上 下
4 / 147
プロローグ

クラスで異世界転移しました

しおりを挟む
「じゃ、これで帰りのSHRを終わる、かいさーん」

 1日の授業がすべて終わり担任の気の抜けた声と共に学校が終わる。
 部活動に入ってる生徒はそのまま支度をし、入ってないものは帰宅の支度をする。

 かく言う俺は一応部活入ってるから支度してるよ?あー…めんどくせぇ…。どうして部活というものはこうもめんどくさいものなのか…

 そして第一号の帰宅者が教室から出ようとした瞬間、下から目を開けていられないような光が放射された。

 俺は、いや俺達は耐えきれないとばかりに目を瞑る。
 そして急激に意識が遠くなる。



 あ、やな予感しかしねぇ。



 意識が闇に浸かる前、俺は冷や汗をかいた。



 さて目を覚ますとあら不思議。まるで中世の王城のような場所に寝てるではないですか。

 重い体をなんとか支え、立ち上がる。
 周りを見るとクラスメートもいてまだ寝てるやつもいれば目が覚めたやつもいるようだ。目を覚ましている者は皆同じような顔をして座り込んでいる。
 困惑した表情だ。当たり前だ。周りの景色が一変しているのだから。

 数分もした後に全員が目を覚まし頭を捻っている。

「どうも、勇者の方々こんにちは」

 混乱に満ちた空気がクラスメートの中で流れている中静かで凛とした声が響いた。
 声の方向へと顔を向けるとそこには超絶美人でモデル顔負けのスタイルをもつドレス姿の女性がいた。歳は20歳くらいだと思う。そしてその周りにはその女性を守るようにして立つ者達が数名。

 うん。目の保養。

「勇者?」「は?なにそれ」「てかここどこ」「え、城?(笑)」「夢じゃね?」

 まだ現実感がないクラスメートは顔を見合わせてる。
 ちなみに俺は1人だと寂しいやつなので幼馴染みでクラスのまとめ役でもある笹倉 徹の隣に立っている。おい、誰だチキンとか言ったやつ!!

「…なぁ蒼涼、これ夢か?」

 気の抜けたような表情をしながら呟く徹に首を振りながら答えてやる。

「…残念ながら夢じゃないと思うぞ」

 徹に腹パンしてやる。

「いっ……おい!」
「な?夢じゃない」
「あ、確かに」

 リアルな痛みとともに現実だと認めたようだ。

 しかし異様に俺が落ち着いて状況判断が出来てることに疑問をもつ人もいるのではないか。

 まあ普通なら徹のような反応かその他のクラスメートの反応が一般的かな。というか当たり前の反応。

 でも違う。
 何故か?
 んー…まあ………慣れ・・

「まず初めにここはあなた方が暮らしていた世界とは異なります。ここはヴァストークという国です。そして私はこの国の第一王女、ヴィーカと申します」

 クラス全員で、は?と口をポカーンと開けた。

「そしてこの国、いえこの世界は魔王という脅威に脅かされています。あなた方にはその魔王を討伐していただきたいのです」

「魔王…なにそれ」「え、もしかしてこれ現実…」「いや…帰りたい」「ふざけんな」

 だんだんと理解が追いついてきたクラスメートたちが口々につぶやく。
 そして声を揃えて叫ぶ。帰らせろ、と。

 無理だなぁ…多分。

 王女と名乗った女性は申し訳なさそうに眉を下げる。

「すみません…それは出来ないのです…こちらの事情で世界を渡る転移魔法は多大な魔力が必要で…魔王討伐が叶えば奪った魔力でお返しすることが可能なのです」

 …ほらね、確か500年近く魔力をため続けて出来る魔法なんだよ…だから帰るためには魔王から魔力をぶんどるしかない。という訳。

「この世界のために、どうかよろしくお願い致します」

 多分こんな美少女に頭を下げられて落ちない男はいないと思う。

「………………………………………わかり、ました」

 ほらな、って隣から聞こえた気がするぞ。

 嫌な予感がして隣を見る。

 声の主は徹。

 そしてクラスのリーダー的なこいつがやるといえば…

「………………………俺も…………………やるよ………」

 うん、こうなるわ。

 戸惑いながらも帰る方法が1つしかないという事を聞かされ、その1つに縋るしか無くなってしまった。

 ということで俺を除く・・・・クラス全員が承諾した。



----------------------------------
本当に少しですが加筆修正しています💦
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

