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527.転売屋は買い付けた品を売りまくる
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一週間ぶりに街に戻ってきたが、前回のような大騒動にはならなかった。
そりゃ買取を待っていた冒険者は多数いたが、どれも武器や防具などで数が少ない。
素材系はギルドへという流れはちゃんとできているようだ。
もちろんメルディも頑張った。
戻ってきた日は半泣きで不安な一週間について愚痴られもしたが、それでも自信には繋がったようだ。
今後は少しずつ武具系の鑑定も覚えさせたいところだが、やはり鑑定スキルがないと難しいんだよなぁ。
その辺は今後の課題ということで。
「さて、メルディには三日間の有給休暇を与えたし俺達だけで頑張るとするか。」
「俺達じゃなくてミラだけでしょ?」
「俺も働くぞ?」
「シロウ様には一日でも早く買い付けた品を捌いていただかなければなりません。幸い急ぎのお客様は昨日のうちに終わりましたので、こちらはお任せください。」
「大丈夫か?」
「これぐらいできなければお店を任せて頂いている意味がありませんから。」
ミラも久々の仕事で気合が入っているようだ。
エリザは冒険者ギルドへアネットはたまった製薬の注文を一気に片付けている。
それぞれがしっかりと自分の仕事をしているのに俺だけサボるわけには行かないよな。
ってことで店を任せてまず向かったのはモーリスさんの所だ。
「あ、シロウさんお久しぶりです。」
「モーリスさんはいるか?」
「ちょっと待ってくださいね。アナタ~シロウさんが来ましたよ~。」
「ちょっと待って貰ってくれー!」
「だ、そうですので中でお待ちください。」
勝手知ったるなんとやら。
そのまま奥に進み応接用のソファーでくつろいでいるとモーリスさんが慌てた様子で戻ってきた。
「シロウさんお帰りなさい、いつ戻られたんですか?」
「昨日の夜だ。」
「今回は港町に行かれたそうですね。塩はどうでしたか?」
「予定通りの量を買い付けできた、いつもどおり折半でいいか?」
「むしろ6:4でも構いませんよ?」
「倉庫を借りるしいつもどおりでいい。それよりも今回はこれをもってきたんだ。」
塩の買い付けは前々から話していたので折半で問題ない。
手間をかけたということで一割分気を使ってくれたんだろう。
そんなモーリスさんの前に買い付けたばかりの柚子を転がす。
「これは・・・。オレンジかと思いましたが違うようですね。」
「柚子っていう果物なんだが、知ってるか?」
「名前は存じています。なるほど、コレがそうですか。いい香りですね。」
「そのまま食べてもいいが加工してジャムにもできるし、料理の香り付けにも使える。三箱買い付けたんだが、一箱どうだ?」
鼻に近づけ香りを楽しむモーリスさん。
だがその目は真剣そのものだ。
「もちろん何かされるんですよね?」
「レレモンも大量に買い付けたからそれらを使ってジャムを作るつもりだ。それと柚子は化粧水の香り付けにも使うつもりでいる。こっちは時間がかかるだろうから消費されるとしたらジャムのほうだな。」
「ジャムですか。」
「ちなみにドルチェの新作に使って貰えるよう提供するつもりではいる。」
「買いましょう。」
「即決だな。」
「使用方法がわかっているのであれば売れます。それにこの香り、春先の花粉症の時にも楽しめそうです。」
そこまで読むとは流石モーリスさん。
普通新しい商材をポンと決めることは中々ないが、売れると判断してくれたみたいだ。
「一箱100個入りで一個銅貨35枚。少々高めだが50で売れると思うか?」
「加工次第では売れるでしょう。次回はもう少し安く買い付けていただけるなら大丈夫かと。レレモンも二箱程いただけますか?」
「いいのか?」
「一緒にすれば安く見えますから。」
「ならレレモンは銅貨20枚で。」
「ありがとうございます。」
レレモンと柚子で各銀貨10の利益だ。
それに塩の代金を加えればコレだけで銀貨40枚稼いだ計算になる。
もちろん輸送費やら何やらあるが、運んできて売るだけでこの利益なんだから、ぼろい商売だよなぁ。
「他に何かありますか?」
「そうだな、魚の干物に香辛料が少しって所か。」
「では干物も半分買わせていただきます。シロウ様のおかげでこっちもよく売れるんです。」
「そりゃありがたい。売れなかったら毎日干物尽くしになる所だった。」
追加で銀貨20枚。
モーリスさんの所で銀貨60枚ほど稼ぎ、次に向かったのはマスターの店。
「お、やっと帰ってきやがったか。」
「前と一緒で一週間あけただけだぞ?」
