転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す

エルリア

文字の大きさ
768 / 1,738

765.転売屋は魚を追いかける

しおりを挟む
「シロウ、お魚捕まえるし?」

「なんだ急に、魚ってダンジョンのか?」

「そうだし、魚が空を泳いでるし!四角くて大きくなったり小さくなったりするし!」

「魚が空を泳ぐ?」

所用でダンジョンに入ると、入って早々に大きな虫取り網を持ったベッキーが出迎えてくれた。

心なしか横で控えているミケがいつも以上にソワソワしている。

しかし魚が空を泳ぐ?

「それはボックステトロドンでしょうか。おちょぼ口で近づくと膨らむ魚の魔物なんですけど。」

「それだし!他の冒険者が慌てて追いかけて行ったし!私も欲しいし!ミケにいっぱい食べてもらうし!」

「ミャウ!」

さすが生き字引キキ、さっきの説明だけで種類まで判明させるとは。

本当に頼りになるなぁ、姉も少しは見習ってくれるといいんだが。

「で、そいつは珍しい魔物なのか?」

「そうでもないですね。水場ではなく草原地帯に出没する魔物で、群れを成していることが多くまとめて見つかることがほとんどです。体内に特殊な魔石を有していることがあるのでそれ目当ての冒険者が網をもって草原を走り回っているなんてのはよくあるはなしですね。」

「つまり見つかれば大量、そうでなければゼロってわけか。食えるのか?」

「生憎食用には向いてなくて。」

「だそうだぞ。」

驚愕の事実にミケが大きくうなだれる。

そんなに期待していたのか。

しかし空飛ぶ魚か、まだ見たことないだけに一度はこの目で見てみたい。

「まぁ食用に向かないのは仕方がないとして魔石か、わざわざ特殊というぐらいだから普通のとは違うんだよな?」

「色とりどりのテトロドンがそれぞれの色に合わせた魔石を体内に有している事があります。赤は火属性青は水属性という感じですね。普通の魔石と違って魔力伝達性能が非常に高く、触媒として使用すればかなりの力を発揮します。」

「ふむ、触媒ねぇ。」

「投げると爆発するし、一回使ったことあるし!」

「爆弾か。」

そういえばこの世界では火薬的なものをあまり見かけないな。

無くはないはずだがそれを冒険者が使っているところを見たことがない。

まぁ魔法があるしそれで事足りるのかもしれないが、銃火器なんかは個人の性能に関係なく使える道具だけに重宝すると思うんだがなぁ。

とはいえ危険なことに変わりはないので規制されているのかもしれない。

「ベッキー、案内してくれ。」

「シロウも行くし?」

「あぁ、興味がある。キキ構わないよな?」

「私はお姉ちゃんに護衛を頼まれているだけなので、でも休憩所には行ってくださいね。」

「休憩所の手前にいるし、終わったらよればいいし!」

「ミケも護衛よろしくな、後で肉を食わせてやるから。」

「みゃう!」

「ずるいし!私もなにか甘い物たべたいし!」

網を振り回して騒ぐベッキーをなだめつつ予定を変更して空飛ぶ魚を探すことにした。

いつものようにダンジョンを進み、いつもはまっすぐ進む分かれ道を右へ。

しばらく進むとダンジョン内にもかかわらず涼しげな風が奥から吹いてきた。

なにやら人の声もする。

視界が突然開け、何故か頭上に空が見えた。

青い空に白い雲。

そして吹いてくる風になびく膝丈の草。

まるで波のように風と共に草が躍り、その上を魚が飛び回っていた。

それはもうトンボみたいに。

「そっちにいったぞ!」

「あ、くそ逃がした!」

「馬鹿野郎、ちゃんと捕まえやがれ!もう一回だ!」

「はい!」

だいの大人がお昆虫博士が使うような大きな網を手に草原を走り回り、追いかけまわした魚を捕まえようと網をふるっている。

なんだろう、見ていると面白いが本人たちは必至だ。

「あれが例の魚か。」

「そうです、あまり強い魔物ではありませんが体当たりされると骨は折れますので気を付けてください。」

「十分凶悪だろ。」

「基本逃げるから問題ないし、目の前にさえ立たなければいいだけだし。」

「そういう問題なのか。」

「ベッキーちゃんの言う通りですね、魚群の前ではなく一歩横に立って網を振るのが効率的です。」

物は試しとミケが追いかけた魚めがけて網をふるうといとも簡単に捕まえることができた。

大きさは40cmぐらいで見た目は四角いフグ。

うん、フグだ。

確かハコフグっていう種類がいたと思うがそれとハリセンボンを足したような感じ。

網の中で一生懸命に体を大小させてこちらを威嚇してくるも、一度止まると勢いがないのか逃げ出すことはできないようだ。

その後も何匹か捕まえてみたのだが、赤青黄緑と中々にカラフルで面白い。

「これ、どうやって体を膨らませているんだ?」

「体内の水と空気を混ぜて軟骨を伸縮させていたと記憶しています。」

「ふむ、とりあえずバラしてみるか。」

トゲなどはないが持った感じは思った以上に硬くどこにナイフを刺しても何かにあたってしまう。

なんとか首の下にナイフが入る場所があったので差し込んでみると、そこから一気に水が出てきた。

量にして1リットルぐらいはあっただろうか。

水が抜けると同時に魚も絶命。

しかし、空を飛ぶのに重たい水を有しているのはなぜだろうか。

というかどうやって飛んでいるんだ?