スキルが全ての世界で無能力者と蔑まれた俺が、《殺奪》のスキルを駆使して世界最強になるまで 〜堕天使の美少女と共に十の塔を巡る冒険譚〜

石八
ファンタジー
スキルが全ての世界で、主人公──レイは、スキルを持たない無能力者であった。 そのせいでレイは周りから蔑まされ、挙句の果てにはパーティーメンバーに見限られ、パーティーを追放させられる。 そんなレイの元にある依頼が届き、その依頼を達成するべくレイは世界に十本ある塔の一本である始まりの塔に挑む。 そこで待っていた魔物に危うく殺されかけるレイだが、なんとかその魔物の討伐に成功する。 そして、そこでレイの中に眠っていた《殺奪》という『スキルを持つ者を殺すとそのスキルを自分のものにできる』という最強のスキルが開花し、レイは始まりの塔で数多のスキルを手にしていく。 この物語は、そんな《殺奪》のスキルによって最強へと駆け上がるレイと、始まりの塔の最上階で出会った謎の堕天使の美少女が力を合わせて十本の塔を巡る冒険譚である。

男女比1対999の異世界は、思った以上に過酷で天国

てりやき
ファンタジー
『魔法が存在して、男女比が1対999という世界に転生しませんか? 男性が少ないから、モテモテですよ。もし即決なら特典として、転生者に大人気の回復スキルと収納スキルも付けちゃいますけど』  女性経験が無いまま迎えた三十歳の誕生日に、不慮の事故で死んでしまった主人公が、突然目の前に現れた女神様の提案で転生した異世界で、頑張って生きてくお話。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

パーティーを追放された装備製作者、実は世界最強 〜ソロになったので、自分で作った最強装備で無双する〜

Tamaki Yoshigae
ファンタジー
ロイルはSランク冒険者パーティーの一員で、付与術師としてメンバーの武器の調整を担当していた。 だがある日、彼は「お前の付与などなくても俺たちは最強だ」と言われ、パーティーをクビになる。 仕方なく彼は、辺境で人生を再スタートすることにした。 素人が扱っても規格外の威力が出る武器を作れる彼は、今まで戦闘経験ゼロながらも瞬く間に成り上がる。 一方、自分たちの実力を過信するあまりチートな付与術師を失ったパーティーは、かつての猛威を振るえなくなっていた。

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

勇者に恋人寝取られ、悪評付きでパーティーを追放された俺、燃えた実家の道具屋を世界一にして勇者共を見下す

大小判
ファンタジー
平民同然の男爵家嫡子にして魔道具職人のローランは、旅に不慣れな勇者と四人の聖女を支えるべく勇者パーティーに加入するが、いけ好かない勇者アレンに義妹である治癒の聖女は心を奪われ、恋人であり、魔術の聖女である幼馴染を寝取られてしまう。 その上、何の非もなくパーティーに貢献していたローランを追放するために、勇者たちによって役立たずで勇者の恋人を寝取る最低男の悪評を世間に流されてしまった。 地元以外の冒険者ギルドからの信頼を失い、怒りと失望、悲しみで頭の整理が追い付かず、抜け殻状態で帰郷した彼に更なる追い打ちとして、将来継ぐはずだった実家の道具屋が、爵位証明書と両親もろとも炎上。 失意のどん底に立たされたローランだったが、 両親の葬式の日に義妹と幼馴染が王都で呑気に勇者との結婚披露宴パレードなるものを開催していたと知って怒りが爆発。 「勇者パーティ―全員、俺に泣いて土下座するくらい成り上がってやる!!」 そんな決意を固めてから一年ちょっと。成人を迎えた日に希少な鉱物や植物が無限に湧き出る不思議な土地の権利書と、現在の魔道具製造技術を根底から覆す神秘の合成釜が父の遺産としてローランに継承されることとなる。 この二つを使って世界一の道具屋になってやると意気込むローラン。しかし、彼の自分自身も自覚していなかった能力と父の遺産は世界各地で目を付けられ、勇者に大国、魔王に女神と、ローランを引き込んだり排除したりする動きに巻き込まれる羽目に これは世界一の道具屋を目指す青年が、爽快な生産チートで主に勇者とか聖女とかを嘲笑いながら邪魔する者を薙ぎ払い、栄光を掴む痛快な物語。