「それでも冒険者(あいつら)は待ちわびてたみたいだぞ。で、今回は何を買ってきたんだ?」
「マスターといえば酒だろ。それとつまみになりそうな奴をいくつか。」
「とりあえず見せてみろ、話はそれからだ。」
初日に買い付けた異国の酒、それとサラミのような肉の塩漬けと魚の干物。
どれもこの店にぴったりな商材だ。
「ふむ、コレは西方の酒でこっちがエール、んでコレは・・・火酒か?」
「強さでいえば近い感じだが、芋で作ってるから風味が違うだろ?」
「クセは強いがどうやって飲むんだ?」
「お勧めはお湯割りだな。」
「ほぉ、割るのか。」
「暖められるとより香りが強くなる、加えて飲む量も増える。」
「なるほどな。全部でいくらだ?」
「酒が銀貨30枚、つまみが銀貨50枚でどうだ?」
「つまみの方が高いのかよ。」
「酒は量が必要なら追加で注文できるよう掛け合ってある。それで許してくれ。」
酒はあえて量を少なめにしておいた。
売れるなら追加で仕入れればいいが、買い付けたものの売れなかったじゃ面倒になる。
うちに返品されても困るしその辺も一応考えてるんだよ。
「銀貨75枚。」
「その代わり今日の酒代はおごりな。」
「なら80でいい、どうせエリザ連れてくるんだろ?」
「ばれたか。」
あいつと飲むと余裕で銀貨10枚ぐらいかかるんだよな。
食事も一緒ならもう少し少ないが、酒だけとなると遠慮なく飲みやがる。
出費を抑えようとしたが生憎マスターにはお見通しだったようだ。
酒とつまみは各銀貨20枚ずつなのでここで銀貨40枚。
二件で金貨1枚の儲けになる。
使った金額からはまだまだ回収できていないが、それはこの後からだな。
マスターの店を出て次に向かったのは・・・。
「あら、戻ってきたのね。」
「お久しぶりですアナスタシア様。」
「デビットから聞いたわよ、彼の船で港町まで行ったそうね。船旅はいかがだったかしら。」
「思った以上にいい旅だった。時間的な面でも乗り心地でも申し分ない。」
「随分と気に入ったようでよかったわ。それで、私の所に来たって事は何か持ってきてくれたのよね?」
「最近街で話題になっている発光石は知ってるか?」
「子供の間で流行っているそうね。それが何か?」
「それの大人向けを作ってみた。あぁ心配しなくても特に怪しい効果は付いていない、ただ高価な間接照明だと思ってくれたらいい。」
カバンから取り出したのは布でしっかり包まれた箱。
焦らすようにゆっくりと布をほどくと、桐のような木で作られた箱が姿を現した。
「随分と綺麗な箱に入っているのね。」
「箱だけじゃなく中身も気に入ってもらえるとうれしいんだがな。」
上部をスライドさせて取り出したのは、鮮やかな切子細工の施された赤いグラスだ。
キラキラと輝くグラスにアナスタシア様の目が細くなる。
まるで獲物を見つけた肉食獣のような感じだ。
「素晴らしい出来ね、でもグラスとして売るんじゃないんでしょ?」
「あぁ、これはこうやって使う。」
発光石の埋め込まれたスライムの核をグラスの上に置き、それを軽く叩いてやる。
すると石が光りだし、切り込みに反射してキラキラと輝きだした。
「確かにこれは大人向けね。」
「回転する道具に乗せても面白いが・・・こんな感じですぐに消える。僅かな明りが欲しい時なんかに使えると思うんだが、その感じだとグラスだけのほうが売れそうな感じか?」
「そうね、万人受けするのはグラスの方でしょうね。でもこれ自体も嫌いじゃないわよ、一瞬の為だけにわざわざ燃料を付けるのって面倒だし、その為に魔道具を使うのもねぇ。」
「ふむ、やっぱりそうか。」
「ちなみにグラスはいくつあるの?」
「このサイズで20個、後は花瓶と一輪挿しが一つずつだな。それと・・・。」
思い出したかのように最後の一つをカバンから取り出す。
同じように布をほどき木箱からゆっくり取り出したそれは最初に見せてもらった一点物のグラスだ。
大きさはぐい飲みほど。
鮮やかな青色に鮮やかな花の細工が施されている。
「こっちはアナスタシア様専用だ。もちろん値は張るが・・・。」
「買うわ。」
「値段は聞かないのか?」
「金貨5枚までなら即決よ。」
「ならその値段でいい。後は小さい方が一つ銀貨20枚で花瓶は金貨3枚、一輪挿しが金貨2枚ってところだな。」
「買い手は私の方で見繕っていいのよね?でもすぐに追加が必要になるわよ、大丈夫?」
「月40が限界だ。このサイズだしショットグラスにしか使えないと思うんだが?」
「ソレを決めつけるのはよくないわね。これは売れるわ、私が保証する。」
「ならお任せする。代金はまた時間のある時に持ってきてくれ。」
グラスだけで金貨7.2枚の儲け。
これだけで今回の買付分を全て支払ってもおつりがくる。
加えてさらに売れるというお墨付きまでもらった。
これは今後も期待できそうだ.
