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922.転売屋は怪しい物を鑑定する
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シトシトと長雨が降り続ける窓の外を眺めながら小さくため息をつく。
この前までの忙しさはどこへやら、雨の為に昼にもかかわらず客はゼロ。
港町の方で見つかった遺跡のせいで冒険者の数が減っているのも影響しているだろう。
雨が降る前にバーンに乗って様子を見に行ってみたが、山の入り口には小さな町のように露店が立ち並んでいた。
戻ってきた冒険者曰く、魔物の数が多く調査があまり進んでいないが魔術的な施設らしいとの事だった。
うちのダンジョンでこの間見つかった遺跡と同じ感じだろうか。
鋼鉄製の犬が大量に襲ってくるホラー映画さながらの状況を思い出して、思わず背中に悪寒が走る。
あれはもう勘弁願いたい。
「今日はもう閉めるか。」
「え、まだお昼ですよ。」
「客になる冒険者が少ないんだ、実際昨日も一昨日も殆ど来てないんだろ?」
「いつもの半分以下って感じです。」
「なら営業時間が半分でもいいじゃないか。遊びに行ってきていいぞ。」
「でもこの雨ですし。」
「あー、そうだったな。」
晴れていたら買い物とか散歩とか、色々と楽しむ事も出来ただろう。
ドッジボールは中々の人気で、意外にも奥様方が気に入ってくれたらしく可愛らしい奥様がものすごい剛速球で労働者チームを圧倒していた。
元冒険者っていう奥様もいるからだろうけど、なんていうか日頃の鬱憤を晴らすとかそんな感じだったのかもしれない。
しかし、この雨じゃそれも楽しめないわけで。
こんな日に出かけると言ったら飲み屋か図書館、ぐらいしかないんだよなぁこの街って。
元の世界なら映画館とかネカフェとか色々あったけど、若い時はどこでたむろっていたんだろうか。
やっぱり喫茶店?
そういやお茶をするだけの店ってあまりないよな、ここって。
まぁ冒険者がメイン顧客だからどうしても飲み屋ばっかりになるんだろうけど、今後を見据えてそういった店を増やしてもいいのかもしれない。
もっとも、現状では空き店舗なんてない上に家賃が高すぎるので、拡張工事が終わるまではお預けだろうけど。
『それじゃあ休憩してきます』とメルディが二階に上がったタイミングで、カランと本日一回目のベルが鳴った。
入ってきたのは失礼にも綺麗とは言えない老人。
服はボロボロではないにせよ汚れたままで、ほつれや破れはそのままだ。
雨にもかかわらず外套すら身に着けていなかったのか濡れたまま。
浮浪者、ではなさそうだがあまり良い生活はしていないように見える。
「いらっしゃい。」
「ここは買取屋か?」
「その通りだよ爺さん。濡れたままで構わないからこっちに来てくれ、そこじゃ品も見れない。」
「そ、そうだな。」
俺の呼びかけに反応しながらも、何かに怯えるように何度か後ろを振り返りながらこちらへと向かってくる。
気になってチラっと目線を向けるも、怪しい人間の姿は無かった。
怪しい。
非常に怪しい。
「それで、買取ってほしいのは?」
「これだ。」
そんな怪しさ満点の爺さんが懐から大事そうに取り出したのは、一本の金塊。
長さは50㎝程、野球用のバットほどの太さをしたそれがカウンターの上で光り輝いている。
ボロボロの爺さんが取り出したのは見た目とは正反対の超高額品。
一般には金貨が取引に使用されているが、金塊も少なからず取引に使用されている。
同重量の金貨と比べると価値は落ちるものの金は金だからな、価値としてはそれなりの物だ。
これだけで金貨30、いや40枚ぐらいの価値はあるだろう。
ぶっちゃけ、この身なりでこれ程の品を取り出すのがそもそも怪しい。
とはいえ客は客、金になるのであればそれを拒む理由はないのだが・・・。
「鑑定させてもらうぞ。」
