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766.転売屋は絵を描く
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ボックステトロドンの箱は予想通りパックを入れるのにピッタリサイズだった。
試しに現物を入れて見たが傾けてもひっくり返しても液が漏れることはなく、取り出しもコツさえつかめば誰でもできる。
これで箱、原料、蒸留水と問題となっていたものはすべて手配することができた。
後は量産するだけ、と行きたい所なのだが中々そういうわけにいかないわけで。
「地味よね。」
「原液の色が透けて見える分綺麗ですけど、使いたいとは思いません。薬箱の方がまだ綺麗です。」
「自分へのご褒美なわけですしもう少し高級感が欲しい所ではあります。」
「ミラ様の言うように貴族に提供する分と比べるとあまりにも落差がありますよね。これでは冒険者の皆さんは喜んでもらえないと思います。」
入れ物としては申し分ないが、使用したいとは思わないとの現実的な意見が続出。
こういう時に忖度せず本当の意見を言ってくれるのはうれしいのだが、厳しいなぁ。
「となるとやっぱり何か描くしかないか。削ったり掘ったりすると強度が落ちるし描くのが一番手っ取り早い。」
「とはいえ何を描くの?」
「原材料?」
「レレモンみて喜ぶかしら。」
「一目で何を使っているかはわかるだろ。健康的じゃないか?」
「その考え方がよくわかりません、健康でないものがあるのでしょうか。」
「・・・はい。」
元の世界の概念がこの世界でも通用するわけではない。
もちろん健康の概念はあるが、これを食べたら不健康とかそういうことを考えながら生きてはいない。
貴族はまぁ別だが、今回のターゲットは冒険者や一般人なわけだし彼らはそんなこと気にして生きていないんだよなぁ。
それよりも大事なのは高級感。
俗にいう『アガる』というやつを意識しなければならないだろう。
じゃあ何をもってアガるのか。
それがわかれば苦労しないっての。
「ちなみにハーシェさんはどんな見た目なら手に取りたいですか?」
「そうですね、キラキラ光っているものは昔から好きです。」
「分かる、宝石とか!」
「お姉ちゃんそれはちょっと違うと思うけど、でも私も星みたいにキラキラしていたらすきかも。」
「そういうアネットはどういうのがいいの?」
「私は細かな細工とかされているのが好きですね、模様とかでもいいんですけど単調よりも複雑な感じだとよさそうに見えません?」
「んー分かるようなわからないような。」
「魔法陣とか綺麗ですよね。」
俺を置いて女たちは女子トークを開始してしまった。
こうなったら手が付けられないので俺は自分の机に戻り書類作業に集中することにした。
いつもは静かな執務室も今日は非常に賑やかだ。
いや悪い意味じゃない、こういうのもたまにはいいなと思っただけだ。
適度な雑音があった方が人間集中できるっていうし。
そんな中、コンコンというノックの後セーラさんが入ってきた。
賑やかな女たちの方を一瞥してから表情を変えることなく俺の横にやってくる。
「失礼します、先日の顔料代がギルド協会を通じて支払われましたのでご報告いたします。」
「お、思ったより早かったな。」
「オリンピア様を通じての支払いになりますので。」
「パトロンが強いと仕事が早くなるのも当然か。」
「しかし不思議なものですね、魔物の素材があのような色に仕上がるのですから。」
「それは俺も思う。同じ赤でも物によっては全然印象が違うからなぁ、それを使いこなしてこそ一人前の画家なんだろうけど。そうだ、エリザが何か描いたらどうだ?」
ふとこの前にキキが言っていたことを思い出した。
絵心のない奴が考えるよりも専門にやっていたやつの方がいい絵を描くに違いない。
「え、私?なんで?」
