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幸せの進化系 3
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やっと休めたという所なのにまだ眠たそうな目で現れた結奈のその姿に香織は全身を見て評価するように視線が笑うもその腕に抱かれる小さな存在に表情を失った。
「ひょっとして起きちゃった?」
「うん。仕方ないから真を探しに来たんだけど……」
ぱっちりと開いたつぶらな瞳はもうお昼寝するつもりはないと言わんばかりにご機嫌の我が子においでと手を伸ばす。
「うわっ、かわいいですね!
お子さんですか?」
「はい。やっと半年過ぎたので家族そろっての初めての旅行になります」
今はご機嫌だから人見知りもしないという様に泣きもしないけど俺の顔を見て手を伸ばして髪や耳を掴もうとするそのいたずら好きな小さな手にニヤニヤとしてしまう親の幸せ。かわいすぎてデレデレになってしまう。
それがよっぽど香織には屈辱だったのだろう。
見下していた俺。
あの時は無神経だった俺が悪かったとはいえ甘えられる相手と出会い今では理想の姿を現すように綺麗に着飾っての彼女なりの幸せを手に入れたというその顔は俺の幸せを許せないという様に歪んでいた。
さらに自慢の彼氏はそんな相手の信者と言う理解不能の目の前の光景と幸せいっぱいの俺の様子にこれ以上とないくらい醜く顔を歪めていたけど今の俺はそれさえどうでもいいという様に少しミルクの匂いのする娘に全身を預けてもらうその甘やかな幸せと言うぬくもりに浸っていれば
「あの、せっかくお会いできたのでこの後お時間の予定はどうなってますか?
よろしければ一緒にお茶はどうでしょう?プログラムについて少しお話をさせていただきたいのですが」
香織の事は良いのかい?と突っ込みたいけど
「すみません。今日はこちらでこの子のお披露目の場を用意していただいたので」
その後は飯田さんの家にお泊りさせていただくという贅沢な旅行。結奈は志月さんの所で女子会だという。九条の本家の方たちも我が子のように喜んでくれてのお招き。俺達男性陣は付喪神含めて飯田家で飲み会だ。もちろんつっきーも居る。
まるで里帰りの様な時間を楽しみにしながら仰々しい看板を掲げていない飯田さんの店を見上げる。二人ともと知っているようで有名すぎるくらい有名な店を眺めながら香織も深川さんもここでという事に唖然としていた。
地元の人間でもこの門をくぐれないというのになんで俺がといわんばかりに香織の顔色が真っ赤に染まっていくものの
「真ー、いたいた。って、友達?」
「地元だから一人ぐらい友達は居るだろ」
姿を現したのは大家さんとつっきーだった。
なんて言うか
「なんで二人とも着物を着ているのですか?」
派手さはないけどしっとりとした色合いがあまりにも似合いすぎる二人にいつの間に着替えたのかと聞けば
「そんなものお母さんに遭遇したらこの家ではこうなる事になってるんだよ」
「寧ろどういうことですか……」
そんなルールがあったかなんて思うも深くさぐらない方がいいだろうという事にする。
「で、お友達には申し訳ないけどぼちぼち始めるけどいいか?」
そろそろ時間なのだろう。
「問題ないです。ではここで失礼します。
深川さんもまた定期メンテナンスの時に」
なんて別れの挨拶を残して俺はいつの間に来ていたのか初めて会った時より大きくなってモフ度が増したしいさんとこまさんと言うこの家の番犬…… 番犬? に許されて茅葺屋根の門を通り抜けて店へと入った。
そして二人が門のうちに入ってこないという様に立ちふさがるその姿、神々しい。
香織が追いかけてこようとして深川さんに止められていた姿に一歩でも入ったら大変なことになりますよーなんて心の中で思っていれば本当に入ってしまった一歩。
しいさんとこまさんの低く唸る声が聞こえたかのように深川さんが
「いい加減にしろ香織!」
なんて言って外に引っぱって行く。
後ろから真のくせに信じられない、と言う声と視線が突き刺さったが……
今となればその視線も気持ちいいものだと口の端に笑みが宿る。
つっきーに案内されながら前を歩く結奈と俺の隣を歩く大家さん。
ちょんちょんと肘でつつかれて視線を向ければ
「あれが例の昔の女か?
