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新しい入居者がやってくるそうだ 3
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雪の降りが少なくなり、日差しも暖かくなりだすころ暁達は京都に帰ることになった。
そして俺も一緒に行く予定をしていたが肝心の九条家の方で少々問題が起きたので少し落ち着いてから改めて訪問する約束になった。
志月さんの事でいろいろ手をまわしてくれた暁のおばあさんの体調がすぐれずに入院という事となり、急遽お見舞いに行くことになってそのまま京都に帰ることになった。
あわただしく連絡を受けたそのまま荷物をまとめて帰ることとなり
「晴朝帰っちゃうの?」
「晴朝また遊びに来る?」
「陽菜乃も帰っちゃうの?」
「陽菜乃もいないと寂しいね?」
「志月がいないのは寂しいけど暁はいなくても大丈夫だよ?」
時々腹黒さを出す玄さんの言葉。思わず頷いてしまったが
「玄さん。暁がいなくても大丈夫だなんてことは心の中で思う言葉であって口に出して言ってはいけません」
「おい綾人。お前もたいがいだぞ」
なんてだしにされている暁が半眼で睨むも
「なにを言ってる。本音と建前という事を学ぶにはちょうどいい教材じゃないか」
「だから俺を使うな」
「志月さんだったらいい?」
「俺を使ってください」
「だって。やったね玄さん!」
「やったね主!」
いえーいと綾人の指先と玄さんのおててでハイタッチ。
「お前は、玄さんに何を覚えさせてる」
「普通に文化を教えてるだけだよ。
コミュニケーションはまずは挨拶から、そして共感だ」
「お前が言えば言うほど白々しいな」
「ちゃんと人を選んでやってるだけだ」
「全員にやってくれ!」
なんて騒々しい帰宅。
三月となれば道路もだいぶ凍らなくなり綾人は四人を車に乗せて持っていけない荷物は宅配で届ければいいと段ボールに詰めたものも一緒に車につめて麓の駅まで送ることになった。
突然帰ることになったので晴朝はともかく陽菜乃がいつまでも玄さんを抱きしめて離さなかった。
騒々しい真白や朱華と違っておっとりした玄さんと玄さんのペースに合わせることのできる岩さんが陽菜乃のお気に入り。
おかげで志月さんの蛇への苦手意識がすっかり、というわけではないが岩さんに対してはなくなったのは良い傾向だと思う。
さりげなく傷ついていたけど最後は一緒におやつが食べられるようになってすっかり苦手だったころを忘れてしまったのは何よりの収穫。
人が成長する瞬間に立ち会えるのは自分も成長した気になる素晴らしい瞬間だと思っている。それを見て自身も何か一つ乗り越えることができるのではないかと。
まあ、それで俺の虫嫌いが克服できたわけでもないけど苦手意識は少しずつ薄くなってはいる。はず。
まあ、深く考えるのはやめて
「陽菜乃、玄さんがかわいくて連れて帰りたい気持ちはわからないでもないが、玄さんは主の俺から離れたら強制的におうちに帰ることになるから。連れて行ってもバイバイする事になるんだぞ?」
「玄さんは陽菜乃と一緒に陽菜乃のおうちに行くの!」
なんてぎゅっと抱きしめていれば
「じゃあ、陽菜乃が玄さん達と一緒にこのおうちに残ろうか?」
そんな志月さんの提案。
「いや!」
そういって玄さんを抱きしめながら志月さんの足に張り付く陽菜乃」
「これは手ごわい」
なんて笑ってしまったけど俺はしゃがんで志月さんの足に張り付く陽菜乃に
「大きくなって陽菜乃がお嫁さんになってここに来ればいい」
「いや!」
分かってた答えに思わず笑ってしまう。
そしてものすごくいい顔の暁にムカつく。
「陽菜乃はお父さんと結婚するんだよな!」
なんてどや顔の暁に志月さんも苦笑するその言葉に