「昔絵を描いていたって聞いたんだが?」
「ちょっとキキしゃべったの!?」
「ごめんおねえちゃん、つい。」
ペロッと舌を出して姉に謝るキキだが、ぶっちゃけまったく心はこもっていない。
「エリザ様が絵を?」
「え、見てみたい!何か描いてみてください!」
「そんな簡単に言わないでよ、それに描いていたのだって大昔の話だし。」
「えー、ダメなんですか?」
拒否するエリザにアネットが珍しく絡んでいく。
冗談半分真剣半分って感じだろうか、悪意がそんなにないだけにエリザも断りにくいって感じだ。
「ダメなのか?」
「シロウが何を言っても私は描かないわよ、別に上手じゃないし。売り物にする絵なんて無理よ無理。」
「えー、残念です。」
「それか、シロウが一緒に書いてくれるなら別だけど?」
「は?俺が絵を?なんでだ?」
「自分が言い出したんなら最後まで責任取るべきじゃない?そうよ、それなら描いてあげるわ。」
「いや、なんで俺が絵なんて・・・。」
そういう知識は全くない、そんな俺を他所に女たちの視線が全部俺に集まってくる。
って、セーラさんもかよ。
「どうするの?描くの描かないの?」
「か、描かない。」
「じゃあ私も描かない。」
「ならどうするんだよ。」
「さぁ、自分で考えたら?」
自分の立場が上だからってそれを振りかざしやがって。
いいだろうこうなったら自棄だ、全員巻き込んでやる。
「・・・わかった。」
「え?」
「ここにいる全員、いや屋敷の全員強制参加だ。もちろん報酬は出す、一番高級そうな絵を描いた奴が優勝な。」
「「「「えぇぇぇーーー!!!」」」」
なんだよその反応。
自分たちは無関係だと思ったんだろうが、そんなわけがないだろうが。
地獄まで付き合ってもらうぞ。
ってな感じで急遽決まったコンテスト。
内容は冬に発売するパックの入れ物に描く模様だ。
モチーフは何でもあり、これだっていうものを描いてもらうことにした。
ボックステトロドンの透明な入れ物に直接描いて全員で良いと思うものに投票するという感じなのだが、はてさてどんな絵が生まれるのか。
「おぉ、流石経験者なだけあって上手いな。」
「ふふん、褒めても何も出ないわよ。」
「何か意味のある模様なのか?」
「そういうわけじゃないんだけど、そういうのならキキの方が得意じゃないかしら。」
各自思い思いの場所で箱に筆を走らせている。
エリザは箱の正面に原材料の絵をかき、それにこじゃれた模様を加えていた。
ちなみに俺は早々にギブアップ。
言い出しっぺなので一応それらしいものは描いたが、まるで子供が描いたような仕上がりだった。
やはり俺に絵心はないようだ。
その後もみんなの絵を順番に覗き見してまわり、昼過ぎを期限として裏庭に集合。
各自審査に入る。
「これは、魔法陣かなにかですか?」
「意味はありませんが魔術文字を使ってそれらしく描いてみました。」
「なかなか良いじゃないか。」
「えへへ、ありがとうございます。」
エリザのいうようにキキは魔術文字を使って鮮やかな模様を作り上げていた。
ミラとハーシェさんは花のような模様を、ハワードはなぜか食い物の絵を描いている。
うん、気持ちはわかる。
しかもそれなりに上手いし別の意味で開けたくなる仕上がりだ。
アネットとグレイスは幾何学的な模様を鮮やかに描き上げてた。
こちらもなかなか見ごたえがある、優勝候補の筆頭といえるだろう。
「ほぉ、案外似ないもんなんだな。」
「二人で一人ではありますが。」
「個別に活動すると少しは差が出ます。」
「なるほど、どちらも見事だ。」
「「ありがとうございます。」」
屋敷の全員強制参加なのでセーラさんとラフィムさんももちろん参加、似た感じになるのかと思ったのだが、セーラさんは大胆な筆さばきで動きのある感じでラフィムさんは繊細なタッチで細かな仕上がりになっていた。
俺なんかよりも数段上の仕上がり、っていうかこの中で一番下手なのはやはり俺だったか。