魔物に物理法則を当てはめるのはナンセンスなのかもしれないが、どうしても気になってしまう。

ナイフを当てながら外側の皮を剝いでいくと想像していなかった中身が姿を現した。

「箱だな。」

「箱だし。」

皮の下から現れたのは半透明の四角い箱。

体が四角いのはこれが下に隠れていたからか。

「確かに肉はない、箱の中にはさっき出てきた水が残ってる感じだな。お、中に何か入っているぞ。後はどうやって取り出すかだが・・・。」

箱の中に赤い何かが透けて見える。

おそらくは皮が赤かったから火の魔石なんだろうけど、どうやって取り出すんだ?

二人と一匹、それといつの間にか集まってきた冒険者達に見られながら箱をくるくる回していると、お重の蓋を開ける感じで上の部分が外れた。

中には先ほどの液体と赤い結晶。

『ボックステトロドンの火結晶。ボックステトロドンの内部で魔力が結晶化したもので非常に魔力伝達性が高く扱いには注意が必要。最近の平均取引価格は銅貨35枚。最安値銅貨20枚最高値銅貨52枚最終取引日は五日前と記録されています。』

やはり火の魔石いや、結晶なのか。

これ単体で爆発することはなさそうだが取り扱いに注意した方がいいのは間違いなさそうだな。

しかし俺が気になっているのはこっちじゃなくて箱の方。

縦横30㎝高さ10cm程の直方体。

蓋を外すのにコツは必要だが、不思議とひっくり返しても中の水が漏れ出すことはない。

なにより硬い。

でも不思議と重たくないんだよなぁ。

半透明に見えていた箱もしっかりと拭くと透明なのがわかった。

中々にきれいじゃないか。

「如何ですか?」

「火の結晶で間違いない、解体にコツはいりそうだが慣れればいけそうだ。」

「もっと捕まえるし?」

「あぁ、最低でも300ずつは捕まえたい。」

「「「300!?」」」

なんで外野が驚いているんだよ。

と思ったらキキとベッキーそれとミケまでが目を真ん丸に見開いている。

大きな猫が驚いた顔ってかなり面白いな。

「なんだよ。」

「そんなに集めてどうされるんでしょう、使用予定がないのであれば大量に扱うのはお勧めできませんが。」

「あぁ、俺が欲しいのは結晶じゃなくて箱の方だ。」

「え、箱ですか?」

「これ、例の化粧品に使えると思わないか?」

箱をキキに渡してみるとすぐに何かを察してくれたようだ。

この大きさ、この見た目、なにより水のこぼれないこの構造。

これなら量産したパックを入れるのにピッタリじゃないだろうか。

こんなことをしながらも広い草原のいたるところを魚群が飛び回っている。

これだけの数がいれば量を確保するのも問題なさそうだし、何より安い。

冒険者の目的はこの中身であって箱は捨てられる運命だろうし、それを再利用できればコストを一気に落とすことができる。

とはいえこのままではただの透明な箱なのである程度手を加える必要はあるだろうけど、十分実用に足ると考えられる。

「確かに使えるかもしれません。」

「とりあえず今日は回収できるだけ回収して上に戻ろう。ついでに中身も何かに使えるかもしれないし。」

「先ほども言いましたが大量に管理するには注意してくださいね。」

「水につけとけば引火する心配はないだろうさ。ってことで一匹捕まえる度に箱は銅貨10枚、結晶は銅貨20枚だす。じゃんじゃん捕まえて休憩所に持ってきてくれ、わかったな?」

「「「わかりました!」」」

彼らの目的は結晶だろうから、捨てる部分が金になるのなら大喜びだろう。

もちろん俺も一番欲しいものが安く手に入って大喜びだ。

早速網を持ったベッキーがミケと共に草原を走り魚群を追いかけ始めた。

はてさてどれだけの数が集まるか楽しみだな。

「俺達は先に休憩所に行って用事を済ませておこう、他の冒険者に告知しておきたいし。」

「わかりました。」

「後はこの箱をどうするか、キキならどんな入れ物に入っていると嬉しいんだ?」

「やっぱり可愛い色とか模様が入っていると気分が上がります。」

やっぱり女子はそういうのが好きなのか。

俺にはさっぱりだ。

「色や模様なぁ。」

「でも濃縮液に色がついていますから模様だけでもいいかもしれません。意外かもしれませんがお姉ちゃんお菓子だけじゃなくて絵を描くのも得意なんですよ。」

「え、マジか?」

「子供の頃は風景画とか描いていましたし。」

「想像できねぇ。」

あのエリザがフェルさんの様に風景画を描くとか。

でも確かにエリザの褒め方は他と少し違ったな、それも昔培った経験によるものなんだろう。

その辺も含めて色々話し合ってもいいかもしれない。

販売まであと半月。

とりあえず材料は全部そろった。

後はそれをどう活用するかだ。

面白くなってきたな。
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

処理中です...