人生負け組のスローライフ

雪那 由多

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今年もありがたい事にスケジュールがいっぱいになりそうです 2

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 先生と飯田さんには留学の事についてはまだ宮下達には黙ってもらう事をお願いした。
 高校生達を散々進学させておいて肝心の俺が落ちると言う恥ずかしさもあるが
「また何か起きて不可抗力な妨害があった時あいつらを心配させたくないから」
 なんというか俺が何か思い立った時には必ずとは言わないが妨害する様にトラブルが発生する。様な気がしてるだけ。統計的には全くそんな事がない事が綾人の記憶の中からも証明されているが、俺の人生のターニングポイントに当る時必ず妨害が入るのだ。
 中学受験の時特待生入学枠を得たのに母親の俺への関心のなさから無駄にされ、高校受験が決まってからのトチ狂ったオヤジの実家に引っ越します宣言。そして大学受験シーズンに起こった親戚との命の危険が絡むトラブル。妨害する奴はもういないと思うが、それでも人と絡む以上何があるのかが分らない不確定要素は親しくする人の数だけ膨らんでいく。
 寧ろ親族以外なら巻きこんでくれと言うのが俺の心境だがそこは黙っていよう。
「まぁ、その気持ちもわかるからなぁ」
 真冬の沢の中に浸かっている姿を見ていた先生はあの時を思い出してか渋い顔をして頷き、バアちゃんを亡くして暫くした頃の俺を知る飯田さんも無言を貫く。
 とりあえずだ。
「とりあえず合格してからみんなに報告と言う流れで大丈夫でしょうか?」
「まぁ、宮下が綾人に内緒にされて見捨てられたとかめそめそし出して圭斗が何でそんな事かくすんだ?!そんなに俺達は頼りないのかよ!!何て逆切れ確定だな」
 さすが元理科部担当教師。二人の事よくわかってらっしゃる。
 だけど俺にだって策はある。
「そこは今後の予定と留守中にしてほしい事を怒涛の様に言いくるめればあいつらを黙らす事が出来る。むしろやる事の多さに俺の事なんて構ってられないはずだ」
 なんて言えば白い目が向けられる。そんな目で見るなと言うように睨み返すも
「今思えば他にすり替えて誤魔化す事お前は良くやってたな。常とう手段だと言うのも判ったが、いつまでも通じるなと思うなよ」
 先生に釘を刺されるも
「俺が本気だと判れば応援してくれる二人だから」
 それだけ綾人も応援してきた。多少なりともショックはうけるだろうが、俺がやりたい事をやる。少なからずとも応援してくれるだろうと思ってはいる。たとえ素直な言葉がすぐに出なくてもだ。
「ですね。なんだかんだ言って誰よりも綾人君を気にかけてくれているのはあの二人ですから。
 何か今になって父が俺のフランス行きを黙って送り出してくれた気持ちが分りかけました」
「ほう?」
 面白いと言うような視線を先生が飯田さんに向ければ
「目的をもって行動する人って目つきが違います。
 誰も止められないし、止められても突き進んでいくパワーがあります。
 今の綾人さんならきっと止められても振り切って飛び出すような勢いがありますからね」
 なんて語る飯田さんにもそんなパワーが十八歳の時に既にあったのだろう。いや、高校の時に叔父を頼って東京に行く時にはそれだけの行動力があったと言う実績。行くと言ったら止められない、だから送り出すしかなかったんじゃないかと、飯田さんのお父さんは黙って送り出したのだろう。やっと理解できた心理に俺もそうなれば何だか認められたと思って嬉しいんだろうなと少し飯田さんの事を羨ましく思っていれば
「そんで留学についてどこまで準備してる?」
「あー、英検は中学の時に準一級は取ってあるし、高校の時にTOEFL受けてその年の最高得点は持ってる。だけどこれはもう一度確認の為に受け直しておこうと思う。
 授業料や生活費は三千万は確保してある。まあ後いくらか余裕を持っているけど、そこは心配しなくていい点だね。
 後色々資格は取っておこうと思うしイギリスでの慈善活動も始めたからそれも武器にしたいと思う」
「「何時の間に……」」
 項垂れる二人の顔の
「とりあえずロードに聞いてみたら、ロードが目的の所の卒業者で世界中から掃いて捨てるほどの優秀な人材に溢れているからあとは如何に大学にとって得のある人間かアピールする事だって。あ、学力と英語力は絶対条件だから。T大よりランクの上の大学なんだから最低ラインはそこだって言われた」
 容赦ねー何て笑って言えば先生も飯田さんも少し言葉をなくし
「「ほんとその行動力止められないな」」
 妙に感心されてしまったのが意味わかんないけどとりあえず受験までの間にできる事はしておこうと準備は整える事に決めた。







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