でもこれで終わりではない。
一度店に戻り、最後のブツを回収して目的の場所へと向かう。
「シロウか、わざわざ私の所に来るという事は・・・大きいな。」
「港町で素晴らしい物を見つけたんでね、ローランド様にふさわしいと思って買い付けてきたんだ。もちろん絶対に買ってくれとは言わないが、損はさせないつもりだ。」
「お前がそこまで言うのならば素晴らしいものなのだろう。誰か、これを。」
持ってきたのは最初に買い付けた絨毯だ。
メインは布の方なんだが、こっちはローランド様にふさわしいと思って買い付けた。
もっとも、売れなくてもうちの応接室に使うので何も問題はない。
使用人が二人係りで絨毯を運びどこかへと運んで行った。
ちなみにここまで持ってきたのは俺ではなくてメルディだ。
家にいるはずが暇ですることがないとの事で手伝ってくれた。
仕事熱心というかワーカホリックというか。
別に俺みたいにならなくてもいいんだけどなぁ。
絨毯は応接室へと運ばれ無事にローランド様のお眼鏡にかなう事となった。
最初金貨10枚と吹っかけてみたんだが、流石に怒られてしまい結果金貨8枚で買ってもらえた。
南方の一点物という単語がよかったらしい。
どの世界でも限定品には皆弱い。
布関係が全部で金貨3枚だったので、これで儲けが金貨5枚。
後は売れば売るだけプラスが出る計算だ。
あの布をどうやって売るかしっかり考えるとしよう。
まだまだ買い付けた品は山ほどある。
手間ではあるが売れば売るだけ金になるんだ、その手間を惜しむのはバカのすること。
さぁ、残りもしっかり売っていかないとな。
そりゃ買取を待っていた冒険者は多数いたが、どれも武器や防具などで数が少ない。
素材系はギルドへという流れはちゃんとできているようだ。
もちろんメルディも頑張った。
戻ってきた日は半泣きで不安な一週間について愚痴られもしたが、それでも自信には繋がったようだ。
今後は少しずつ武具系の鑑定も覚えさせたいところだが、やはり鑑定スキルがないと難しいんだよなぁ。
その辺は今後の課題ということで。
「さて、メルディには三日間の有給休暇を与えたし俺達だけで頑張るとするか。」
「俺達じゃなくてミラだけでしょ?」
「俺も働くぞ?」
「シロウ様には一日でも早く買い付けた品を捌いていただかなければなりません。幸い急ぎのお客様は昨日のうちに終わりましたので、こちらはお任せください。」
「大丈夫か?」
「これぐらいできなければお店を任せて頂いている意味がありませんから。」
ミラも久々の仕事で気合が入っているようだ。
エリザは冒険者ギルドへアネットはたまった製薬の注文を一気に片付けている。
それぞれがしっかりと自分の仕事をしているのに俺だけサボるわけには行かないよな。
ってことで店を任せてまず向かったのはモーリスさんの所だ。
「あ、シロウさんお久しぶりです。」
「モーリスさんはいるか?」
「ちょっと待ってくださいね。アナタ~シロウさんが来ましたよ~。」
「ちょっと待って貰ってくれー!」
「だ、そうですので中でお待ちください。」
勝手知ったるなんとやら。
そのまま奥に進み応接用のソファーでくつろいでいるとモーリスさんが慌てた様子で戻ってきた。
「シロウさんお帰りなさい、いつ戻られたんですか?」
「昨日の夜だ。」
「今回は港町に行かれたそうですね。塩はどうでしたか?」
「予定通りの量を買い付けできた、いつもどおり折半でいいか?」
「むしろ6:4でも構いませんよ?」
「倉庫を借りるしいつもどおりでいい。それよりも今回はこれをもってきたんだ。」
塩の買い付けは前々から話していたので折半で問題ない。
手間をかけたということで一割分気を使ってくれたんだろう。
そんなモーリスさんの前に買い付けたばかりの柚子を転がす。
「これは・・・。オレンジかと思いましたが違うようですね。」
「柚子っていう果物なんだが、知ってるか?」
「名前は存じています。なるほど、コレがそうですか。いい香りですね。」
「そのまま食べてもいいが加工してジャムにもできるし、料理の香り付けにも使える。三箱買い付けたんだが、一箱どうだ?」
鼻に近づけ香りを楽しむモーリスさん。
だがその目は真剣そのものだ。
「もちろん何かされるんですよね?」