「それじゃあ各自投票してもらったわけだが・・・、優勝は言わなくてもよさそうだな。」
「やった!僕が一番!」
「おめでとうジョン。」
「ありがとうお姉ちゃん!」
そう、最多得票を獲得したのはまさかのダークホース。
満面の笑みを浮かべて自慢げに作品を持つジョンの作品だ。
パッと見は俺が描いたような無茶苦茶上手という感じではないのだが、見れば見るほど味があるというかどの角度から見ても興味の引く模様が描かれている。
なんだろう、これが才能というやつなんだろうか。
決して安っぽすぎず、でも上品すぎるわけでもない。
花と葉と実がランダムに描かれたソレはとても愛着の沸く作品に仕上がっていた。
正面もそうだが横にもしっかりと模様が描かれており、本人の笑顔を見てもわかるように非常に楽しんで描いたんだろうなぁ。
「優勝賞金は銀貨10枚、これで好きな物買っていいぞ。」
「やったぁ!お姉ちゃんお菓子買いに行こう!」
「え、私は大丈夫ジョンが好きなのを買いなよ。」
「やだ、お姉ちゃんと食べたいの。それとミミィ姉ちゃんも!」
「え、私もですか?」
「ダメ?」
「いいぞ、三人一緒に買いに行ってこい。二人は銀貨2枚な。」
自分のお金なんだし好きなように使えばいいのだが、菓子代ぐらいだしてやろうじゃないか。
元気いっぱいの三人を送りだして裏庭に戻るとハワードがジョンの絵の前で腕を組んでいた。
「どうした?」
「いや、何度見ても良い仕上がりだなと思いましてね。」
「まさかジョンにこんな才能があるとはなぁ、絵の勉強でもさせるか?」
「本人にその気があればいいんじゃないでしょうか。」
年の離れた弟、もしかしたら自分の子供のように可愛いがっているからなぁハワードは。
だからこそ評価されて自分もうれしいんだろう。
そんな笑顔が一転急に怪訝な表情に変わる。
「気になる事でもあるのか?」
「いや、良い仕上がりなんですけどね、これどうやって書き写すんですか?」
「あ。」
そういえばそこまで考えていなかった。
確かに素晴らしい仕上がりなんだけども。
これ、どうやって量産する?
試しに現物を入れて見たが傾けてもひっくり返しても液が漏れることはなく、取り出しもコツさえつかめば誰でもできる。
これで箱、原料、蒸留水と問題となっていたものはすべて手配することができた。
後は量産するだけ、と行きたい所なのだが中々そういうわけにいかないわけで。
「地味よね。」
「原液の色が透けて見える分綺麗ですけど、使いたいとは思いません。薬箱の方がまだ綺麗です。」
「自分へのご褒美なわけですしもう少し高級感が欲しい所ではあります。」
「ミラ様の言うように貴族に提供する分と比べるとあまりにも落差がありますよね。これでは冒険者の皆さんは喜んでもらえないと思います。」
入れ物としては申し分ないが、使用したいとは思わないとの現実的な意見が続出。
こういう時に忖度せず本当の意見を言ってくれるのはうれしいのだが、厳しいなぁ。
「となるとやっぱり何か描くしかないか。削ったり掘ったりすると強度が落ちるし描くのが一番手っ取り早い。」
「とはいえ何を描くの?」
「原材料?」
「レレモンみて喜ぶかしら。」
「一目で何を使っているかはわかるだろ。健康的じゃないか?」
「その考え方がよくわかりません、健康でないものがあるのでしょうか。」
「・・・はい。」
元の世界の概念がこの世界でも通用するわけではない。
もちろん健康の概念はあるが、これを食べたら不健康とかそういうことを考えながら生きてはいない。
貴族はまぁ別だが、今回のターゲットは冒険者や一般人なわけだし彼らはそんなこと気にして生きていないんだよなぁ。
それよりも大事なのは高級感。
俗にいう『アガる』というやつを意識しなければならないだろう。
じゃあ何をもってアガるのか。
それがわかれば苦労しないっての。
「ちなみにハーシェさんはどんな見た目なら手に取りたいですか?」
