人生負け組のスローライフ

雪那 由多

文字の大きさ
487 / 976

心は広く持ちたいと言う事を願っております 6

しおりを挟む
 昼食後はクレイグさんの指揮の下、時間、絶対、そんな会社としての契約やモラルを守る様にきっちりと時間通りに仕事を終えて皆様は初日を終わらせ、その頃になってやっと宮下と陸斗は目を覚まして起きてきた。
 そして俺達は飯田さんとオリオールのご飯に舌包みを打ち、まだ人様に宿泊を進めれないこの城で俺達は飯田さんやオリヴィエ、綾人が寝泊まりしている部屋に並べられた折りたたみベットを寝床としている。
 因みに岡野親子は三人で個室を与えられていた。幸せ家族が眩しすぎて直視できないと言うわけでもないが、女性もいるので別室をお願いしてもらった物の申し訳ない事にこちらも折りたたみベットだが文句を言わずに一階の今はまだ使えないけど暖炉のある部屋を選んで拠点にしてもらった。
 飯田さんがクレイグさんに聞いてくれた所ではこの部屋は商談する時の部屋だと言う。商談と言っても相手だったり金額に寄ったりで使用する部屋を変えると言うのには驚いたが、元々ここは城なのだ。付き合う人間の多さも違うのでそう言う物だろうと圭斗は思う事にしておいた。
 とは言えこの大きく広い城にたったこれだけの人数。 
 正直夜は寂しいと言うか不安と言った言葉ばかりがあふれ出て来る。だけどこちらに来て直ぐに働きだした俺と浩太さんと山川さんは風呂を貰って速攻で寝てしまうのだった。
「無茶するからですよ」
 飯田さんが圭斗達に夜は冷えるからと薄い布団をかけて回っていた。山川さんと浩太さんに至ってはベットの間に何所からか見つけてきたテーブルにオリオールが作ってくれた晩ご飯の残りを貰ってそれを摘みにワインを楽しんでいたが早々に寝てしまった。
「勿体ない」
 飯田さんは残った物と新たに作った物を持って夜食にしましょうと圭斗達同様ダウンしている岡野一家も休んでもらっている間に晩酌を楽しむつもりのようだった。
「オリヴィエと陸斗君にはノンアルコールを」
 そんなスパークリングワインに二人は喜んで、夜の飯テロなんて物がまだ怖くない二人はカマンベールをくりぬいて作ったチーズフォンデュに野菜やパンを絡めて楽しみながら綾人が自由に使えと置いて行ったタブレット経由での会話や日本の友人達と賑やかにおしゃべりを楽しみだしていた。
 あの時の友情がまだ繋がっているのを飯田さんと共に眩しく眺めていれば、オリオールからの問いかけに飯田は子供達の友情を教えるのだった。
『かわいらしい!
 あのオリヴィエがちゃんと年齢通りに見える!』
 飯田さんは苦笑しながら俺に
「オリオールもオリヴィエの偏食には頭を抱えてますからね。だいぶ改善されたとはいえ簡単に治らないのが好き嫌いだから。
 まずは一口、それが難しくて日々頭をひねらせている難敵です」
 作ったらすべて食べつくして行く高校生しか知らない飯田にとってこれは難しいとうんうんとうなってみせるのを宮下はとても珍しい物を見たと言う様に飯田を見るも
「それよりも思うんだけど、人足りてる?」
 時差ボケはまだひどくないけど睡眠不足を解消した宮下はいつもの通りののんびりとした田舎の青年と言う様な穏やかにも聞こえる声で、でも心配をしてくれていた。
「人を増やしたいのは確かですがまだ店のオープンも規模も何にも決まってません。年内オープンは確定ですが、そもそもこの城の工事がある程度終わらない事にはままなりませんね」
「それって何年先になるんだか」
 苦笑しながらもパイ生地にベシャメルソースを塗ってベーコンを焼いただけのパイを齧りながらワインを傾ける。ピリッと聞いた黒胡椒とベーコンの塩気がまたおいしいと勝手に進むワインを警戒する様にビールへと切り替えた。
「チェイサーにビールを選ぶなんて宮下君もなかなかの酒豪ですね」
 はははと笑う飯田さんに
「違うに決まってるでしょ!飯田さんと一緒にしないでください!」
 ワインを簡単に一瓶飲んでしまう飯田さんを警戒しながらもうワインはいりませんからと全身で警戒をしていれば、ちゃんとわかってる飯田さんは意地悪く笑いながらも仕方ありませんねぇ、と自分のグラスにワインを入れていた。
 ワイングラスではなく普通のコップと言う奴。
 そしてオリオールも見慣れていると言う様に何も言わずに自分のコップにワインをなみなみと入れていた。
「やだこの二人、油断したら絶対明日は二日酔い決定じゃん」
 言いながら冷蔵庫からビールを取り出して来て壁のように並べながらワインいりませんを主張すれば飯田さんもオリオールも笑うけど
「綾人と話をしてたんだ。絶対人手をどこからか調達してこないとねって」
「ついに人材も物資になりましたか」
 それをオリオールへと翻訳すれば確かにとオリオールは頷いていた。



しおりを挟む
感想 93

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後

空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。 魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。 そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。 すると、キースの態度が豹変して……?

処理中です...