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18.転売屋は新しい商売を思いつく
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「へ~、シロウさんは商人なんだ。」
「あぁ、この間ここに来たばかりだが主に冒険者関係の品を扱っている。偶に露店を出しているからよかったら宣伝しておいてくれ。」
「あ、それってもしかしてマックさんの言ってたやつかな?」
「マックさん?」
残念ながら俺に縞々男の知り合いはいないぞ。
ちなみにそんな呼び方もしない。
俺は断然マクド派だ。
「最近大柄の冒険者にすごい斧売らなかった?」
「あぁ、あの人か。」
「あの上級冒険者のマックさんが宣伝していたぐらいだからよっぽどすごい人なんだと思ってたんだけど、まさかエリザの恩人だとはねぇ。」
「ちゃんと宣伝してくれていたんだな。」
有難い話だ。
そしてなにより上級冒険者だったのか。
「で、上級冒険者ってのはすごいのか?」
「当たり前じゃない!上級になれるのは冒険者の一握りだけ、大抵はそこまで行けずに引退するか死ぬかのどちらかよ。」
わかった、わかったから大声を出すな。
急に声を荒げるエリザをニアさんがほほえましく見ている。
この構図はどう考えてもオカン的ポジションだろう。
見た目と違って結構年上なのかもしれない。
この世界じゃ見た目の年齢なんてあてにならないってことはザラにある。
特に女性の年齢を聞く時は注意しなければならない。
この間それでやらかしたばかりだしな。
「ちなみにエリザは中級冒険者になって長いのか?」
「私で三年・・・かな。さすがの私もこの間はもうダメかと思ったわ。」
「全身血まみれでギルドに駆け込んできた時はどうしようかと思ったわよ。でもよかった、こうして戻ってきてくれて。」
「それも全てシロウのおかげ、危なく助かった命を自分で終わらせるところだった。」
先程の蛸坊主は叫び声を上げながら外に放り出されたようだ。
ポーションを使えば骨折程度は治るらしいので今頃ケロッとしているのだろう。
薬を飲めば骨折が治るってどういうカラクリなんだろうな。
「で、エリザとの馴れ初めはやっぱり教えてくれないの?」
「本人が拒んでいる以上俺が言う事はない。」
「絶対にダメ、いくらニアの胸に惑わされても言っちゃダメだからね。」
「だ、そうだ。」
「ちぇ、つまんないの~。」
ちなみに俺達がいるのはギルドのど真ん中に設置された机。
ど真ん中という事は周りに大勢の屈強な男たちがいる。
そのほとんどが俺達の会話に聞き耳を立てているあたり、エリザが人気なのは本当のようだ。
「用事は終わったのか?」
「うん、冒険者証は戻って来たしこれで終わり。シロウはどうするの?」
「時間があるから露店でも回って帰るつもりだ、せっかくの休みだしついてこなくてもいいぞ。」
「え~、私も装備探したいんだけど。」
「それなら商店の方に行けよ。ついてきたって買ってやらないからな。」
「ケチ~、お金あるんだからちょっとぐらいいじゃない。」
「お前の装備はちょっとで済まないだろうが。」
中級冒険者として二つ名まで持っているエリザ。
その名声を支えていたのは屈強な体・・・だけではなく優秀な装備のおかげでもあった。
金貨4枚ぐらいとこの間は言っていたが、話を聞いているとそれでは済まないという事が分かった。
よかった、あの時貸してやるとか言わないで。
やっぱり自分の装備は自分で稼がないとな!