「おっさんはいらない」とパーティーを追放された魔導師は若返り、最強の大賢者となる~今更戻ってこいと言われてももう遅い~

平山和人
ファンタジー
かつては伝説の魔法使いと謳われたアークは中年となり、衰えた存在になった。 ある日、所属していたパーティーのリーダーから「老いさらばえたおっさんは必要ない」とパーティーを追い出される。 身も心も疲弊したアークは、辺境の地と拠点を移し、自給自足のスローライフを送っていた。 そんなある日、森の中で呪いをかけられた瀕死のフェニックスを発見し、これを助ける。 フェニックスはお礼に、アークを若返らせてくれるのだった。若返ったおかげで、全盛期以上の力を手に入れたアークは、史上最強の大賢者となる。 一方アークを追放したパーティーはアークを失ったことで、没落の道を辿ることになる。

平凡すぎる、と追放された俺。実は大量スキル獲得可のチート能力『無限変化』の使い手でした。俺が抜けてパーティが瓦解したから今更戻れ?お断りです

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
★ファンタジーカップ参加作品です。  応援していただけたら執筆の励みになります。 《俺、貸します!》 これはパーティーを追放された男が、その実力で上り詰め、唯一無二の『レンタル冒険者』として無双を極める話である。(新形式のざまぁもあるよ) ここから、直接ざまぁに入ります。スカッとしたい方は是非! 「君みたいな平均的な冒険者は不要だ」 この一言で、パーティーリーダーに追放を言い渡されたヨシュア。 しかしその実、彼は平均を装っていただけだった。 レベル35と見せかけているが、本当は350。 水属性魔法しか使えないと見せかけ、全属性魔法使い。 あまりに圧倒的な実力があったため、パーティーの中での力量バランスを考え、あえて影からのサポートに徹していたのだ。 それどころか攻撃力・防御力、メンバー関係の調整まで全て、彼が一手に担っていた。 リーダーのあまりに不足している実力を、ヨシュアのサポートにより埋めてきたのである。 その事実を伝えるも、リーダーには取り合ってもらえず。 あえなく、追放されてしまう。 しかし、それにより制限の消えたヨシュア。 一人で無双をしていたところ、その実力を美少女魔導士に見抜かれ、『レンタル冒険者』としてスカウトされる。 その内容は、パーティーや個人などに借りられていき、場面に応じた役割を果たすというものだった。 まさに、ヨシュアにとっての天職であった。 自分を正当に認めてくれ、力を発揮できる環境だ。 生まれつき与えられていたギフト【無限変化】による全武器、全スキルへの適性を活かして、様々な場所や状況に完璧な適応を見せるヨシュア。 目立ちたくないという思いとは裏腹に、引っ張りだこ。 元パーティーメンバーも彼のもとに帰ってきたいと言うなど、美少女たちに溺愛される。 そうしつつ、かつて前例のない、『レンタル』無双を開始するのであった。 一方、ヨシュアを追放したパーティーリーダーはと言えば、クエストの失敗、メンバーの離脱など、どんどん破滅へと追い込まれていく。 ヨシュアのスーパーサポートに頼りきっていたこと、その真の強さに気づき、戻ってこいと声をかけるが……。 そのときには、もう遅いのであった。

処理中です...