あんな趣味の悪いのと良く付き合ってたなって言うか縁が切れてよかったな」
さすがにそこまでは俺は言わないけど、だけどだ。
「今は最高の奥さんと奥さんそっくりの最愛の娘がいますからね。
先輩のおかげです」
「そこは大家さんのおかげっていう所だろ?」
「えー、だけど先輩ありきの出会いじゃないですか」
「だけど肝心のあいつが相変わらずって言うのがな……」
「先輩はアレで良いんです。幸せそうで何よりじゃないですか。嫁達に囲まれてる暮らし、ハーレムで楽しそうじゃないですか」
「否定する言葉がなんで一つも思い浮かばない!」
なんて笑うも大家さんもアイヴィーがいるのに好きなように生きてるじゃないですかと言うのは口にはしない。
だけど
「しいさんとこまさんに怒られていたけど大丈夫かな?」
「んー、まあ、それなりの目にはあうだろうな」
「それなりですか?」
大家さんのそれなりは信用できないなと聞けば
「それなりに。とはいえせいぜい一歩。今の自慢の彼氏さんとお別れになる程度ぐらいかな」
「うわ……」
大家さんがそれなりと希望を口に出したのだから間違いないなと冷や汗が出る。俺と再会しなくても見ての通り年齢的にも意識している結婚という言葉を前にお別れとはこれは痛い問題。かなりの大ダメージだろうなと思えば俺は少しの沈黙ののちに
「俺、引っ越してきた時見返してやるなんて気持ちがあったんです」
「そう言えば植田にそうそそのかされていたな」
思い出す顔に二人して笑えば
「今この姿を見せつける事が一番の復讐ですね」
「ああ、お前が勝ち取った最高にいい復讐だ」
幸せ家族、そして誰もがうらやむ店での食事。
幸せを運んできてくれた付喪神にたくさんの俺を支えてくれた人たちとの団らん。
いろいろな事が起きたけどみんな幸せになった最高の状態を見せつける事ができたのだ。ざまあみろだ!
そして漂ってくる鼻をくすぐる美味しそうな匂い。
「今夜は楽しみですね」
「飯田さん達も張り切ってくれたし、お父さんも気合入れてたから美味しいは絶対だな。二次会は高遠さん達と一緒の飲み会!」
「あれだけご飯を食べた後でも皆さんが作ってくれるおつまみも美味しくってほんと体重ヤバいですよねって、そういえば朱華をそろそろ呼ばないと」
「だな。遅いと文句が長くなるから早めに呼んでおこうか」
忘れてたわけじゃないぞと言い訳をしながらスマホを出してLIMEから連絡を取る。
「ひよさん、そろそろおいで」
「主~! まってました~! 今、朱華が参りますー!」
ポン!
ビデオ通話から繋がった朱華の姿が大家さんのスマホからもりもりっと立体となって飛び出してきたその姿。
「ちゃんと通る不思議ー」
大家さんは相変わらずどうなってるとスマホを眺めるけど朱華の足にはタッチペンが握られていた。
そう、玄さんがタブレットで大家さんとお話を見ているのを見て皆もタブレットの使い方を覚えたのだ。
とはいえタブレットを操作するにはなかなか難しいちみっこ達。
慣れている玄さん、そして見様見真似で覚えた岩さん。小さなおててのある緑青は問題なくすぐやれるようになり、真白ともっくんはその足で一度画面を壊してしまったので小さなお鼻で操作するという器用な事をしてくれた。画面がめちゃくちゃ汚れるけどそこは毎回緑青がタオルで綺麗にしてくれる。ほんと良い子だ。
そんな中で朱華はタッチペンを駆使するという器用さを発揮した。
くちばしで画面を突っついて……
どれだけタブレットを買いなおさなくてはいけないのかと想像して冷や汗を流したものの本来器用なのだろう。
今もタッチペンを離さずに大家さんの肩に止まれば
「上手に来れたな」
「主にいつお呼びがかかるかわからないからずっとタブレットの前でいい子にして待ってたんだよ!」
嬉しそうにフルフルと体を揺らすその様子。