「物は本物だ。いくらでもいい、買取ってくれ。」
「いくらでもいいって、買い叩いてもいいのかよ。」
「ここがそんな事をする店だとしても、ワシは構わん。」
「言うじゃないか。」
『ここはそんなせこい事をする店じゃないよな?』と言われるのは非常に癪なので、そう思わせない為にも鑑定はしっかりしないと。
『金塊。純度の高い金で形成された塊。盗品。国内で流通している金貨はこれらの塊を加工して作られている。最近の平均取引価格は金貨47枚。最安値金貨1枚、最高値金貨100枚、最終取引日は5日前と記録されています。』
どうやら老人の言うように本物であることは間違いないようだ。
俺の相場スキルは何故か真贋も確認が出来るので、偽者と出てこなければ本物であることに間違いはない。
しかし、今回は別の文言が追加されているようだ。
『盗品』
この金塊はどこからか盗まれたもので間違いない。
それを現金化したくていくらでもいいから買ってくれと言ったんだろう。
でも、こんなみずぼらしい爺さんが一体どこから盗んできたんだろうか。
金貨が流通しているこの世の中で金塊が取引に使われることはあまりないはず。
実は見た目とは裏腹に凄腕の盗人で、どこかに忍び込んだ可能性もある。
人を見た目で判断するのはよくないよな、うん。
「ちょっと確認してくる、少し待ってくれ。」
「時間がないんだ、無理なら他所に行く。」
「まぁ待てって。」
焦る爺さんをそのままに裏に入り、さっき休憩にはいったばかりのメルディに事情を説明して下で待機してもらうことにした。
表に戻ると爺さんが腕を組み不機嫌そうな顔で俺を睨みつけてくる。
「待たせたな。間違いないようだし、金貨20枚でなら買わせて貰うがそれ以上は無理だ。」
「わかった、その値段でかまわない。」
「コレが代金だ、受け取ってくれ。」
カウンターに載せたままの金塊に再び触れてすり替わっていないか確認。
問題なかったので、それをカウンターの下に置く代わりに金貨を20枚上に乗せた。
「確かに。」
「まだ同じようなのがあれば持ってきてくれ、喜んで買わせて貰おう。」
「あればな。」
金貨を大事そうに革袋にしまい、爺さんは会釈だけをして再び雨の降る外へと出て行ってしまった。
「メルディ。」
「おまかせください。」
裏から飛び出してきたメルディが爺さんを追いかけるように外へ出る。
こういうのはフールに任せたほうがいいんだろうが、今は遺跡に行ったまま戻ってきていないんだよなぁ。
まったく、使えない奴だ。
静かになった店に残されたは俺と、金塊。
再びカウンターの上に乗っけて先ほどの爺さんのように腕を組んでそいつを見つめる。
盗品を買い取ってはいけない決まりはないので、これを警備に差し出すつもりはさらさらない。
とはいえ、盗品と分かっていながらそれを現金に換えるのはよろしくないだろう。
さて、どうしたもんかなぁ。
「あー、すごい雨って、こっちも中々すごいですね。」
「どうしたこんな雨の中。」
「ちょっと緊急のお知らせがあったんですけど・・・、それ買い取ったんですか?」
メルディと入れ違うようにして店に入ってきた羊男が、目ざとくカウンターの上に置いた金塊を見つける。
別に隠す必要もないのだが驚き方がちょっと変だ。
「緊急の知らせなぁ、正直聞きたくないんだが。」
「そんな事いわないでくださいよ、結構やばい感じなんですから。」
「やばい?」
「先程ナミルから連絡があったのですが隣町で金塊の盗難があったそうです。正確には金塊を買い取った後、換金する前に何者かがその店を襲撃して店主を暴行。そのままぐるぐる巻きにされた後、犯人達は金塊だけでなく現金や換金しやすいものを盗んでいったそうです。」
「『達』って事は複数なのか。」
「店主は目隠しをされていた為足音でしか判断できなかったそうですが、最低でも三人はいたとか。ちょうどそんな感じの金塊だったそうです。」
そう言いながら羊男がカウンターの上に乗った金塊を指差した。
