28 / 1,738
28.転売屋は奴隷商人に会う
しおりを挟む
「奴隷商の方でしたか。」
「露店をメインにされているのであればあまり御縁がないかもしれませんね。」
「そうですね。店番がいれば仕事も捗るのですが、かなり高価ですのでなかなか手が出ません。」
「店番となると算術と読み書きが必須でしょう。それであれば何人か・・・っといけませんね、礼拝所の前で商売はご法度でした。」
「そうなんですか?」
「ここは神聖な場所ですから、商売っ気を出すと神様に怒られてしまいます。」
まぁそれはなんとなくわかる気がする。
あまり神だ仏だと信じていないが、いないかと聞かれればいると答えるだろう。
でも奴隷商人が何故ここに?
「一つ質問なのですが、奴隷業の神様は別におられるのでは?」
「えぇもちろんおります。」
「ではなぜこちらに?」
「今日は次のオークションの成功を祈願しにまいりました。その場合はやはりこちらの神様、という事になります。」
オークションねぇ。
珍しい品物がいっぱい出るんだろうな。
「なるほど。では私もレイブさんの成功をお祈りしておきましょう。」
「ご丁寧にありがとうございます。失礼ですがお名前は・・・。」
「あぁ、シロウと言います。」
「シロウ・・・まさか、あの?」
「あはは、そうです、あのシロウです。」
俺の悪名も随分と広がってしまったものだ。
前回のリング氏との一戦?は瞬く間に街中に広がる事になった。
それもそうだろう、ただの平民が貴族に喧嘩を売ってるんだから。
そうかと思ったら商人との仲を取り持ち結果として三方丸く収めてしまった。
あいつは何者なんだと噂にならないわけがない。
それからしばらくはどこに行っても奇異の目で見られたものだが、人の噂も75日。
気付けば別の噂話に俺の話は埋もれていった。
それでも名前だけは記憶に残っているようで、名前を出すと今のような反応をされてしまう。
別に何が起きるわけでもないので気にしてないけどな。
「まさかこんな所でお会いできるとは思いませんでした。リング様が仰っていましたよ、面白い男に出会ったと。」
「お知り合いなんですか?」
「何度か取引をさせていただきました。前回来られた時もお話だけさせていただいたんです。」
「そうだったんですか。世間は狭いですねぇ。」
「あの方と対等にやりあう商人がいるとは聞いていましたが、まさか店を持たない方とは思いもしませんでしたよ。」
この街では店を持つことがステータスになる。
逆を言えば店を持てないような商人はその程度の商人という事にもなるわけだ。
世の中厳しいねぇ。
「新参者には中々厳しいようで。」
「確かに今はどの店も好調ですから・・・。いえ、そうでもありませんね。」
「え?」
「とある質屋が街の上役に目をつけられていると噂で聞いた事があります。もちろん噂程度ですが、なんでも危ない品を危ない人間に流していたとか。」
誰がとは言わないが心当たりはある。
っていうかその品を持ち込んだのは間違いなく俺だろう。
結構危ない品を何度か買い取ってもらったからなぁ。
出所は言わないっていう約束は律儀にも守ってくれたようだ。
「それはそれは、悪い事をする人もいるんですね。」
「その年の話はその年のうちに、感謝祭を気持ちよく迎えるためにも年末までに何かしらの結果が出るでしょう。」
「まさかお祈りをしてすぐこんな話を聞けるとは思いもしませんでしたよ。」
「それは私も同じことです。お祈りをしに来て新しい商売相手が見つかるとは思いませんでした。」
「まだ店を持つとは決まっていませんが?」
「あのリング様が口利きをしたのです、間違いはないと思います。」
つまり店が空けば次に声がかかるのは俺という事になる。
すごいな、挨拶に来てすぐこれかよ。
こんな事なら最初から挨拶しとくんだったな。
それとも高い肉をお供えしたおかげだろうか。
一応さっきの話が本当かマスターに調べてもらった方がいいかもしれない。
さすがに本人に聞きに行くのは憚られる。
「そうだとしても具体的にお話がきてからですね。それに、人を雇うにもお金が必要だ。」
「これも何かのご縁、お安くさせていただきますよ?」
「いやいや、まだ決まったわけではありませんから。」
ここでは商売の話をしないんじゃなかったのか?