「いや!」
これには俺もバカな大人を見ていた晴朝も大笑いだ。そして
「玄さんとするの!」
まさかの初恋は玄さんだった。
いや、その前に玄さんが男の子か女の子かもわからないし。だけどその前に少し嬉しそうな顔をする玄さんと絶望的な顔をする岩さん。
あ、これが三角関係か……
これはどうなると思ってみていれば岩さんが陽菜乃をよじ登って玄さんを抱きしめている腕へと絡みつく。
「岩さんもついてくる?」
「玄さんは岩さんの」
「じゃあ岩さんも陽菜乃のだね」
三角関係ではなくまさかのジャイアニズム。
みんな一緒と玄さんと岩さんを抱きしめれていれば
「だめー!」
そういって参戦したのは緑青だった。
「ろくちゃんもうちの子になる?」
両手がっぱいの陽菜乃はキラキラしたおめめで一緒に行こうと誘うも
「玄さんも岩さんも主の子なの!」
だからだめー!と必死になって玄さんと岩さんを抱っこする手を引き離そうとするも陽菜乃の力にも勝てない緑青。
やがて
「玄さんも岩さんもこのお山の子なの!緑青と一緒に主のお世話するの!」
ぽろぽろと泣きだす始末。
さすがに玄さんも岩さんも一緒に行くとはもう言えなくなり
「玄ここで陽菜乃とバイバイするね!」
なんてポトリと陽菜乃の腕から飛び降りた。いや落ちただけだけど、それを見て岩さんも
「陽菜乃またね!」
これまたあっさりしたものだった。
そうしてめそめそと泣く緑青に一緒だから泣き止んでという玄さんと岩さんに今度は陽菜乃が志月さんの足にしがみついて「うええぇぇぇ……」と言葉もなく泣き出してしまった。
仕方がないわねと志月さんが抱っこしてそのまま車に乗り込めば
「じゃあ、暁達駅まで送ってくるからいい子で待ってろよ」
「「「「「はーい!」」」」」
そんな別れ。
晴朝は陽菜乃の様子を見て一緒に行こう!なんて言え出せずに最後と言わんばかりに真白をもふもふして朱華の羽を頬ですりすりするという愛情表現。ほんの数歳の差がこうなるのかとチビ達に留守をお願いして駅へと向かうのだった。
そして俺も一緒に行く予定をしていたが肝心の九条家の方で少々問題が起きたので少し落ち着いてから改めて訪問する約束になった。
志月さんの事でいろいろ手をまわしてくれた暁のおばあさんの体調がすぐれずに入院という事となり、急遽お見舞いに行くことになってそのまま京都に帰ることになった。
あわただしく連絡を受けたそのまま荷物をまとめて帰ることとなり
「晴朝帰っちゃうの?」
「晴朝また遊びに来る?」
「陽菜乃も帰っちゃうの?」
「陽菜乃もいないと寂しいね?」
「志月がいないのは寂しいけど暁はいなくても大丈夫だよ?」
時々腹黒さを出す玄さんの言葉。思わず頷いてしまったが
「玄さん。暁がいなくても大丈夫だなんてことは心の中で思う言葉であって口に出して言ってはいけません」
「おい綾人。お前もたいがいだぞ」
なんてだしにされている暁が半眼で睨むも
「なにを言ってる。本音と建前という事を学ぶにはちょうどいい教材じゃないか」
「だから俺を使うな」
「志月さんだったらいい?」
「俺を使ってください」
「だって。やったね玄さん!」
「やったね主!」
いえーいと綾人の指先と玄さんのおててでハイタッチ。
「お前は、玄さんに何を覚えさせてる」
「普通に文化を教えてるだけだよ。
コミュニケーションはまずは挨拶から、そして共感だ」
「お前が言えば言うほど白々しいな」
「ちゃんと人を選んでやってるだけだ」
「全員にやってくれ!」
なんて騒々しい帰宅。
三月となれば道路もだいぶ凍らなくなり綾人は四人を車に乗せて持っていけない荷物は宅配で届ければいいと段ボールに詰めたものも一緒に車につめて麓の駅まで送ることになった。
突然帰ることになったので晴朝はともかく陽菜乃がいつまでも玄さんを抱きしめて離さなかった。