「レレモンも大量に買い付けたからそれらを使ってジャムを作るつもりだ。それと柚子は化粧水の香り付けにも使うつもりでいる。こっちは時間がかかるだろうから消費されるとしたらジャムのほうだな。」
「ジャムですか。」
「ちなみにドルチェの新作に使って貰えるよう提供するつもりではいる。」
「買いましょう。」
「即決だな。」
「使用方法がわかっているのであれば売れます。それにこの香り、春先の花粉症の時にも楽しめそうです。」
そこまで読むとは流石モーリスさん。
普通新しい商材をポンと決めることは中々ないが、売れると判断してくれたみたいだ。
「一箱100個入りで一個銅貨35枚。少々高めだが50で売れると思うか?」
「加工次第では売れるでしょう。次回はもう少し安く買い付けていただけるなら大丈夫かと。レレモンも二箱程いただけますか?」
「いいのか?」
「一緒にすれば安く見えますから。」
「ならレレモンは銅貨20枚で。」
「ありがとうございます。」
レレモンと柚子で各銀貨10の利益だ。
それに塩の代金を加えればコレだけで銀貨40枚稼いだ計算になる。
もちろん輸送費やら何やらあるが、運んできて売るだけでこの利益なんだから、ぼろい商売だよなぁ。
「他に何かありますか?」
「そうだな、魚の干物に香辛料が少しって所か。」
「では干物も半分買わせていただきます。シロウ様のおかげでこっちもよく売れるんです。」
「そりゃありがたい。売れなかったら毎日干物尽くしになる所だった。」
追加で銀貨20枚。
モーリスさんの所で銀貨60枚ほど稼ぎ、次に向かったのはマスターの店。
「お、やっと帰ってきやがったか。」
「前と一緒で一週間あけただけだぞ?」
「それでも冒険者(あいつら)は待ちわびてたみたいだぞ。で、今回は何を買ってきたんだ?」
「マスターといえば酒だろ。それとつまみになりそうな奴をいくつか。」
「とりあえず見せてみろ、話はそれからだ。」
初日に買い付けた異国の酒、それとサラミのような肉の塩漬けと魚の干物。
どれもこの店にぴったりな商材だ。
「ふむ、コレは西方の酒でこっちがエール、んでコレは・・・火酒か?」
「強さでいえば近い感じだが、芋で作ってるから風味が違うだろ?」
「クセは強いがどうやって飲むんだ?」
「お勧めはお湯割りだな。」
「ほぉ、割るのか。」
「暖められるとより香りが強くなる、加えて飲む量も増える。」
「なるほどな。全部でいくらだ?」
「酒が銀貨30枚、つまみが銀貨50枚でどうだ?」
「つまみの方が高いのかよ。」
「酒は量が必要なら追加で注文できるよう掛け合ってある。それで許してくれ。」
酒はあえて量を少なめにしておいた。
売れるなら追加で仕入れればいいが、買い付けたものの売れなかったじゃ面倒になる。
うちに返品されても困るしその辺も一応考えてるんだよ。
「銀貨75枚。」
「その代わり今日の酒代はおごりな。」
「なら80でいい、どうせエリザ連れてくるんだろ?」
「ばれたか。」
あいつと飲むと余裕で銀貨10枚ぐらいかかるんだよな。
食事も一緒ならもう少し少ないが、酒だけとなると遠慮なく飲みやがる。
出費を抑えようとしたが生憎マスターにはお見通しだったようだ。
酒とつまみは各銀貨20枚ずつなのでここで銀貨40枚。
二件で金貨1枚の儲けになる。
使った金額からはまだまだ回収できていないが、それはこの後からだな。
マスターの店を出て次に向かったのは・・・。
「あら、戻ってきたのね。」
「お久しぶりですアナスタシア様。」
「デビットから聞いたわよ、彼の船で港町まで行ったそうね。船旅はいかがだったかしら。」
「思った以上にいい旅だった。時間的な面でも乗り心地でも申し分ない。」
「随分と気に入ったようでよかったわ。それで、私の所に来たって事は何か持ってきてくれたのよね?」
「最近街で話題になっている発光石は知ってるか?」
「子供の間で流行っているそうね。それが何か?」
「それの大人向けを作ってみた。あぁ心配しなくても特に怪しい効果は付いていない、ただ高価な間接照明だと思ってくれたらいい。」
カバンから取り出したのは布でしっかり包まれた箱。
焦らすようにゆっくりと布をほどくと、桐のような木で作られた箱が姿を現した。