神様に怒られちゃうぞ。
「ではおひとつだけお聞かせください。」
「何か?」
「若く活きのいい女性と落ち着いた艶のある女性どちらがお好みですか?」
どちらがお好みですかって難しいこと聞いてくるなぁ。
好みで言えばそりゃ若い子の方がいいけれど、若すぎても対処に困る。
そういう意味ではそこそこの年齢でも問題ないだろう。
外見はあれだが中身は40を超えたおっさんだ、20代でも十分に若く見える。
「若すぎるのは好きではない、という答えでいかがでしょう。」
「十分です。」
「もう一度言いますがお金はありません、税金を払うので精一杯ですから。」
「確かにこの街の税金は高い、それでも貴方程の方でしたら十分にやっていけると信じています。」
その確信はどこから来ているんだろうか。
金貨200枚だぞ?
今だって目標すれすれの儲けしか出てないんだ。
頼みの買い取りは使えなくなったし、仕込みもうまくいく保証はない。
その状態で店を持って本当にやっていけるんだろうか。
って、やる前から不安になってどうするよ。
あと二ヶ月で自分の夢がかなうかもしれないんだ、もっと喜べよな。
「ちょっと、シロウどこ~?」
いい感じで話をしている所でその流れをぶった切ってくる声が耳に飛び込んでくる。
「おや、お知り合いがお呼びのようですよ。」
「そのようで。」
「それでは私も神に感謝をお伝えしてきます、今日はありがとうございました。」
それだけ言うとイケメンは礼拝所の中に入ってしまった。
お礼を言いに中に入るのもあれだよな。
「おーい、ここだ。」
「ちょっと、何時までかかってるのよ。待ちくたびれちゃった。」
「ちょっとな。」
「どうしたの?良い事あったって顔してるけど。」
「まぁそんな所だ。」
「え、なになに?教えてよ!」
「うるさいな、静かにしてろ。他の人の邪魔になるだろ。」
エリザの口を無理やり抑えると苦しそうにジタバタと暴れだす。
だが相手は冒険者だ、あっさりと俺の手を引っぺがすと恨めしそうな目で俺を睨んできた。
「なんだよ。」
「戻ったらちゃんと聞かせてもらうからね。」
「前から思ってたんだがいつから俺の女になったんだ?別にお前を買い上げたわけじゃないんだぞ?」
「わかってるわよ。」
「じゃあ別にお前に言う必要ないよな?」
「必要あるもん。」
睨んできたと思ったら今度は拗ねたように口を尖らせる。
ったく、これだから女ってやつは面倒くさいんだ。
仕方なくそのとがった唇に俺の唇を押し当てると、慌てたように俺の胸をドンと押して真っ赤になって俯いてしまった。
これで当分静かになるだろ。
礼拝所からイケメンが出てくる気配はない。
邪魔にならないうちにさっさと行くか。
「おい、いつまで赤くなってるんだよ、さっさと行くぞ。」
茹で蛸のように真っ赤になったままのエリザの腕を引っ張り、俺達はその場を後にした。
「それでね、シロウったら礼拝所の前で私の唇にね・・・。」
「キャー!」
「おい、うるさいぞ静かにしてろ。」
礼拝所を出てまっすぐ宿に戻るなり、先程の件をリンカに猛アピールするエリザ。
なんで女はそんな話でそこまで盛り上がれるのかね。
マスターと眼を合わせるが肩をすくめるだけで助けてくれる気配は無かった。
「なになに、シロウさんったら照れてるの?」
「馬鹿いえ、その程度で照れるはずないだろうが。」
「え~嘘だぁ。案外恥ずかしがり屋だったりするんじゃないの?」
「もしそうだとしたら顔見知りのいる宿でヤッたりしねぇよ。」
「ヤ、ヤるとかいわないでよ恥ずかしい!」
どう考えても恥ずかしがりなのはこっちのほうだろ?
40にもなって色恋沙汰で恥ずかしいとかはさすがにないわ。
「他の客の迷惑になるからそれぐらいにしとけ、リンカ7番出来上がったぞ。」
「は~い。」
マスターの持ってきた巨大なステーキ肉を受け取り、リンカが別のテーブルにそれを持っていく。
食べるのは・・・マジかあんな細い女があの肉を食べるのか?