騒々しい真白や朱華と違っておっとりした玄さんと玄さんのペースに合わせることのできる岩さんが陽菜乃のお気に入り。
おかげで志月さんの蛇への苦手意識がすっかり、というわけではないが岩さんに対してはなくなったのは良い傾向だと思う。
さりげなく傷ついていたけど最後は一緒におやつが食べられるようになってすっかり苦手だったころを忘れてしまったのは何よりの収穫。
人が成長する瞬間に立ち会えるのは自分も成長した気になる素晴らしい瞬間だと思っている。それを見て自身も何か一つ乗り越えることができるのではないかと。
まあ、それで俺の虫嫌いが克服できたわけでもないけど苦手意識は少しずつ薄くなってはいる。はず。
まあ、深く考えるのはやめて
「陽菜乃、玄さんがかわいくて連れて帰りたい気持ちはわからないでもないが、玄さんは主の俺から離れたら強制的におうちに帰ることになるから。連れて行ってもバイバイする事になるんだぞ?」
「玄さんは陽菜乃と一緒に陽菜乃のおうちに行くの!」
なんてぎゅっと抱きしめていれば
「じゃあ、陽菜乃が玄さん達と一緒にこのおうちに残ろうか?」
そんな志月さんの提案。
「いや!」
そういって玄さんを抱きしめながら志月さんの足に張り付く陽菜乃」
「これは手ごわい」
なんて笑ってしまったけど俺はしゃがんで志月さんの足に張り付く陽菜乃に
「大きくなって陽菜乃がお嫁さんになってここに来ればいい」
「いや!」
分かってた答えに思わず笑ってしまう。
そしてものすごくいい顔の暁にムカつく。
「陽菜乃はお父さんと結婚するんだよな!」
なんてどや顔の暁に志月さんも苦笑するその言葉に
「いや!」
これには俺もバカな大人を見ていた晴朝も大笑いだ。そして
「玄さんとするの!」
まさかの初恋は玄さんだった。
いや、その前に玄さんが男の子か女の子かもわからないし。だけどその前に少し嬉しそうな顔をする玄さんと絶望的な顔をする岩さん。
あ、これが三角関係か……
これはどうなると思ってみていれば岩さんが陽菜乃をよじ登って玄さんを抱きしめている腕へと絡みつく。
「岩さんもついてくる?」
「玄さんは岩さんの」
「じゃあ岩さんも陽菜乃のだね」
三角関係ではなくまさかのジャイアニズム。
みんな一緒と玄さんと岩さんを抱きしめれていれば
「だめー!」
そういって参戦したのは緑青だった。
「ろくちゃんもうちの子になる?」
両手がっぱいの陽菜乃はキラキラしたおめめで一緒に行こうと誘うも
「玄さんも岩さんも主の子なの!」
だからだめー!と必死になって玄さんと岩さんを抱っこする手を引き離そうとするも陽菜乃の力にも勝てない緑青。
やがて
「玄さんも岩さんもこのお山の子なの!緑青と一緒に主のお世話するの!」
ぽろぽろと泣きだす始末。
さすがに玄さんも岩さんも一緒に行くとはもう言えなくなり
「玄ここで陽菜乃とバイバイするね!」
なんてポトリと陽菜乃の腕から飛び降りた。いや落ちただけだけど、それを見て岩さんも
「陽菜乃またね!」
これまたあっさりしたものだった。
そうしてめそめそと泣く緑青に一緒だから泣き止んでという玄さんと岩さんに今度は陽菜乃が志月さんの足にしがみついて「うええぇぇぇ……」と言葉もなく泣き出してしまった。
仕方がないわねと志月さんが抱っこしてそのまま車に乗り込めば
「じゃあ、暁達駅まで送ってくるからいい子で待ってろよ」
「「「「「はーい!」」」」」
そんな別れ。
晴朝は陽菜乃の様子を見て一緒に行こう!なんて言え出せずに最後と言わんばかりに真白をもふもふして朱華の羽を頬ですりすりするという愛情表現。ほんの数歳の差がこうなるのかとチビ達に留守をお願いして駅へと向かうのだった。
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