「随分と綺麗な箱に入っているのね。」
「箱だけじゃなく中身も気に入ってもらえるとうれしいんだがな。」
上部をスライドさせて取り出したのは、鮮やかな切子細工の施された赤いグラスだ。
キラキラと輝くグラスにアナスタシア様の目が細くなる。
まるで獲物を見つけた肉食獣のような感じだ。
「素晴らしい出来ね、でもグラスとして売るんじゃないんでしょ?」
「あぁ、これはこうやって使う。」
発光石の埋め込まれたスライムの核をグラスの上に置き、それを軽く叩いてやる。
すると石が光りだし、切り込みに反射してキラキラと輝きだした。
「確かにこれは大人向けね。」
「回転する道具に乗せても面白いが・・・こんな感じですぐに消える。僅かな明りが欲しい時なんかに使えると思うんだが、その感じだとグラスだけのほうが売れそうな感じか?」
「そうね、万人受けするのはグラスの方でしょうね。でもこれ自体も嫌いじゃないわよ、一瞬の為だけにわざわざ燃料を付けるのって面倒だし、その為に魔道具を使うのもねぇ。」
「ふむ、やっぱりそうか。」
「ちなみにグラスはいくつあるの?」
「このサイズで20個、後は花瓶と一輪挿しが一つずつだな。それと・・・。」
思い出したかのように最後の一つをカバンから取り出す。
同じように布をほどき木箱からゆっくり取り出したそれは最初に見せてもらった一点物のグラスだ。
大きさはぐい飲みほど。
鮮やかな青色に鮮やかな花の細工が施されている。
「こっちはアナスタシア様専用だ。もちろん値は張るが・・・。」
「買うわ。」
「値段は聞かないのか?」
「金貨5枚までなら即決よ。」
「ならその値段でいい。後は小さい方が一つ銀貨20枚で花瓶は金貨3枚、一輪挿しが金貨2枚ってところだな。」
「買い手は私の方で見繕っていいのよね?でもすぐに追加が必要になるわよ、大丈夫?」
「月40が限界だ。このサイズだしショットグラスにしか使えないと思うんだが?」
「ソレを決めつけるのはよくないわね。これは売れるわ、私が保証する。」
「ならお任せする。代金はまた時間のある時に持ってきてくれ。」
グラスだけで金貨7.2枚の儲け。
これだけで今回の買付分を全て支払ってもおつりがくる。
加えてさらに売れるというお墨付きまでもらった。
これは今後も期待できそうだ.
でもこれで終わりではない。
一度店に戻り、最後のブツを回収して目的の場所へと向かう。
「シロウか、わざわざ私の所に来るという事は・・・大きいな。」
「港町で素晴らしい物を見つけたんでね、ローランド様にふさわしいと思って買い付けてきたんだ。もちろん絶対に買ってくれとは言わないが、損はさせないつもりだ。」
「お前がそこまで言うのならば素晴らしいものなのだろう。誰か、これを。」
持ってきたのは最初に買い付けた絨毯だ。
メインは布の方なんだが、こっちはローランド様にふさわしいと思って買い付けた。
もっとも、売れなくてもうちの応接室に使うので何も問題はない。
使用人が二人係りで絨毯を運びどこかへと運んで行った。
ちなみにここまで持ってきたのは俺ではなくてメルディだ。
家にいるはずが暇ですることがないとの事で手伝ってくれた。
仕事熱心というかワーカホリックというか。
別に俺みたいにならなくてもいいんだけどなぁ。
絨毯は応接室へと運ばれ無事にローランド様のお眼鏡にかなう事となった。
最初金貨10枚と吹っかけてみたんだが、流石に怒られてしまい結果金貨8枚で買ってもらえた。
南方の一点物という単語がよかったらしい。
どの世界でも限定品には皆弱い。
布関係が全部で金貨3枚だったので、これで儲けが金貨5枚。
後は売れば売るだけプラスが出る計算だ。
あの布をどうやって売るかしっかり考えるとしよう。
まだまだ買い付けた品は山ほどある。
手間ではあるが売れば売るだけ金になるんだ、その手間を惜しむのはバカのすること。
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転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
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