痩せの大食いっていうんだろうな。
隣の椅子に弓と矢筒を立てかけてあるし、冒険者であることは間違いないだろう。
顔もなかなかの美人だ。
「ねぇ、あんな人がタイプなの?」
「別に?」
「でもさっきからチラチラ見てるし。」
「なんだ気になるのか?」
「そりゃあ気になるわよ。買われたわけじゃないんだし、もしもって事もあるわけじゃない?」
なんだよもしもって。
「それはお前が死んだときの話か?」
「勝手に殺さないでよ、縁起でもない。」
「じゃあなんだよ。」
「シロウが別の女性と付き合うって話よ。」
「そもそも俺たちそういう関係だったのか?」
「・・・違うかも。」
好意を持たれているのは知っているが、エリザと恋人とかそういう関係になったつもりはサラサラない。
もちろん匂わせたこともないし、あくまでも金を貸したというだけの関係だ。
もちろん利子的な感じで抱かせてはもらっているが・・・。
改めて考えると微妙な関係ではあるな。
「先に言っておくがお前が嫌いなわけではない。そういった感情がないわけでもないが、あくまでも金の貸し借りから生じた関係だ。」
「もちろんわかってるわ。」
「だが金を返し終わったら終わり、というわけでもない。」
「え?」
「まさか支払いが終わったら赤の他人、なんて薄情な男だと思っていたのか?」
「そのつもりなんだと思ってた・・・。」
だから他の女を見ると不安そうな顔をしていたのか。
馬鹿な女だな。
「抱き心地のいい女を捨てるほど馬鹿な男じゃないつもりだぞ?」
「でも体だけなんでしょ?」
「それが目的なら娼館に行けばもっといい女は山ほどいる。そこに行かないということはそういうことだ。」
つまりはエリザのことを自分の女という風に考えているということだ。
我ながら自分勝手だとは思うが、それを言うとつけあがること間違いないのであえてそれは伏せておく。
こいつが他の男に抱かれるのは気分的によくない。
もっとも、愛想をつかされて別れを切り出されたのなら仕方ないがな。
「・・・よくわからない。」
「とりあえずは気にするなってことだ。」
「アンタがそう言うならそれでいいわ。」
「なんだ聞き分けがいいな。」
「つまりは嫌いじゃないって事でしょ?フフフ素直じゃないんだから。」
「いい度胸だ。」
そういうとエリザの腕を掴み無理やり立たせる。
「え、ちょ、ちょっと?」
「体だけじゃないってことを理解させる必要があるからな。覚悟しろよ。」
「ちょっとまって、冗談、さっきのは冗談だから!」
なんて言おうが俺をその気にさせた責任は取ってもらおう。
マスターがやれやれといった感じで俺のほうを見て鍵を投げてよこした。
外はまだ明るいが・・・まぁ、そんな時間からするのも乙なもの。
振りほどけるはずなのに振りほどかないのが嫌がってない証拠と勝手に決めこんで、俺の女だと理解させるべくエリザの体を堪能したのだった。
ちなみに翌朝二人ともフラフラだったのは言うまでもない。
「露店をメインにされているのであればあまり御縁がないかもしれませんね。」
「そうですね。店番がいれば仕事も捗るのですが、かなり高価ですのでなかなか手が出ません。」
「店番となると算術と読み書きが必須でしょう。それであれば何人か・・・っといけませんね、礼拝所の前で商売はご法度でした。」
「そうなんですか?」
「ここは神聖な場所ですから、商売っ気を出すと神様に怒られてしまいます。」
まぁそれはなんとなくわかる気がする。
あまり神だ仏だと信じていないが、いないかと聞かれればいると答えるだろう。
でも奴隷商人が何故ここに?
「一つ質問なのですが、奴隷業の神様は別におられるのでは?」
「えぇもちろんおります。」
「ではなぜこちらに?」
「今日は次のオークションの成功を祈願しにまいりました。その場合はやはりこちらの神様、という事になります。」
オークションねぇ。
珍しい品物がいっぱい出るんだろうな。
「なるほど。では私もレイブさんの成功をお祈りしておきましょう。」
「ご丁寧にありがとうございます。失礼ですがお名前は・・・。」
「あぁ、シロウと言います。」
「シロウ・・・まさか、あの?」
「あはは、そうです、あのシロウです。」
俺の悪名も随分と広がってしまったものだ。
前回のリング氏との一戦?は瞬く間に街中に広がる事になった。
それもそうだろう、ただの平民が貴族に喧嘩を売ってるんだから。
そうかと思ったら商人との仲を取り持ち結果として三方丸く収めてしまった。
あいつは何者なんだと噂にならないわけがない。
それからしばらくはどこに行っても奇異の目で見られたものだが、人の噂も75日。
気付けば別の噂話に俺の話は埋もれていった。
それでも名前だけは記憶に残っているようで、名前を出すと今のような反応をされてしまう。
別に何が起きるわけでもないので気にしてないけどな。
「まさかこんな所でお会いできるとは思いませんでした。リング様が仰っていましたよ、面白い男に出会ったと。」
「お知り合いなんですか?」
「何度か取引をさせていただきました。前回来られた時もお話だけさせていただいたんです。」
「そうだったんですか。世間は狭いですねぇ。」
「あの方と対等にやりあう商人がいるとは聞いていましたが、まさか店を持たない方とは思いもしませんでしたよ。」
この街では店を持つことがステータスになる。
