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年齢通りの楽しみ方 1
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綾人がフランスから帰って来て約一週間。
宮下と圭斗、陸斗と共に遠出をしていた。
目の前には色とりどりの謎のオブジェとお祭りのような屋台。
「宮下、あのポテト買って来てー!俺こっちの手作りフランクフルト買って来るから!」
「ええ?!まだ食べるの!じゃあ陸、これ持ってそこの木の所で待っていて。圭斗も飲み物買って来て。しょっぱいから絶対綾人喉乾いたって喚くから!」
「じゃあみんなお茶で良いな」
「せんせーは陸斗と一緒に待ってるねー」
「先生、邪魔になるから早く移動しよ?」
「はいはーい。達弥もしっかり食べとけよー」
「ふぁーい、っふ」
誰もがモグモグと口を止められずに屋台の料理を総て攻略するつもりのように何かを手にしていた。
上島兄が進学した大学の文化祭は農大に相応しく取れたての野菜をふんだんに使ったメニューが広がる、料理まで大学生の手作りなのだから器用な物だと感心するのだった。
「せんせー、陸ー、こんな所に居たんだ。
綾っちとかは?」
「颯太、持って来てもらって悪いな。あいつらはまた買いだしに歩き回ってるぞ」
「良く食べれますね……」
「ほんとだよ。
悪いな、わざわざここまで持って来てもらって」
圭斗も人数分のお茶を袋に入れて戻って来た所に遭遇した。
「また大量に。良かったらうちのテントの裏に移動しません?
机があるので安定して食べれますよ」
「よしそうしよう。せんせー食べづらくってしんどかったから」
紙袋に入れられたピザをモグモグするせんせーのどこに食べづらさがあると言う様に視線を集めるも気にしないのが高山の強い所だろう。
「じゃあ、俺ここで待ってるからせんせー達は先に行って荷物置かせてもらうと良い」
「圭斗悪いな」
「陸、達弥、せんせーを頼むぞ」
「うん」
「圭斗さん面倒見る人間違って……あ、間違ってないかも」
「達弥ー、お前も言うようになったな」
何て笑いながら移動しようとした所で
「あー、チヂミ焼けた?」
「綾っちお待たせー。今うちのテントの裏に移動しようってなった所だけど大丈夫?」
フランクフルトを紙袋に入れてもらうと言う斬新さにあっけにとられながらもそこは無視して
「やったね。机ゲット。これで他のも買いに行ける」
「綾人お前どれだけ食べるつもりだ」
「恒例全品制覇!
去年来れなかったか分今年は去年の分も楽しみます」
「せんせーとしては農業のノウハウを得に一人で文化祭に参加するお前の鉄の心に心底尊敬するぞ」
「目的があればどこにでも潜り込めますよ」
言いながら綾人は本の入ったカバンを移動先の机の上に置かせてもらおうとすれば
「あー!綾様!お帰りなさーい!」
「翔様もこっちに座ってください!」
同じ県民、それなりに有名となった俺達は同じ農業に徹する農ガール、もとい颯太の同級生達に掴まってもてはやされるのだった。
あまりちやほやされる経験のない宮下はえ?え?とキャバ嬢にたかられる初心者の如く案内されるがままに連れて行かれてしまったが
「吉野君、去年は姿を見かけなかったから心配したが、動画を見てたけど随分と思い切った事をやったね」
「稲垣先生ご無沙汰してます。去年と今年はいろいろ忙しすぎて先生が引退する前に迷惑かけてる奴らを連れて足を延ばしてきました」
言えば髪を真っ白にした先生は声を立てて笑い
「まぁ、儂も後四年で二度目のお勤めも終わるからな。そうしたらのんびり土でも弄るさ。
さて皆さん今日は楽しんで行ってください」
では、他の所のみ周りもあるのでと言って去って行った稲垣先生を見送って
「綾っちが稲垣教授と知り合いとかビビるんだけど」
「あー、前に教科書買いに来た時にそこら辺で読んでいたら文化祭なのに真面目に勉強してるからって、何が分らないのかって声をかけてもらったんだよ」
「あら、親切な教授ね」
「どこぞの教師とは大違いだ」
「ほんとそれー」
反省の色なしと言うかよく自分を判ってらっしゃると呆れるものの
「それで稲垣先生となんの話しをしたんだ?」
颯太がそわそわしながら続きを待つ様子に俺は肩をすくめて
「うちの高山地帯の様子からの気温の話し、後土壌の特殊性から獣害とか、ほぼ我が家での農業に関する問題全部を上げれば稲垣先生は総ての問題を解決してくれたんだ。
気温はどうしようもないから上手く植物と付き合いなさい、土壌はphをチェックすれば大概問題はない。獣害に関しては畑を柵で囲んでしまえば問題は解決だって、そんな判りきった事を聞くために来たんじゃねえって頭を抱えたけど、それが農業だって言われた。
どれだけ模範回答があったとしてもたった一日の雨が台無しになったり、たった一夜で降りた霜でダメになったり、それが農業の醍醐味だからって。
どんな難しい方程式を解き明かすよりも、どんな高性能の気象情報を読み明かしても我々を翻弄する自然こそ大いなる教師だって、予測不可能だから楽しいんだって教えてくれた」
だからこそ俺が農業でなくても畑を耕して自給自足まがいの事をする理由。
烏骨鶏に翻弄されて、天気に泣かされて、去年と同じように育てても育たない植物に発狂して。
「この一言があったからあの山で暮してけるんだと思うんだ」
どんな問題よりも難関な問題は生涯にわたって研究する有意義なテーマ。
「とりあえずまだまだ研究段階だよ」
ニヤリと笑えば何処かほっとするかのような先生の顔は綾人に物を教える人物がいてほっとしたと言う所だろう。
宮下と圭斗、陸斗と共に遠出をしていた。
目の前には色とりどりの謎のオブジェとお祭りのような屋台。
「宮下、あのポテト買って来てー!俺こっちの手作りフランクフルト買って来るから!」
「ええ?!まだ食べるの!じゃあ陸、これ持ってそこの木の所で待っていて。圭斗も飲み物買って来て。しょっぱいから絶対綾人喉乾いたって喚くから!」
「じゃあみんなお茶で良いな」
「せんせーは陸斗と一緒に待ってるねー」
「先生、邪魔になるから早く移動しよ?」
「はいはーい。達弥もしっかり食べとけよー」
「ふぁーい、っふ」
誰もがモグモグと口を止められずに屋台の料理を総て攻略するつもりのように何かを手にしていた。
上島兄が進学した大学の文化祭は農大に相応しく取れたての野菜をふんだんに使ったメニューが広がる、料理まで大学生の手作りなのだから器用な物だと感心するのだった。
「せんせー、陸ー、こんな所に居たんだ。
綾っちとかは?」
「颯太、持って来てもらって悪いな。あいつらはまた買いだしに歩き回ってるぞ」
「良く食べれますね……」
「ほんとだよ。
悪いな、わざわざここまで持って来てもらって」
圭斗も人数分のお茶を袋に入れて戻って来た所に遭遇した。
「また大量に。良かったらうちのテントの裏に移動しません?
