですか?」

美香「医者とかやってると、どうしても栄養取れればいいと思ってサプリとか飲むこともあったんだけど、やっぱりちゃんと美味しいもの食べるのは大事ね」

由花「なるほど…… 精神的な満足感も関係あるのかもしれませんね」

梓「この大根の煮付け美味しいっ!」

愛莉「大根好きなんですか?」

梓「はい! それに、大根って喉に良いらしいので、よく食べるんです!」

愛莉「ちゃんと食生活まで考えてるんですね…… 流石です」

梓「えへへ~、それほどでもっ」


 みんな仲良く食事を進めていき、沢山あった食事もほとんど全て完食されていった。


真那「はい! 食べ終わったところでケーキがあります!」

李梨花「切り分けますね~」


 食後のデザートで、この人数で分けるにしては小さめのホールケーキが2つ用意され、1人2切れ味の違うケーキを食べていった。

 真人はともかく、女性陣はやっぱり甘いものは別腹らしく、かなりおかずを食べていたメンツもしっかりとケーキも平らげていた。


梓「お腹いっぱい~。 すごい美味しかったです! ご馳走様でした!」

美晴「これが毎日食べれるのは本当に羨ましいっすねー」

真那「みんなが来たかったらいつでも来ていいわよ? ね? まーくん?」

「あ、うん…… いつでも来たかったら僕は全然いいよ…… 正直この家、広くて持て余してるところ沢山あるし……」

由花「いいのですか? 私からしたらこのお家ならきっと物凄く勉強も捗りますし、リラックスもできそうなので、普通に入り浸っちゃいそうですけど……」

音夢「むしろ音夢はここに住みたい」

「その辺は、各自保護者の方とも相談ということで…… もし、説明とか求められたら全然僕も顔出すから……」


 真人の家は学校も駅も近く、立地としては最高なので、学校終わりに入り浸ることも全然できるだろう。


那波「よし、じゃあここからは自由時間としようじゃないか。 幸いこの家には施設も沢山あるから色んな場所使ってもいいし、ここでゆっくりしててもいいし、各自過ごしたいように過ごそう」

「僕は、みんなの過ごしてるところに顔出しに行きます……」

真那「それじゃあ、各自解散っ!」


 各々したい事をするため家の各地に散らばっていった。

 そんな中、真人はまずどこから顔を出そうか悩むのであった。




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