逆を言えば店を持てないような商人はその程度の商人という事にもなるわけだ。
世の中厳しいねぇ。
「新参者には中々厳しいようで。」
「確かに今はどの店も好調ですから・・・。いえ、そうでもありませんね。」
「え?」
「とある質屋が街の上役に目をつけられていると噂で聞いた事があります。もちろん噂程度ですが、なんでも危ない品を危ない人間に流していたとか。」
誰がとは言わないが心当たりはある。
っていうかその品を持ち込んだのは間違いなく俺だろう。
結構危ない品を何度か買い取ってもらったからなぁ。
出所は言わないっていう約束は律儀にも守ってくれたようだ。
「それはそれは、悪い事をする人もいるんですね。」
「その年の話はその年のうちに、感謝祭を気持ちよく迎えるためにも年末までに何かしらの結果が出るでしょう。」
「まさかお祈りをしてすぐこんな話を聞けるとは思いもしませんでしたよ。」
「それは私も同じことです。お祈りをしに来て新しい商売相手が見つかるとは思いませんでした。」
「まだ店を持つとは決まっていませんが?」
「あのリング様が口利きをしたのです、間違いはないと思います。」
つまり店が空けば次に声がかかるのは俺という事になる。
すごいな、挨拶に来てすぐこれかよ。
こんな事なら最初から挨拶しとくんだったな。
それとも高い肉をお供えしたおかげだろうか。
一応さっきの話が本当かマスターに調べてもらった方がいいかもしれない。
さすがに本人に聞きに行くのは憚られる。
「そうだとしても具体的にお話がきてからですね。それに、人を雇うにもお金が必要だ。」
「これも何かのご縁、お安くさせていただきますよ?」
「いやいや、まだ決まったわけではありませんから。」
ここでは商売の話をしないんじゃなかったのか?
神様に怒られちゃうぞ。
「ではおひとつだけお聞かせください。」
「何か?」
「若く活きのいい女性と落ち着いた艶のある女性どちらがお好みですか?」
どちらがお好みですかって難しいこと聞いてくるなぁ。
好みで言えばそりゃ若い子の方がいいけれど、若すぎても対処に困る。
そういう意味ではそこそこの年齢でも問題ないだろう。
外見はあれだが中身は40を超えたおっさんだ、20代でも十分に若く見える。
「若すぎるのは好きではない、という答えでいかがでしょう。」
「十分です。」
「もう一度言いますがお金はありません、税金を払うので精一杯ですから。」
「確かにこの街の税金は高い、それでも貴方程の方でしたら十分にやっていけると信じています。」
その確信はどこから来ているんだろうか。
金貨200枚だぞ?
今だって目標すれすれの儲けしか出てないんだ。
頼みの買い取りは使えなくなったし、仕込みもうまくいく保証はない。
その状態で店を持って本当にやっていけるんだろうか。
って、やる前から不安になってどうするよ。
あと二ヶ月で自分の夢がかなうかもしれないんだ、もっと喜べよな。
「ちょっと、シロウどこ~?」
いい感じで話をしている所でその流れをぶった切ってくる声が耳に飛び込んでくる。
「おや、お知り合いがお呼びのようですよ。」
「そのようで。」
「それでは私も神に感謝をお伝えしてきます、今日はありがとうございました。」
それだけ言うとイケメンは礼拝所の中に入ってしまった。
お礼を言いに中に入るのもあれだよな。
「おーい、ここだ。」
「ちょっと、何時までかかってるのよ。待ちくたびれちゃった。」
「ちょっとな。」
「どうしたの?良い事あったって顔してるけど。」
「まぁそんな所だ。」
「え、なになに?教えてよ!」
「うるさいな、静かにしてろ。他の人の邪魔になるだろ。」
エリザの口を無理やり抑えると苦しそうにジタバタと暴れだす。
だが相手は冒険者だ、あっさりと俺の手を引っぺがすと恨めしそうな目で俺を睨んできた。
「なんだよ。」
「戻ったらちゃんと聞かせてもらうからね。」
「前から思ってたんだがいつから俺の女になったんだ?別にお前を買い上げたわけじゃないんだぞ?」
「わかってるわよ。」
「じゃあ別にお前に言う必要ないよな?」
「必要あるもん。」
睨んできたと思ったら今度は拗ねたように口を尖らせる。
ったく、これだから女ってやつは面倒くさいんだ。
仕方なくそのとがった唇に俺の唇を押し当てると、慌てたように俺の胸をドンと押して真っ赤になって俯いてしまった。
これで当分静かになるだろ。
礼拝所からイケメンが出てくる気配はない。
邪魔にならないうちにさっさと行くか。
「おい、いつまで赤くなってるんだよ、さっさと行くぞ。」
茹で蛸のように真っ赤になったままのエリザの腕を引っ張り、俺達はその場を後にした。
「それでね、シロウったら礼拝所の前で私の唇にね・・・。」
「キャー!」
「おい、うるさいぞ静かにしてろ。」
礼拝所を出てまっすぐ宿に戻るなり、先程の件をリンカに猛アピールするエリザ。
なんで女はそんな話でそこまで盛り上がれるのかね。
マスターと眼を合わせるが肩をすくめるだけで助けてくれる気配は無かった。
「なになに、シロウさんったら照れてるの?」
「馬鹿いえ、その程度で照れるはずないだろうが。」
「え~嘘だぁ。案外恥ずかしがり屋だったりするんじゃないの?」
「もしそうだとしたら顔見知りのいる宿でヤッたりしねぇよ。」
「ヤ、ヤるとかいわないでよ恥ずかしい!」
どう考えても恥ずかしがりなのはこっちのほうだろ?
