家賃一万円、庭付き、駐車場付き、付喪神付き?!

雪那 由多

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幸運の赤い鳥 1

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「年末にゆっくり過ごせるなんて初めてだな」

 そんな優雅な事をぼやいた暁に思わず綾人は振り向いて暁の背中を見る。
 雪山を作り、滑り台を作って晴朝と陽菜乃を遊ばしているヤローなので邪魔はしないが

「そうですね。結婚する前もお正月に向けて毎年大忙しでしたからね」

 一応神社経営をしている人達なので年末の大掃除から注連縄飾りを作ったり正月を迎えたり大忙しだと言う。もちろんその中には冬休みの観光客をお出迎えする準備もあったりして志月さんの言葉があったから納得は出来た。
 寧ろよかったなと思ったが、それはそれ。有能な人材を遊ばせる事はしない綾人。

「だったらさ、ちょっと麓の家の掃除手伝ってもらっても良い?」
「麓って言うと下の街の家か?」
「問題ありませんよ。
お世話になっているのでそれぐらいお安い御用です。
 晴朝や陽菜乃の勉強にもなりますし」
 暁はもちろん志月さんも二つ返事で了承してくれた。
 まあ、ずーっと子供達と雪遊びじゃ退屈していたって言うのもあるけど、半分は俺の看病も合わさっている。
「だったらお礼にお昼は下の街で食べよう……」

「だったらハンバーガー食べたい!」

 目をきらきらさせた晴朝が大声で提案してきた。
「ハンバーガー?
 そんなので良いのか?」
 九条の家ならもっといいモノを食べているだろうと暁にそれでいいのかと聞けば苦笑するばかり。
「実家だと間違っても食卓には出ないし、学校の行き帰りも式神が晴朝を守っているから寄り道なんて出来ないからな」
「実感篭ってるなー」
「うちは俺も親父も爺さんも代々そうやって学校に通ってたんだよ」
「あ、私の家は車で送迎でした。
 なんせ小学校まで15キロありましたからね」
「この辺といい勝負だな。しかしこの村ではスクールバスがある!
 雇用促進のためにな!」
「私の子供の頃はなかったけど今はあるそうです。
 仕事があるって重要ですからね」
 しみじみと語る志月と俺の会話にスクールバスって楽しそうぐらいしか理解してない晴朝がいいなー!と言えば陽菜乃も真似をするようにいいなーと言う。
 暁が田舎者めーと笑うので
「じゃあお昼はハンバーガーにしような。
 下の街にはハンバーガー屋さんがないからお昼近くになったら食べに行く事になるけどそれでもいいか?」
「行くー!
 じゃあ、じゃあ、俺注文しても良い?シェイク頼んでも良い?」
「うんうん。いいけどシェイクは冷たいぞー?」
「陽菜乃もー!」
 なんて何でもお兄ちゃんの真似をしたいお年頃なので一緒になってお父さんにお願いしていた。
 こういう時母親は素直に良いよとは言わない事をこの頃から既に理解しているのだろう。
 滅多に頼られる事のない父親なのでこの時ばかりはデレデレとした顔でナゲットも買おうな?なんて言うあたり……
 子供ってこの年齢からちゃんと親の利用方法をわかっているんだと自分の子供時代すでに壊滅的な家族関係だったから目の当たりにする普通の家族を見て意外とちゃんとしていたんだと……
 いや、ちゃんとしていたら志月さんが子供を連れて逃げ出そうなんてまでは言わないだろうけど耐える事はなかったんだよなと暁の評価を上げてみたものの元々がマイナス。とりあえずスタート地点にやっと立てたと思えば育てがいもあるだろ。
 俺の使い勝手のいい下僕……ではなく友人として。
 京都方面に人材がないから不便なんだよな。
 ましてや飯田さん一家を俺の我が儘に付き合わせるわけにもいかないし、飯田さんは勝手についてくるかもしれないけど、水野達みたいな使い勝手のいい駒……ではなく手足にさせるわけにはいかないからね。

「じゃあ、とりあえず麓の家の掃除に行くから汚れてもいい格好と着替えも必要だな。ハンバーガーを食べに行くからね」

 そう言えばさっそくと言うように
「かーさん着替えの準備!」
 なんて騒ぐ子供に
「小学生なら自分の着替えぐらい自分で用意して間違いがないかお母さんにチェックだぞ!」
「判ったー!」
 そう言ってぴゅーっと台風のように走って離れに向かう背中を陽菜乃も追いかけていく。
「元気だなー」
「自慢じゃないが今時ジャンクフードを食べた事のないお坊ちゃまだからな」
 憧れはあるだろう、と言うのは体験談だからだろうか。
「きっと飯田さんのハンバーガーじゃダメなんだろうな」
 うーんと唸っていればふいに思い出した。
「そう言えば昔フランチャイズのフライドチキンが食べたいって言ってたボンボンがいてさ、金持ちってかわいそうだって思った事もあったけどな」
「フライドチキン!いいですね!」
 志月まで乗っかってきた。
「暁、たまには買って帰るぐらいのお土産は必須だと思うぞ。お前が食べたかったからと言えば丸く収まるんだからそれぐらいしないと晴朝たち虐められるぞ」
「こんな事で?!」
「こんな事でもだ」
 今時ファーストフードを食べた事のない子供がいるなんて驚きはもう勘弁してくれというように
「今晩はフライドチキンだ。あとスープでもあれば十分だろう」
「サラダもご用意します」
 そんな満面の笑顔の志月さんに
「女性から食を切り離すなよ」
「今度は美味しいピザとパスタの店でも探そうか」
「それも大切だが、一家そろった休みの日の昼飯ぐらいたまにはピザの宅配を呼べって事だ」
「はい……」
 仕方がない。ここはピザ屋の宅配エリア外。しかも冬季通行止め区域。それは叶えてやれないから帰ってやってくれと言っておく。



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