「そうですね、キラキラ光っているものは昔から好きです。」
「分かる、宝石とか!」
「お姉ちゃんそれはちょっと違うと思うけど、でも私も星みたいにキラキラしていたらすきかも。」
「そういうアネットはどういうのがいいの?」
「私は細かな細工とかされているのが好きですね、模様とかでもいいんですけど単調よりも複雑な感じだとよさそうに見えません?」
「んー分かるようなわからないような。」
「魔法陣とか綺麗ですよね。」
俺を置いて女たちは女子トークを開始してしまった。
こうなったら手が付けられないので俺は自分の机に戻り書類作業に集中することにした。
いつもは静かな執務室も今日は非常に賑やかだ。
いや悪い意味じゃない、こういうのもたまにはいいなと思っただけだ。
適度な雑音があった方が人間集中できるっていうし。
そんな中、コンコンというノックの後セーラさんが入ってきた。
賑やかな女たちの方を一瞥してから表情を変えることなく俺の横にやってくる。
「失礼します、先日の顔料代がギルド協会を通じて支払われましたのでご報告いたします。」
「お、思ったより早かったな。」
「オリンピア様を通じての支払いになりますので。」
「パトロンが強いと仕事が早くなるのも当然か。」
「しかし不思議なものですね、魔物の素材があのような色に仕上がるのですから。」
「それは俺も思う。同じ赤でも物によっては全然印象が違うからなぁ、それを使いこなしてこそ一人前の画家なんだろうけど。そうだ、エリザが何か描いたらどうだ?」
ふとこの前にキキが言っていたことを思い出した。
絵心のない奴が考えるよりも専門にやっていたやつの方がいい絵を描くに違いない。
「え、私?なんで?」
「昔絵を描いていたって聞いたんだが?」
「ちょっとキキしゃべったの!?」
「ごめんおねえちゃん、つい。」
ペロッと舌を出して姉に謝るキキだが、ぶっちゃけまったく心はこもっていない。
「エリザ様が絵を?」
「え、見てみたい!何か描いてみてください!」
「そんな簡単に言わないでよ、それに描いていたのだって大昔の話だし。」
「えー、ダメなんですか?」
拒否するエリザにアネットが珍しく絡んでいく。
冗談半分真剣半分って感じだろうか、悪意がそんなにないだけにエリザも断りにくいって感じだ。
「ダメなのか?」
「シロウが何を言っても私は描かないわよ、別に上手じゃないし。売り物にする絵なんて無理よ無理。」
「えー、残念です。」
「それか、シロウが一緒に書いてくれるなら別だけど?」
「は?俺が絵を?なんでだ?」
「自分が言い出したんなら最後まで責任取るべきじゃない?そうよ、それなら描いてあげるわ。」
「いや、なんで俺が絵なんて・・・。」
そういう知識は全くない、そんな俺を他所に女たちの視線が全部俺に集まってくる。
って、セーラさんもかよ。
「どうするの?描くの描かないの?」
「か、描かない。」
「じゃあ私も描かない。」
「ならどうするんだよ。」
「さぁ、自分で考えたら?」
自分の立場が上だからってそれを振りかざしやがって。
いいだろうこうなったら自棄だ、全員巻き込んでやる。
「・・・わかった。」
「え?」
「ここにいる全員、いや屋敷の全員強制参加だ。もちろん報酬は出す、一番高級そうな絵を描いた奴が優勝な。」
「「「「えぇぇぇーーー!!!」」」」
なんだよその反応。
自分たちは無関係だと思ったんだろうが、そんなわけがないだろうが。
地獄まで付き合ってもらうぞ。
ってな感じで急遽決まったコンテスト。
内容は冬に発売するパックの入れ物に描く模様だ。
モチーフは何でもあり、これだっていうものを描いてもらうことにした。
ボックステトロドンの透明な入れ物に直接描いて全員で良いと思うものに投票するという感じなのだが、はてさてどんな絵が生まれるのか。
「おぉ、流石経験者なだけあって上手いな。」
「ふふん、褒めても何も出ないわよ。」
「何か意味のある模様なのか?」