40にもなって色恋沙汰で恥ずかしいとかはさすがにないわ。
「他の客の迷惑になるからそれぐらいにしとけ、リンカ7番出来上がったぞ。」
「は~い。」
マスターの持ってきた巨大なステーキ肉を受け取り、リンカが別のテーブルにそれを持っていく。
食べるのは・・・マジかあんな細い女があの肉を食べるのか?
痩せの大食いっていうんだろうな。
隣の椅子に弓と矢筒を立てかけてあるし、冒険者であることは間違いないだろう。
顔もなかなかの美人だ。
「ねぇ、あんな人がタイプなの?」
「別に?」
「でもさっきからチラチラ見てるし。」
「なんだ気になるのか?」
「そりゃあ気になるわよ。買われたわけじゃないんだし、もしもって事もあるわけじゃない?」
なんだよもしもって。
「それはお前が死んだときの話か?」
「勝手に殺さないでよ、縁起でもない。」
「じゃあなんだよ。」
「シロウが別の女性と付き合うって話よ。」
「そもそも俺たちそういう関係だったのか?」
「・・・違うかも。」
好意を持たれているのは知っているが、エリザと恋人とかそういう関係になったつもりはサラサラない。
もちろん匂わせたこともないし、あくまでも金を貸したというだけの関係だ。
もちろん利子的な感じで抱かせてはもらっているが・・・。
改めて考えると微妙な関係ではあるな。
「先に言っておくがお前が嫌いなわけではない。そういった感情がないわけでもないが、あくまでも金の貸し借りから生じた関係だ。」
「もちろんわかってるわ。」
「だが金を返し終わったら終わり、というわけでもない。」
「え?」
「まさか支払いが終わったら赤の他人、なんて薄情な男だと思っていたのか?」
「そのつもりなんだと思ってた・・・。」
だから他の女を見ると不安そうな顔をしていたのか。
馬鹿な女だな。
「抱き心地のいい女を捨てるほど馬鹿な男じゃないつもりだぞ?」
「でも体だけなんでしょ?」
「それが目的なら娼館に行けばもっといい女は山ほどいる。そこに行かないということはそういうことだ。」
つまりはエリザのことを自分の女という風に考えているということだ。
我ながら自分勝手だとは思うが、それを言うとつけあがること間違いないのであえてそれは伏せておく。
こいつが他の男に抱かれるのは気分的によくない。
もっとも、愛想をつかされて別れを切り出されたのなら仕方ないがな。
「・・・よくわからない。」
「とりあえずは気にするなってことだ。」
「アンタがそう言うならそれでいいわ。」
「なんだ聞き分けがいいな。」
「つまりは嫌いじゃないって事でしょ?フフフ素直じゃないんだから。」
「いい度胸だ。」
そういうとエリザの腕を掴み無理やり立たせる。
「え、ちょ、ちょっと?」
「体だけじゃないってことを理解させる必要があるからな。覚悟しろよ。」
「ちょっとまって、冗談、さっきのは冗談だから!」
なんて言おうが俺をその気にさせた責任は取ってもらおう。
マスターがやれやれといった感じで俺のほうを見て鍵を投げてよこした。
外はまだ明るいが・・・まぁ、そんな時間からするのも乙なもの。
振りほどけるはずなのに振りほどかないのが嫌がってない証拠と勝手に決めこんで、俺の女だと理解させるべくエリザの体を堪能したのだった。
ちなみに翌朝二人ともフラフラだったのは言うまでもない。
51
あなたにおすすめの小説
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる