上 下
29 / 30

それぞれの思惑4

しおりを挟む
覚悟は決まったようだ。
知世は微笑むと、氷室に囁いた。
「あなたになら、壊されてもいいわ」
氷室が向ける感情なら、愛情も嫉妬も恨みも怒りも全て悦びに変わる。
「冬馬さん、私だけ見ていて。……もう、手放す気はありません」
そうして知世は氷室に口づけをする。
それは誓いのキスではなく、氷室を縛る鎖だ。
知世という名の毒が氷室の体をゆっくりと侵していく。
その毒は甘く、病みつきになる。
もっと深く、もっと沢山。
自ら毒を求めるように、氷室は知世の唇を貪った。

「あっ!!んっ......。だぁめ!!んっ!!ふぁ」
知世の体から出てくる液体をすべて飲み干すように氷室の唇がなぞる。
快楽の悦びで流れる涙も、汗も舌で丁寧に舐めとる。
そして、知世のトロトロに濡れた秘部にたどり着くとガラリと動きを変えた。
「ふぁあ!!んっ!!ふぁあ......んっ。イっ!!くうぅ......。やぁ!!イってるの!!吸わなっ!!んんふぁああ!!」
何度も氷室の舌で愛撫したクリトリスだ。もう、どんな責め方をすれば、知世が悦び快楽に溺れるのか知っている。
焦らすつもりはなかった。むしろ、正臣に見せつけるように知世の感じるところをピンポイントに責め立てる。
何年も何年も氷室の手によって解されてきた知世の体は、的確な責めによって生み出される快楽によって頂に登り詰める。

達した後でもクリトリスを舌で転がされる。敏感になりすぎたクリトリスは刺激から逃れようと腰を引くが、それよりも強い力で押し止められる。
痛い程の鋭い刺激。知世は自分の体の奥底でチリチリとした快楽が生まれているのにも気づいていた。
そしてこのまま愛撫をされ続けていたら先程よりも深い絶頂を味わうことも、これまでの経験上知っていた。
「ふぅん。連続でクリ責めできるんだな。どれだけ教え込んだら、こんな変態になるんだ、氷室?」
正臣の声にビクリと反応した知世にお仕置きをするように、クリトリスを吸い上げる。
氷室の舌でバキバキに硬くなったクリトリスは、氷室の吸い上げに合わせて快楽を爆発させた。
「うぁあっ!!ふぁあ......ん!!!あああっっ!!」
「10年......。だけど、僕は」
クリイきの余韻で全身を痙攣させている知世の蕩けている膣内に挿入した。
「ふぁあ!!んっ!!」
挿入だけで軽く達した知世をよそに、氷室は腰を動かす。
「こちらでしっかりと快楽を覚えさせますよ。あんたが刻んだ快楽なんか、すぐに上書きできますから」
挑むような目と口調。それが正臣の嗜虐心に火をつけた。
面白そうに正臣は笑うと、氷室に体位を変えるように命令する。一瞬いやがるように眉間にシワを寄せたが、仕方なさそうに氷室は繋がったまま、知世と体を入れかえた。

アナル用のローションを手に取り、乱暴に塗りつける。それだけで知世は刺激にひくひくと反応する。
ヌルヌルと卑猥な反応をするようになったのを確認すると、騎乗位で氷室の肉棒を咥えている知世の後ろの穴に正臣は自分の肉棒を突っ込んだ。
「っう!!あああっっ!!ふぁああああぅうううう!!!んぉぉぉぉ!!!」
膣内からこぼれていた愛液のおかげで、挿入はスムーズだった。獣のような声をあげている知世を気にかけることもなく、正臣は腰をつかみ自ら快楽をむさぼるように尻穴を蹂躙する。
「気持ち悪いですね。あんたのチンポが知世さんのナカで動いているのがわかるのは」
「知世は悦んでいるがな」
にやりと笑うと氷室は動きを早める。対抗するように、氷室も下から突き上げた。
「壊さないで下さいよ」
「そのへんは安心しろ。流石に妻がずっとオムツ生活は可哀想だからな」
「心にもないことを。壊れるとケツ穴を犯せないからでしょ」
「まぁな」

男二人は話している間も動きは止めない。
知世は獣のような声をあげながら、達し続ける。
もう、どの穴でイっているのかわからない。
あるのは弾けるような快楽だけだ。
壊れる、いや、壊れているのに刺激は与え続けられる。
深い深い快楽。
一人の男だけでは、決して得ることができない禁断の味。
二匹のオスは、目の前のメスの性感帯を知り尽くした的確な責めで犯し続ける。

「ああぁっ!!もっ……!!!うぅうあ!!足りなっ!!んっふぁぁぁ!!一人じゃっ!!!……感じなっんんん!!!」
絶頂と絶頂の合間。叫び声をあげながら、知世は二匹のオスを欲しがる。
悔しそうな氷室と、残虐な笑みを浮かべた正臣。
対象的な表情を見せながらも、その動きは同じゴールに向かっていた。
動きを合わせたと思うと、敢えてずらし知世を翻弄する。
達してもまだ足りないというように腟内と直腸内が蠢く。

一種の才能だ、と正臣は感服する。
生半可な男なら、この体を満足させることはできないだろう。
そして数多いる男の中でも、自分の欲に応える男を二人も選んだ知世の才能。
ただのお嬢様だと思っていたが、人の欲望を見出すのには右に出る者がいない。

欲望がある限り、人は思いもよらない能力を発揮する。
それは正臣の持論だった。

知世から譲り受けた会社の社員も欲の塊だった。
とりわけ、知世は他人の承認欲求を満たすのが上手い。
一見癖が強い人間の掌握術。知世はそれに長けていた。
兼近がいわゆるサラリーマン、勤め人の心を掴み、社会的欲求を満たすのが上手いように、知世は枠からはみ出た人間の遣い方を心得ている。


正臣も組織に迎合することはない。
サラリーマンとしては大成しないタイプだから自らの会社を作った。
組織にいる限り能力は思う存分発揮できないからだ。
そこそこ成功していた。だが、唯一満たされなかった性的な欲。

(満たされる日が来るとは……な)
ほくそ笑むと、正臣はフィニッシュに向けて腰を動かし続けた。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【R18】9番目の捨て駒姫

恋愛 / 完結 24h.ポイント:766pt お気に入り:1,093

後悔しても手遅れです。愚妹とどうぞ破滅してください。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:156pt お気に入り:36

優しい先輩に溺愛されるはずがめちゃくちゃにされた話

恋愛 / 完結 24h.ポイント:213pt お気に入り:67

【R18】ありふれた二人の、ありふれない性活

恋愛 / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:289

【R18】人の好みは説明できない

恋愛 / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:92

女の子がひたすら気持ちよくさせられる短編集

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:4,444pt お気に入り:502

エリスローズの瞳に映るもの

恋愛 / 完結 24h.ポイント:71pt お気に入り:220

処理中です...