「ふふ、あのエリザがこんなに楽しそうに話をするなんてね。」
「男嫌いで有名だったとか?」
「ん~、どっちかっていうと人嫌いかも。あまり馴れ馴れしくしてる所を見たことなかったし。」
「へぇ意外だな。」
「だからこんな風に笑うのがうれしくて、ありがとうシロウさん。」
「別にお礼を言われる理由は無いが・・・。」
そんな時、ふとあることを思いついた。
ここは冒険者ギルドだ。
そして目の前にいるのはギルド職員、しかもそれなりに地位の高い所に居るらしい。
物のついでだ、ちょっと聞きたいことを聞いておこう。
「その代わりと言ってだが聞きたいことがある、構わないか?」
「胸の件はダメよ?」
「俺が聞きたいのは冒険者ギルドで固定買取している物についてだ。薬草なんかの品はどこでも同じなのは知っているが、冒険者ギルド固有のものはあるのか?」
ついさっき羊とやり合ったばかりだが、事前にわかるものは知っておきたい。
特に、今思いついたネタが使えるかはここにかかっている。
「そうねぇ、繊維系や鉱石系、革系は産業ギルドが買い取ってくれるから固定買取しているわ。あと薬品の材料になる物も固定買取してるけど、こっちは数が多いからあくまでも薬系に限ってと思ってもらっていいかな。」
「結構あるんだな。」
「まぁねぇ、過去に色々あったからこういう形にしているのよ。決まりが出来るときは随分と揉めたらしいわ。」
そうだろうな。
需要は常に変動するし、それを先読みして大量に仕入れたりなんてのも行われていたはずだ。
それこそ、俺みたいな転売をメインで行っていたやつもいただろう。
それが急に固定で買い取ります、注意を無視すれば投獄しますなんて言われれば暴れたくなるのもわかる。
でもすべては価格安定の為。
そういう決断があることを俺は否定しない。
それで食い扶持を潰されたのならば別の食い扶持を探せばいい。
俺達の商売なんてそんなものだ。
転売屋と蔑み嫉まれないだけマシだろう。
「じゃあ、それ以外の品については俺みたいなのが売買しても構わないんだな?」
「そうね、よっぽど過激にやらなければ大丈夫かな。」
「過激とは?」
「うちの二倍とか三倍で大量に仕入れたり独占したりする事かしら。」
「逆を言えばそうしなければ問題ないという事だな。」
「そうなるわ。でも、出来れば緊急で必要とする依頼なんかも出るからそういう時は放出してくれると助かるかな。そんなときは高値で買い取るし損はさせないつもりよ。」
それぐらいの分別はあるつもりだ。
バカな連中は買い占めて値段を吊り上げてやろうなんて考えるが、それをすれば自分達の首を絞めることになると何故気づかないのだろう。
物事には節度というものがある。
節度を守って取引をすればお互いに損は出ないし、関係は良好のままだ。
わざわざ自分から敵を作る必要などない。
ようは儲かればいいんだよ。
「素材に関してはエリザが詳しいよな。」
「ある程度はね。でも魔法関係の品はあんまり詳しくないからそっちは聞かないで。」
「魔法関係?」
「魔導書や魔装具、魔道具なんかは専門外なの。」
「やっぱり脳筋か。」
「うるさいわね!そういうのに頼らなくても何とかなるのよ!」
そうやってすぐに怒る所が脳筋だと言っている。
確かに力は正義だが、それだけでどうにもならないことはある。
まぁ道具関係に関しては鑑定スキルもあるし、値段に関しても相場スキルを使えばおおよそ把握できる。
そこらに落ちている草や石にも相場スキルは発動するんだ、素材系も問題ないだろう。
「高値で取引される品を扱えれば最高だな。」
「さっすが、エリザを買うほどの人ね、こんな所でも商売について考えるなんて。」
「別に買ったわけじゃない、貸しただけだ。」
「でも体は使ってるんでしょ?」
「ちょっとニア!」
「担保みたいなものだ、だが別に俺から強要はしていないぞ、あくまでも公平な立場でいるつもりだ。」
イヤなら部屋を出て行けばいい。
それをしないのはエリザの意志だ。
俺はそう解釈している。
「お願い、恥ずかしいからもうやめて・・・。」
「あはは、ゴメンゴメンもう言わないから。」
「うぅ、せっかく戻って来たのにニアが容赦ない。」
「でも戻ってきてくれて本当に良かった。エリザのパーティが壊滅してから高難度の依頼が片付かないのよ。」
そういえば複数人のパーティーだったそうだな。
なるほど実力のある人間が同時にいなくなったらそりゃ依頼も滞るか。
「片付かないって言っても装備もなんにもなくなっちゃったから、当分無理よ?」
「シロウさんに借りればいいじゃない。」
「借りる?」
「あんな凄い装備を持ってるんだし、借りたらすぐに依頼をこなせるわよ。そうすれば借金もすぐ返せるんじゃない?」
おぉ、その発想は無かった。
確かに金を持っている俺が装備を揃えて貸し出せば話が早い。
金が貯まり次第それを売るという方法もある。
そうすれば借金はすぐに帰ってくるし、継続して使用料も取れる。
問題は装備の劣化だな。
使えば道具は傷んでくる、減価償却についても考えなければならない。
貸し装備か・・・いい商売かもしれないな。
「ちょっとニア、変なこと言うからシロウが固まっちゃったじゃない。」
「え、私のせいなの?」
「こうなったらシロウ長いんだから。」
「エリザがキスすればいいんじゃない?」
「何でそうなるのよ!」
横で小鳥が騒いでいるが今はそれどころじゃない。
仮に貸し装備をするとして規模はどうする?
武器だけか?
それとも防具もか?
死んだらどうする?
うーむ、何をするにしても場所が無いか。
武器も防具も種類が多いし、それ全てに対応するのは難しい。
いっそのこと高価な補助装備なんかをレンタルで始めるのはどうだ?
指輪なら場所を取らないし、レンタルできるとなれば金が無くても使用できるだろう。
問題はやはり紛失と死亡か・・・。
どれぐらいの頻度で起きるかがカギだな。
「よし、わかった。」
「え、なにがわかったの?」
「とりあえず貸すのは無しだ、予定通り稼いで返せ。」
「えぇぇぇ!?」
「ギルドでは装備の貸出はやってないんだろ?」
「初心者はあるけど、エリザ程になると無理ね。」
「なら仕方ない、素材の買い取りも場所が無い以上無理だ。獣臭い部屋で寝たくはないだろ?」
「それは確かにそうかも。」
実物を見ていないからわからないが、魔物の死骸を剥ぐんだからそれなりの臭いはするだろう。
そんな中で寝る気はないし、いくら金を払っているとはいえマスターに文句を言われる。
「へぇ、一緒の部屋前提なんだ。やるじゃんエリザ。」
「だーかーらー!」
また小鳥が騒いでいるがまぁいいだろう。
新しい商売を行うにしてもまずは店を持ってからって事だな。
とりあえず今はそれが分かっただけでも良しとするか。
「あぁ、この間ここに来たばかりだが主に冒険者関係の品を扱っている。偶に露店を出しているからよかったら宣伝しておいてくれ。」
「あ、それってもしかしてマックさんの言ってたやつかな?」
「マックさん?」
残念ながら俺に縞々男の知り合いはいないぞ。
ちなみにそんな呼び方もしない。
俺は断然マクド派だ。
「最近大柄の冒険者にすごい斧売らなかった?」
「あぁ、あの人か。」
「あの上級冒険者のマックさんが宣伝していたぐらいだからよっぽどすごい人なんだと思ってたんだけど、まさかエリザの恩人だとはねぇ。」
「ちゃんと宣伝してくれていたんだな。」
有難い話だ。
そしてなにより上級冒険者だったのか。
「で、上級冒険者ってのはすごいのか?」
「当たり前じゃない!上級になれるのは冒険者の一握りだけ、大抵はそこまで行けずに引退するか死ぬかのどちらかよ。」
わかった、わかったから大声を出すな。
急に声を荒げるエリザをニアさんがほほえましく見ている。
この構図はどう考えてもオカン的ポジションだろう。
見た目と違って結構年上なのかもしれない。
この世界じゃ見た目の年齢なんてあてにならないってことはザラにある。
特に女性の年齢を聞く時は注意しなければならない。
この間それでやらかしたばかりだしな。
「ちなみにエリザは中級冒険者になって長いのか?」
「私で三年・・・かな。さすがの私もこの間はもうダメかと思ったわ。」
「全身血まみれでギルドに駆け込んできた時はどうしようかと思ったわよ。でもよかった、こうして戻ってきてくれて。」
「それも全てシロウのおかげ、危なく助かった命を自分で終わらせるところだった。」
先程の蛸坊主は叫び声を上げながら外に放り出されたようだ。
ポーションを使えば骨折程度は治るらしいので今頃ケロッとしているのだろう。
薬を飲めば骨折が治るってどういうカラクリなんだろうな。
「で、エリザとの馴れ初めはやっぱり教えてくれないの?」
「本人が拒んでいる以上俺が言う事はない。」
「絶対にダメ、いくらニアの胸に惑わされても言っちゃダメだからね。」
「だ、そうだ。」
「ちぇ、つまんないの~。」
ちなみに俺達がいるのはギルドのど真ん中に設置された机。
ど真ん中という事は周りに大勢の屈強な男たちがいる。
そのほとんどが俺達の会話に聞き耳を立てているあたり、エリザが人気なのは本当のようだ。
「用事は終わったのか?」
「うん、冒険者証は戻って来たしこれで終わり。シロウはどうするの?」
「時間があるから露店でも回って帰るつもりだ、せっかくの休みだしついてこなくてもいいぞ。」
「え~、私も装備探したいんだけど。」
「それなら商店の方に行けよ。ついてきたって買ってやらないからな。」
「ケチ~、お金あるんだからちょっとぐらいいじゃない。」
「お前の装備はちょっとで済まないだろうが。」
中級冒険者として二つ名まで持っているエリザ。
その名声を支えていたのは屈強な体・・・だけではなく優秀な装備のおかげでもあった。
金貨4枚ぐらいとこの間は言っていたが、話を聞いているとそれでは済まないという事が分かった。
よかった、あの時貸してやるとか言わないで。
やっぱり自分の装備は自分で稼がないとな!
「ふふ、あのエリザがこんなに楽しそうに話をするなんてね。」
「男嫌いで有名だったとか?」
「ん~、どっちかっていうと人嫌いかも。あまり馴れ馴れしくしてる所を見たことなかったし。」
「へぇ意外だな。」
「だからこんな風に笑うのがうれしくて、ありがとうシロウさん。」
「別にお礼を言われる理由は無いが・・・。」
そんな時、ふとあることを思いついた。
ここは冒険者ギルドだ。
そして目の前にいるのはギルド職員、しかもそれなりに地位の高い所に居るらしい。
物のついでだ、ちょっと聞きたいことを聞いておこう。
「その代わりと言ってだが聞きたいことがある、構わないか?」
「胸の件はダメよ?」
「俺が聞きたいのは冒険者ギルドで固定買取している物についてだ。薬草なんかの品はどこでも同じなのは知っているが、冒険者ギルド固有のものはあるのか?」
ついさっき羊とやり合ったばかりだが、事前にわかるものは知っておきたい。
特に、今思いついたネタが使えるかはここにかかっている。
「そうねぇ、繊維系や鉱石系、革系は産業ギルドが買い取ってくれるから固定買取しているわ。あと薬品の材料になる物も固定買取してるけど、こっちは数が多いからあくまでも薬系に限ってと思ってもらっていいかな。」
「結構あるんだな。」
「まぁねぇ、過去に色々あったからこういう形にしているのよ。決まりが出来るときは随分と揉めたらしいわ。」
そうだろうな。
需要は常に変動するし、それを先読みして大量に仕入れたりなんてのも行われていたはずだ。
それこそ、俺みたいな転売をメインで行っていたやつもいただろう。
それが急に固定で買い取ります、注意を無視すれば投獄しますなんて言われれば暴れたくなるのもわかる。
でもすべては価格安定の為。
そういう決断があることを俺は否定しない。
それで食い扶持を潰されたのならば別の食い扶持を探せばいい。
俺達の商売なんてそんなものだ。
転売屋と蔑み嫉まれないだけマシだろう。
「じゃあ、それ以外の品については俺みたいなのが売買しても構わないんだな?」
「そうね、よっぽど過激にやらなければ大丈夫かな。」
「過激とは?」
「うちの二倍とか三倍で大量に仕入れたり独占したりする事かしら。」
「逆を言えばそうしなければ問題ないという事だな。」
「そうなるわ。でも、出来れば緊急で必要とする依頼なんかも出るからそういう時は放出してくれると助かるかな。そんなときは高値で買い取るし損はさせないつもりよ。」
それぐらいの分別はあるつもりだ。
バカな連中は買い占めて値段を吊り上げてやろうなんて考えるが、それをすれば自分達の首を絞めることになると何故気づかないのだろう。
物事には節度というものがある。
節度を守って取引をすればお互いに損は出ないし、関係は良好のままだ。
わざわざ自分から敵を作る必要などない。
ようは儲かればいいんだよ。
「素材に関してはエリザが詳しいよな。」
「ある程度はね。でも魔法関係の品はあんまり詳しくないからそっちは聞かないで。」
「魔法関係?」
「魔導書や魔装具、魔道具なんかは専門外なの。」
「やっぱり脳筋か。」
「うるさいわね!そういうのに頼らなくても何とかなるのよ!」
そうやってすぐに怒る所が脳筋だと言っている。
確かに力は正義だが、それだけでどうにもならないことはある。
まぁ道具関係に関しては鑑定スキルもあるし、値段に関しても相場スキルを使えばおおよそ把握できる。
そこらに落ちている草や石にも相場スキルは発動するんだ、素材系も問題ないだろう。
「高値で取引される品を扱えれば最高だな。」
「さっすが、エリザを買うほどの人ね、こんな所でも商売について考えるなんて。」
「別に買ったわけじゃない、貸しただけだ。」
「でも体は使ってるんでしょ?」
「ちょっとニア!」
「担保みたいなものだ、だが別に俺から強要はしていないぞ、あくまでも公平な立場でいるつもりだ。」
イヤなら部屋を出て行けばいい。
それをしないのはエリザの意志だ。
俺はそう解釈している。
「お願い、恥ずかしいからもうやめて・・・。」
「あはは、ゴメンゴメンもう言わないから。」
「うぅ、せっかく戻って来たのにニアが容赦ない。」
「でも戻ってきてくれて本当に良かった。エリザのパーティが壊滅してから高難度の依頼が片付かないのよ。」
そういえば複数人のパーティーだったそうだな。
なるほど実力のある人間が同時にいなくなったらそりゃ依頼も滞るか。
「片付かないって言っても装備もなんにもなくなっちゃったから、当分無理よ?」
「シロウさんに借りればいいじゃない。」
「借りる?」
「あんな凄い装備を持ってるんだし、借りたらすぐに依頼をこなせるわよ。そうすれば借金もすぐ返せるんじゃない?」
おぉ、その発想は無かった。
確かに金を持っている俺が装備を揃えて貸し出せば話が早い。
金が貯まり次第それを売るという方法もある。
そうすれば借金はすぐに帰ってくるし、継続して使用料も取れる。
問題は装備の劣化だな。
使えば道具は傷んでくる、減価償却についても考えなければならない。
貸し装備か・・・いい商売かもしれないな。
「ちょっとニア、変なこと言うからシロウが固まっちゃったじゃない。」
「え、私のせいなの?」
「こうなったらシロウ長いんだから。」
「エリザがキスすればいいんじゃない?」
「何でそうなるのよ!」
横で小鳥が騒いでいるが今はそれどころじゃない。
仮に貸し装備をするとして規模はどうする?
武器だけか?
それとも防具もか?
死んだらどうする?
うーむ、何をするにしても場所が無いか。
武器も防具も種類が多いし、それ全てに対応するのは難しい。
いっそのこと高価な補助装備なんかをレンタルで始めるのはどうだ?
指輪なら場所を取らないし、レンタルできるとなれば金が無くても使用できるだろう。
問題はやはり紛失と死亡か・・・。
どれぐらいの頻度で起きるかがカギだな。
「よし、わかった。」
「え、なにがわかったの?」
「とりあえず貸すのは無しだ、予定通り稼いで返せ。」
「えぇぇぇ!?」
「ギルドでは装備の貸出はやってないんだろ?」
「初心者はあるけど、エリザ程になると無理ね。」
「なら仕方ない、素材の買い取りも場所が無い以上無理だ。獣臭い部屋で寝たくはないだろ?」
「それは確かにそうかも。」
実物を見ていないからわからないが、魔物の死骸を剥ぐんだからそれなりの臭いはするだろう。
そんな中で寝る気はないし、いくら金を払っているとはいえマスターに文句を言われる。
「へぇ、一緒の部屋前提なんだ。やるじゃんエリザ。」
「だーかーらー!」
また小鳥が騒いでいるがまぁいいだろう。
新しい商売を行うにしてもまずは店を持ってからって事だな。
とりあえず今はそれが分かっただけでも良しとするか。
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