大家さんにすり寄りながらも周囲をうかがう視線はご飯を探すものではないと信じたい。
だけどすぐに少し離れた所で賑やかな声が聞こえてくる。
聞きなれた声に聞き覚えのある声。
楽しそうな笑い声が聞こえてこればお祭り好きの付喪神。そわそわしだした朱華に振り向いた結奈も笑い、俺と結奈の子供である娘、深雪も当然ちみっこ達が見えて触れれる才能を発揮していて、見つけた先に居る普段から遊びなれた朱華に手を伸ばしている。容赦なく握りしめるので朱華は逃げ回っているが、捕まったら最後本体行きなのでそこは心の中で頑張れと応援することにしている。
「さあ、みんなお待ちかねだ。
本日の主役、がんばれよ」
「大家さんにお招きして頂いた座敷ですからね。
いっぱい食べていっぱい笑って大きくなろうな」
初めましての皆さんがいっぱいいる中でこのご機嫌な様子の深雪を心配することはないだろう。
門からの小道を通り入り口でお出迎えに来てくれた飯田さんとお母さん。
案内されて通された座敷にはみんな揃っていて
「改めまして今日は娘の深雪の為にお集まりありがとうございます!」
そんな挨拶から始まる宴。
一人座りも怪しく、だけど横にすればうつぶせになってはいはいをしようとご機嫌になる。すぐに真白たちがお世話に駆け寄るその光景も究極の癒し。もふもふに囲まれて幸せそうな深雪に皆さん皆目じりが下がる。
にぎやかな笑い声にいくつも並べた机の上には見ただけでうっとりとしたため息が出るような沢山の美しい料理の数々。
こんな楽しい夜、忘れる事の出来ない夜になりそうだと笑みを浮かべるのだった。
付喪神たちを幸せにして付喪神が幸せにしてくれた縁がこんなにも幸せに満ちていて、これ以上の幸せってなんだろうと幸せな悩みに結奈と深雪と目が合えばそれだけでこぼれる笑みにこれ以上の贅沢はないという様に幸せにこんな日が続きますようにと願うのではなく誓う真だった。
******************************
長くお付き合いありがとうございました。
これにて真の物語は終わりになります。
今書いてます『隣の古道具屋さん』で古道具にまつわる不思議な話を書いており、次郎さんの掛け軸の修繕の時の話をまぜております。
真の家の放火事件の後京都に乗り込んで事件解決、真だけ先に帰らされた時の話になります。
相変わらず自分に素直な大家さんと苦労人つっきーが顔を出してますがよろしかったら覗いていただけると幸いです。
真とちみっこ達の応援ありがとうございました。
「ひょっとして起きちゃった?」
「うん。仕方ないから真を探しに来たんだけど……」
ぱっちりと開いたつぶらな瞳はもうお昼寝するつもりはないと言わんばかりにご機嫌の我が子においでと手を伸ばす。
「うわっ、かわいいですね!
お子さんですか?」
「はい。やっと半年過ぎたので家族そろっての初めての旅行になります」
今はご機嫌だから人見知りもしないという様に泣きもしないけど俺の顔を見て手を伸ばして髪や耳を掴もうとするそのいたずら好きな小さな手にニヤニヤとしてしまう親の幸せ。かわいすぎてデレデレになってしまう。
それがよっぽど香織には屈辱だったのだろう。
見下していた俺。
あの時は無神経だった俺が悪かったとはいえ甘えられる相手と出会い今では理想の姿を現すように綺麗に着飾っての彼女なりの幸せを手に入れたというその顔は俺の幸せを許せないという様に歪んでいた。
さらに自慢の彼氏はそんな相手の信者と言う理解不能の目の前の光景と幸せいっぱいの俺の様子にこれ以上とないくらい醜く顔を歪めていたけど今の俺はそれさえどうでもいいという様に少しミルクの匂いのする娘に全身を預けてもらうその甘やかな幸せと言うぬくもりに浸っていれば
「あの、せっかくお会いできたのでこの後お時間の予定はどうなってますか?
よろしければ一緒にお茶はどうでしょう?プログラムについて少しお話をさせていただきたいのですが」
香織の事は良いのかい?と突っ込みたいけど
「すみません。今日はこちらでこの子のお披露目の場を用意していただいたので」
その後は飯田さんの家にお泊りさせていただくという贅沢な旅行。結奈は志月さんの所で女子会だという。九条の本家の方たちも我が子のように喜んでくれてのお招き。俺達男性陣は付喪神含めて飯田家で飲み会だ。もちろんつっきーも居る。
まるで里帰りの様な時間を楽しみにしながら仰々しい看板を掲げていない飯田さんの店を見上げる。二人ともと知っているようで有名すぎるくらい有名な店を眺めながら香織も深川さんもここでという事に唖然としていた。
地元の人間でもこの門をくぐれないというのになんで俺がといわんばかりに香織の顔色が真っ赤に染まっていくものの
「真ー、いたいた。って、友達?」
「地元だから一人ぐらい友達は居るだろ」
姿を現したのは大家さんとつっきーだった。
なんて言うか
「なんで二人とも着物を着ているのですか?」
派手さはないけどしっとりとした色合いがあまりにも似合いすぎる二人にいつの間に着替えたのかと聞けば
「そんなものお母さんに遭遇したらこの家ではこうなる事になってるんだよ」
「寧ろどういうことですか……」
そんなルールがあったかなんて思うも深くさぐらない方がいいだろうという事にする。
「で、お友達には申し訳ないけどぼちぼち始めるけどいいか?」
そろそろ時間なのだろう。
「問題ないです。ではここで失礼します。
深川さんもまた定期メンテナンスの時に」
なんて別れの挨拶を残して俺はいつの間に来ていたのか初めて会った時より大きくなってモフ度が増したしいさんとこまさんと言うこの家の番犬…… 番犬? に許されて茅葺屋根の門を通り抜けて店へと入った。
そして二人が門のうちに入ってこないという様に立ちふさがるその姿、神々しい。
香織が追いかけてこようとして深川さんに止められていた姿に一歩でも入ったら大変なことになりますよーなんて心の中で思っていれば本当に入ってしまった一歩。
しいさんとこまさんの低く唸る声が聞こえたかのように深川さんが
「いい加減にしろ香織!」
なんて言って外に引っぱって行く。
後ろから真のくせに信じられない、と言う声と視線が突き刺さったが……
今となればその視線も気持ちいいものだと口の端に笑みが宿る。
つっきーに案内されながら前を歩く結奈と俺の隣を歩く大家さん。
ちょんちょんと肘でつつかれて視線を向ければ
「あれが例の昔の女か?
あんな趣味の悪いのと良く付き合ってたなって言うか縁が切れてよかったな」
さすがにそこまでは俺は言わないけど、だけどだ。
「今は最高の奥さんと奥さんそっくりの最愛の娘がいますからね。
先輩のおかげです」
「そこは大家さんのおかげっていう所だろ?」
「えー、だけど先輩ありきの出会いじゃないですか」
「だけど肝心のあいつが相変わらずって言うのがな……」
「先輩はアレで良いんです。幸せそうで何よりじゃないですか。嫁達に囲まれてる暮らし、ハーレムで楽しそうじゃないですか」
「否定する言葉がなんで一つも思い浮かばない!」
なんて笑うも大家さんもアイヴィーがいるのに好きなように生きてるじゃないですかと言うのは口にはしない。
だけど
「しいさんとこまさんに怒られていたけど大丈夫かな?」
「んー、まあ、それなりの目にはあうだろうな」
「それなりですか?」
大家さんのそれなりは信用できないなと聞けば
「それなりに。とはいえせいぜい一歩。今の自慢の彼氏さんとお別れになる程度ぐらいかな」
「うわ……」
大家さんがそれなりと希望を口に出したのだから間違いないなと冷や汗が出る。俺と再会しなくても見ての通り年齢的にも意識している結婚という言葉を前にお別れとはこれは痛い問題。かなりの大ダメージだろうなと思えば俺は少しの沈黙ののちに
「俺、引っ越してきた時見返してやるなんて気持ちがあったんです」
「そう言えば植田にそうそそのかされていたな」
思い出す顔に二人して笑えば
「今この姿を見せつける事が一番の復讐ですね」
「ああ、お前が勝ち取った最高にいい復讐だ」
幸せ家族、そして誰もがうらやむ店での食事。
幸せを運んできてくれた付喪神にたくさんの俺を支えてくれた人たちとの団らん。
いろいろな事が起きたけどみんな幸せになった最高の状態を見せつける事ができたのだ。ざまあみろだ!
そして漂ってくる鼻をくすぐる美味しそうな匂い。
「今夜は楽しみですね」
「飯田さん達も張り切ってくれたし、お父さんも気合入れてたから美味しいは絶対だな。二次会は高遠さん達と一緒の飲み会!」
「あれだけご飯を食べた後でも皆さんが作ってくれるおつまみも美味しくってほんと体重ヤバいですよねって、そういえば朱華をそろそろ呼ばないと」
「だな。遅いと文句が長くなるから早めに呼んでおこうか」
忘れてたわけじゃないぞと言い訳をしながらスマホを出してLIMEから連絡を取る。
「ひよさん、そろそろおいで」
「主~! まってました~! 今、朱華が参りますー!」
ポン!
ビデオ通話から繋がった朱華の姿が大家さんのスマホからもりもりっと立体となって飛び出してきたその姿。
「ちゃんと通る不思議ー」
大家さんは相変わらずどうなってるとスマホを眺めるけど朱華の足にはタッチペンが握られていた。
そう、玄さんがタブレットで大家さんとお話を見ているのを見て皆もタブレットの使い方を覚えたのだ。
とはいえタブレットを操作するにはなかなか難しいちみっこ達。
慣れている玄さん、そして見様見真似で覚えた岩さん。小さなおててのある緑青は問題なくすぐやれるようになり、真白ともっくんはその足で一度画面を壊してしまったので小さなお鼻で操作するという器用な事をしてくれた。画面がめちゃくちゃ汚れるけどそこは毎回緑青がタオルで綺麗にしてくれる。ほんと良い子だ。
そんな中で朱華はタッチペンを駆使するという器用さを発揮した。
くちばしで画面を突っついて……
どれだけタブレットを買いなおさなくてはいけないのかと想像して冷や汗を流したものの本来器用なのだろう。
今もタッチペンを離さずに大家さんの肩に止まれば
「上手に来れたな」
「主にいつお呼びがかかるかわからないからずっとタブレットの前でいい子にして待ってたんだよ!」
嬉しそうにフルフルと体を揺らすその様子。
大家さんにすり寄りながらも周囲をうかがう視線はご飯を探すものではないと信じたい。
だけどすぐに少し離れた所で賑やかな声が聞こえてくる。
聞きなれた声に聞き覚えのある声。
楽しそうな笑い声が聞こえてこればお祭り好きの付喪神。そわそわしだした朱華に振り向いた結奈も笑い、俺と結奈の子供である娘、深雪も当然ちみっこ達が見えて触れれる才能を発揮していて、見つけた先に居る普段から遊びなれた朱華に手を伸ばしている。容赦なく握りしめるので朱華は逃げ回っているが、捕まったら最後本体行きなのでそこは心の中で頑張れと応援することにしている。
「さあ、みんなお待ちかねだ。
本日の主役、がんばれよ」
「大家さんにお招きして頂いた座敷ですからね。
いっぱい食べていっぱい笑って大きくなろうな」
初めましての皆さんがいっぱいいる中でこのご機嫌な様子の深雪を心配することはないだろう。
門からの小道を通り入り口でお出迎えに来てくれた飯田さんとお母さん。
案内されて通された座敷にはみんな揃っていて
「改めまして今日は娘の深雪の為にお集まりありがとうございます!」
そんな挨拶から始まる宴。
一人座りも怪しく、だけど横にすればうつぶせになってはいはいをしようとご機嫌になる。すぐに真白たちがお世話に駆け寄るその光景も究極の癒し。もふもふに囲まれて幸せそうな深雪に皆さん皆目じりが下がる。
にぎやかな笑い声にいくつも並べた机の上には見ただけでうっとりとしたため息が出るような沢山の美しい料理の数々。
こんな楽しい夜、忘れる事の出来ない夜になりそうだと笑みを浮かべるのだった。
付喪神たちを幸せにして付喪神が幸せにしてくれた縁がこんなにも幸せに満ちていて、これ以上の幸せってなんだろうと幸せな悩みに結奈と深雪と目が合えばそれだけでこぼれる笑みにこれ以上の贅沢はないという様に幸せにこんな日が続きますようにと願うのではなく誓う真だった。
******************************
長くお付き合いありがとうございました。
これにて真の物語は終わりになります。
今書いてます『隣の古道具屋さん』で古道具にまつわる不思議な話を書いており、次郎さんの掛け軸の修繕の時の話をまぜております。
真の家の放火事件の後京都に乗り込んで事件解決、真だけ先に帰らされた時の話になります。
相変わらず自分に素直な大家さんと苦労人つっきーが顔を出してますがよろしかったら覗いていただけると幸いです。
真とちみっこ達の応援ありがとうございました。
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