ふむ、鑑定結果に盗品と出た理由がそれか。
今まで色々なものを鑑定して買い取ってきたが、こうも露骨に盗品と出たのは初めてだ。
盗みたてほやほやだからなのかもしれないけれど、しかし気になることがある。
せっかく情報を持ち込んでくれたので、買い取った経緯を羊男に説明した。
「持ち込んだのはその人一人だけだったんですね?」
「そうだ。なにやらしきりに外を気にしていたんだが、仲間がいるにしては挙動がおかしかった。」
「といいますと?」
「合図を送るっていう感じじゃなく、なんていうか怯えているように感じたんだよなぁ。」
「盗品とバレるかもっていう怯えじゃなくですか?」
「あぁ。こいつは紛れもない本物だし、本人も自信を持って本物だと言い切っていた。だが、値段はいくらでもいいとか言いながら俺が裏に入ろうとすると時間がないって急かしてきた。売ることが目的ならしっかり鑑定して出来るだけ高値で買い取らせるもんだろ?」
「それは確かに妙ですね。」
鑑定に出したときの堂々とした感じとは違い、明らかに何かを気にしていた。
代金を受け取った後も同じで、最初と違い逃げるようにして店を出て行ったぐらいだ。
「ただいま戻りました!」
「お、ナイスタイミング。どうだった?」
「大通りから裏路地に入って、安宿に向かった所までは見れたんですけど、その後はちょっと怖くて・・・。」
「いやいやそれで十分だ。」
「メルディさんに追いかけさせたんですか?」
「他に人がいなかったんで仕方なくな。さっきの話が本当なら、相手は間違いなくここを狙ってくる。さぁて、どう料理してやろうか。」
これをすぐに換金すればそれなりの利益は出るだろう。
だが、それを知らない奴が店を襲ってそれ以上の被害が出るのは間違いない。
そんな危険な場所にメルディをおいておくことはできないし、そもそもこの店で好き勝手するのは許せない。
とはいえ俺は戦えるような人間ではないし、だからといって警備を置くのもなぁ。
一時的には効果はあるかもしれないが、警備が手薄になったタイミングで盗みに入られる可能性もある。
それなら何も知らない体で一網打尽にしてしまうのが一番効果的。
羊男の話じゃ買い取ったその日のうちに襲撃されたそうだから、あまり準備に時間をかけてもいられない。
さて、どうしてやろうか。
この前までの忙しさはどこへやら、雨の為に昼にもかかわらず客はゼロ。
港町の方で見つかった遺跡のせいで冒険者の数が減っているのも影響しているだろう。
雨が降る前にバーンに乗って様子を見に行ってみたが、山の入り口には小さな町のように露店が立ち並んでいた。
戻ってきた冒険者曰く、魔物の数が多く調査があまり進んでいないが魔術的な施設らしいとの事だった。
うちのダンジョンでこの間見つかった遺跡と同じ感じだろうか。
鋼鉄製の犬が大量に襲ってくるホラー映画さながらの状況を思い出して、思わず背中に悪寒が走る。
あれはもう勘弁願いたい。
「今日はもう閉めるか。」
「え、まだお昼ですよ。」
「客になる冒険者が少ないんだ、実際昨日も一昨日も殆ど来てないんだろ?」
「いつもの半分以下って感じです。」
「なら営業時間が半分でもいいじゃないか。遊びに行ってきていいぞ。」
「でもこの雨ですし。」
「あー、そうだったな。」
晴れていたら買い物とか散歩とか、色々と楽しむ事も出来ただろう。
ドッジボールは中々の人気で、意外にも奥様方が気に入ってくれたらしく可愛らしい奥様がものすごい剛速球で労働者チームを圧倒していた。
元冒険者っていう奥様もいるからだろうけど、なんていうか日頃の鬱憤を晴らすとかそんな感じだったのかもしれない。
しかし、この雨じゃそれも楽しめないわけで。
こんな日に出かけると言ったら飲み屋か図書館、ぐらいしかないんだよなぁこの街って。
元の世界なら映画館とかネカフェとか色々あったけど、若い時はどこでたむろっていたんだろうか。
やっぱり喫茶店?
そういやお茶をするだけの店ってあまりないよな、ここって。
まぁ冒険者がメイン顧客だからどうしても飲み屋ばっかりになるんだろうけど、今後を見据えてそういった店を増やしてもいいのかもしれない。
もっとも、現状では空き店舗なんてない上に家賃が高すぎるので、拡張工事が終わるまではお預けだろうけど。
『それじゃあ休憩してきます』とメルディが二階に上がったタイミングで、カランと本日一回目のベルが鳴った。
入ってきたのは失礼にも綺麗とは言えない老人。
服はボロボロではないにせよ汚れたままで、ほつれや破れはそのままだ。
雨にもかかわらず外套すら身に着けていなかったのか濡れたまま。
浮浪者、ではなさそうだがあまり良い生活はしていないように見える。
「いらっしゃい。」
「ここは買取屋か?」
「その通りだよ爺さん。濡れたままで構わないからこっちに来てくれ、そこじゃ品も見れない。」
「そ、そうだな。」
俺の呼びかけに反応しながらも、何かに怯えるように何度か後ろを振り返りながらこちらへと向かってくる。
気になってチラっと目線を向けるも、怪しい人間の姿は無かった。
怪しい。
非常に怪しい。
「それで、買取ってほしいのは?」
「これだ。」
そんな怪しさ満点の爺さんが懐から大事そうに取り出したのは、一本の金塊。
長さは50㎝程、野球用のバットほどの太さをしたそれがカウンターの上で光り輝いている。
ボロボロの爺さんが取り出したのは見た目とは正反対の超高額品。
一般には金貨が取引に使用されているが、金塊も少なからず取引に使用されている。
同重量の金貨と比べると価値は落ちるものの金は金だからな、価値としてはそれなりの物だ。
これだけで金貨30、いや40枚ぐらいの価値はあるだろう。
ぶっちゃけ、この身なりでこれ程の品を取り出すのがそもそも怪しい。
とはいえ客は客、金になるのであればそれを拒む理由はないのだが・・・。
「鑑定させてもらうぞ。」
「物は本物だ。いくらでもいい、買取ってくれ。」
「いくらでもいいって、買い叩いてもいいのかよ。」
「ここがそんな事をする店だとしても、ワシは構わん。」
「言うじゃないか。」
『ここはそんなせこい事をする店じゃないよな?』と言われるのは非常に癪なので、そう思わせない為にも鑑定はしっかりしないと。
『金塊。純度の高い金で形成された塊。盗品。国内で流通している金貨はこれらの塊を加工して作られている。最近の平均取引価格は金貨47枚。最安値金貨1枚、最高値金貨100枚、最終取引日は5日前と記録されています。』
どうやら老人の言うように本物であることは間違いないようだ。
俺の相場スキルは何故か真贋も確認が出来るので、偽者と出てこなければ本物であることに間違いはない。
しかし、今回は別の文言が追加されているようだ。
『盗品』
この金塊はどこからか盗まれたもので間違いない。
それを現金化したくていくらでもいいから買ってくれと言ったんだろう。
でも、こんなみずぼらしい爺さんが一体どこから盗んできたんだろうか。
金貨が流通しているこの世の中で金塊が取引に使われることはあまりないはず。
実は見た目とは裏腹に凄腕の盗人で、どこかに忍び込んだ可能性もある。
人を見た目で判断するのはよくないよな、うん。
「ちょっと確認してくる、少し待ってくれ。」
「時間がないんだ、無理なら他所に行く。」
「まぁ待てって。」
焦る爺さんをそのままに裏に入り、さっき休憩にはいったばかりのメルディに事情を説明して下で待機してもらうことにした。
表に戻ると爺さんが腕を組み不機嫌そうな顔で俺を睨みつけてくる。
「待たせたな。間違いないようだし、金貨20枚でなら買わせて貰うがそれ以上は無理だ。」
「わかった、その値段でかまわない。」
「コレが代金だ、受け取ってくれ。」
カウンターに載せたままの金塊に再び触れてすり替わっていないか確認。
問題なかったので、それをカウンターの下に置く代わりに金貨を20枚上に乗せた。
「確かに。」
「まだ同じようなのがあれば持ってきてくれ、喜んで買わせて貰おう。」
「あればな。」
金貨を大事そうに革袋にしまい、爺さんは会釈だけをして再び雨の降る外へと出て行ってしまった。