「そういうわけじゃないんだけど、そういうのならキキの方が得意じゃないかしら。」
各自思い思いの場所で箱に筆を走らせている。
エリザは箱の正面に原材料の絵をかき、それにこじゃれた模様を加えていた。
ちなみに俺は早々にギブアップ。
言い出しっぺなので一応それらしいものは描いたが、まるで子供が描いたような仕上がりだった。
やはり俺に絵心はないようだ。
その後もみんなの絵を順番に覗き見してまわり、昼過ぎを期限として裏庭に集合。
各自審査に入る。
「これは、魔法陣かなにかですか?」
「意味はありませんが魔術文字を使ってそれらしく描いてみました。」
「なかなか良いじゃないか。」
「えへへ、ありがとうございます。」
エリザのいうようにキキは魔術文字を使って鮮やかな模様を作り上げていた。
ミラとハーシェさんは花のような模様を、ハワードはなぜか食い物の絵を描いている。
うん、気持ちはわかる。
しかもそれなりに上手いし別の意味で開けたくなる仕上がりだ。
アネットとグレイスは幾何学的な模様を鮮やかに描き上げてた。
こちらもなかなか見ごたえがある、優勝候補の筆頭といえるだろう。
「ほぉ、案外似ないもんなんだな。」
「二人で一人ではありますが。」
「個別に活動すると少しは差が出ます。」
「なるほど、どちらも見事だ。」
「「ありがとうございます。」」
屋敷の全員強制参加なのでセーラさんとラフィムさんももちろん参加、似た感じになるのかと思ったのだが、セーラさんは大胆な筆さばきで動きのある感じでラフィムさんは繊細なタッチで細かな仕上がりになっていた。
俺なんかよりも数段上の仕上がり、っていうかこの中で一番下手なのはやはり俺だったか。
「それじゃあ各自投票してもらったわけだが・・・、優勝は言わなくてもよさそうだな。」
「やった!僕が一番!」
「おめでとうジョン。」
「ありがとうお姉ちゃん!」
そう、最多得票を獲得したのはまさかのダークホース。
満面の笑みを浮かべて自慢げに作品を持つジョンの作品だ。
パッと見は俺が描いたような無茶苦茶上手という感じではないのだが、見れば見るほど味があるというかどの角度から見ても興味の引く模様が描かれている。
なんだろう、これが才能というやつなんだろうか。
決して安っぽすぎず、でも上品すぎるわけでもない。
花と葉と実がランダムに描かれたソレはとても愛着の沸く作品に仕上がっていた。
正面もそうだが横にもしっかりと模様が描かれており、本人の笑顔を見てもわかるように非常に楽しんで描いたんだろうなぁ。
「優勝賞金は銀貨10枚、これで好きな物買っていいぞ。」
「やったぁ!お姉ちゃんお菓子買いに行こう!」
「え、私は大丈夫ジョンが好きなのを買いなよ。」
「やだ、お姉ちゃんと食べたいの。それとミミィ姉ちゃんも!」
「え、私もですか?」
「ダメ?」
「いいぞ、三人一緒に買いに行ってこい。二人は銀貨2枚な。」
自分のお金なんだし好きなように使えばいいのだが、菓子代ぐらいだしてやろうじゃないか。
元気いっぱいの三人を送りだして裏庭に戻るとハワードがジョンの絵の前で腕を組んでいた。
「どうした?」
「いや、何度見ても良い仕上がりだなと思いましてね。」
「まさかジョンにこんな才能があるとはなぁ、絵の勉強でもさせるか?」
「本人にその気があればいいんじゃないでしょうか。」
年の離れた弟、もしかしたら自分の子供のように可愛いがっているからなぁハワードは。
だからこそ評価されて自分もうれしいんだろう。
そんな笑顔が一転急に怪訝な表情に変わる。
「気になる事でもあるのか?」
「いや、良い仕上がりなんですけどね、これどうやって書き写すんですか?」
「あ。」
そういえばそこまで考えていなかった。
確かに素晴らしい仕上がりなんだけども。
これ、どうやって量産する?
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