机があるので安定して食べれますよ」
「よしそうしよう。せんせー食べづらくってしんどかったから」
紙袋に入れられたピザをモグモグするせんせーのどこに食べづらさがあると言う様に視線を集めるも気にしないのが高山の強い所だろう。
「じゃあ、俺ここで待ってるからせんせー達は先に行って荷物置かせてもらうと良い」
「圭斗悪いな」
「陸、達弥、せんせーを頼むぞ」
「うん」
「圭斗さん面倒見る人間違って……あ、間違ってないかも」
「達弥ー、お前も言うようになったな」
何て笑いながら移動しようとした所で
「あー、チヂミ焼けた?」
「綾っちお待たせー。今うちのテントの裏に移動しようってなった所だけど大丈夫?」
フランクフルトを紙袋に入れてもらうと言う斬新さにあっけにとられながらもそこは無視して
「やったね。机ゲット。これで他のも買いに行ける」
「綾人お前どれだけ食べるつもりだ」
「恒例全品制覇!
去年来れなかったか分今年は去年の分も楽しみます」
「せんせーとしては農業のノウハウを得に一人で文化祭に参加するお前の鉄の心に心底尊敬するぞ」
「目的があればどこにでも潜り込めますよ」
言いながら綾人は本の入ったカバンを移動先の机の上に置かせてもらおうとすれば
「あー!綾様!お帰りなさーい!」
「翔様もこっちに座ってください!」
同じ県民、それなりに有名となった俺達は同じ農業に徹する農ガール、もとい颯太の同級生達に掴まってもてはやされるのだった。
あまりちやほやされる経験のない宮下はえ?え?とキャバ嬢にたかられる初心者の如く案内されるがままに連れて行かれてしまったが
「吉野君、去年は姿を見かけなかったから心配したが、動画を見てたけど随分と思い切った事をやったね」
「稲垣先生ご無沙汰してます。去年と今年はいろいろ忙しすぎて先生が引退する前に迷惑かけてる奴らを連れて足を延ばしてきました」
言えば髪を真っ白にした先生は声を立てて笑い
「まぁ、儂も後四年で二度目のお勤めも終わるからな。そうしたらのんびり土でも弄るさ。
さて皆さん今日は楽しんで行ってください」
では、他の所のみ周りもあるのでと言って去って行った稲垣先生を見送って
「綾っちが稲垣教授と知り合いとかビビるんだけど」
「あー、前に教科書買いに来た時にそこら辺で読んでいたら文化祭なのに真面目に勉強してるからって、何が分らないのかって声をかけてもらったんだよ」
「あら、親切な教授ね」
「どこぞの教師とは大違いだ」
「ほんとそれー」
反省の色なしと言うかよく自分を判ってらっしゃると呆れるものの
「それで稲垣先生となんの話しをしたんだ?」
颯太がそわそわしながら続きを待つ様子に俺は肩をすくめて
「うちの高山地帯の様子からの気温の話し、後土壌の特殊性から獣害とか、ほぼ我が家での農業に関する問題全部を上げれば稲垣先生は総ての問題を解決してくれたんだ。
気温はどうしようもないから上手く植物と付き合いなさい、土壌はphをチェックすれば大概問題はない。獣害に関しては畑を柵で囲んでしまえば問題は解決だって、そんな判りきった事を聞くために来たんじゃねえって頭を抱えたけど、それが農業だって言われた。
どれだけ模範回答があったとしてもたった一日の雨が台無しになったり、たった一夜で降りた霜でダメになったり、それが農業の醍醐味だからって。
どんな難しい方程式を解き明かすよりも、どんな高性能の気象情報を読み明かしても我々を翻弄する自然こそ大いなる教師だって、予測不可能だから楽しいんだって教えてくれた」
だからこそ俺が農業でなくても畑を耕して自給自足まがいの事をする理由。
烏骨鶏に翻弄されて、天気に泣かされて、去年と同じように育てても育たない植物に発狂して。
「この一言があったからあの山で暮してけるんだと思うんだ」
どんな問題よりも難関な問題は生涯にわたって研究する有意義なテーマ。
「とりあえずまだまだ研究段階だよ」
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