「メルディ。」
「おまかせください。」
裏から飛び出してきたメルディが爺さんを追いかけるように外へ出る。
こういうのはフールに任せたほうがいいんだろうが、今は遺跡に行ったまま戻ってきていないんだよなぁ。
まったく、使えない奴だ。
静かになった店に残されたは俺と、金塊。
再びカウンターの上に乗っけて先ほどの爺さんのように腕を組んでそいつを見つめる。
盗品を買い取ってはいけない決まりはないので、これを警備に差し出すつもりはさらさらない。
とはいえ、盗品と分かっていながらそれを現金に換えるのはよろしくないだろう。
さて、どうしたもんかなぁ。
「あー、すごい雨って、こっちも中々すごいですね。」
「どうしたこんな雨の中。」
「ちょっと緊急のお知らせがあったんですけど・・・、それ買い取ったんですか?」
メルディと入れ違うようにして店に入ってきた羊男が、目ざとくカウンターの上に置いた金塊を見つける。
別に隠す必要もないのだが驚き方がちょっと変だ。
「緊急の知らせなぁ、正直聞きたくないんだが。」
「そんな事いわないでくださいよ、結構やばい感じなんですから。」
「やばい?」
「先程ナミルから連絡があったのですが隣町で金塊の盗難があったそうです。正確には金塊を買い取った後、換金する前に何者かがその店を襲撃して店主を暴行。そのままぐるぐる巻きにされた後、犯人達は金塊だけでなく現金や換金しやすいものを盗んでいったそうです。」
「『達』って事は複数なのか。」
「店主は目隠しをされていた為足音でしか判断できなかったそうですが、最低でも三人はいたとか。ちょうどそんな感じの金塊だったそうです。」
そう言いながら羊男がカウンターの上に乗った金塊を指差した。
ふむ、鑑定結果に盗品と出た理由がそれか。
今まで色々なものを鑑定して買い取ってきたが、こうも露骨に盗品と出たのは初めてだ。
盗みたてほやほやだからなのかもしれないけれど、しかし気になることがある。
せっかく情報を持ち込んでくれたので、買い取った経緯を羊男に説明した。
「持ち込んだのはその人一人だけだったんですね?」
「そうだ。なにやらしきりに外を気にしていたんだが、仲間がいるにしては挙動がおかしかった。」
「といいますと?」
「合図を送るっていう感じじゃなく、なんていうか怯えているように感じたんだよなぁ。」
「盗品とバレるかもっていう怯えじゃなくですか?」
「あぁ。こいつは紛れもない本物だし、本人も自信を持って本物だと言い切っていた。だが、値段はいくらでもいいとか言いながら俺が裏に入ろうとすると時間がないって急かしてきた。売ることが目的ならしっかり鑑定して出来るだけ高値で買い取らせるもんだろ?」
「それは確かに妙ですね。」
鑑定に出したときの堂々とした感じとは違い、明らかに何かを気にしていた。
代金を受け取った後も同じで、最初と違い逃げるようにして店を出て行ったぐらいだ。
「ただいま戻りました!」
「お、ナイスタイミング。どうだった?」
「大通りから裏路地に入って、安宿に向かった所までは見れたんですけど、その後はちょっと怖くて・・・。」
「いやいやそれで十分だ。」
「メルディさんに追いかけさせたんですか?」
「他に人がいなかったんで仕方なくな。さっきの話が本当なら、相手は間違いなくここを狙ってくる。さぁて、どう料理してやろうか。」
これをすぐに換金すればそれなりの利益は出るだろう。
だが、それを知らない奴が店を襲ってそれ以上の被害が出るのは間違いない。
そんな危険な場所にメルディをおいておくことはできないし、そもそもこの店で好き勝手するのは許せない。
とはいえ俺は戦えるような人間ではないし、だからといって警備を置くのもなぁ。
一時的には効果はあるかもしれないが、警備が手薄になったタイミングで盗みに入られる可能性もある。
それなら何も知らない体で一網打尽にしてしまうのが一番効果的。
羊男の話じゃ買い取ったその日のうちに襲撃されたそうだから、あまり準備に時間をかけてもいられない。
さて、どうしてやろうか。
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