2回目チート人生、まじですか

ゆめ

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動き出した影と光

戦闘と

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た一瞬の邂逅の後、ロキシアが動く。俺目掛けて一瞬で距離を縮める。

「『風よ』!」

 反射的に足の裏に暴風を起こし空高く跳躍する。でかいロキシアよりも上空まで飛んだ。
 さらに空中で姿勢をたて直す。重力に従い落ちていくがその際剣を構えて真っ直ぐロキシアの上に落ちる。そしてぶつかる瞬間、身体を回転させロキシアを攻撃、悲鳴のような声をあげた後直ぐに順応して俺に牙を剥く。
 その行動が俺の目に入った瞬間、俺はロキシアの頭を蹴り距離をとり着地。
 魔法を行使してロキシアの周りの重力のベクトルを上げる。

「グ……………ガァ………」

 それでも耐えようとするロキシアの懐に一瞬で入り、急所に剣を突き刺す。

 倒れる。終わった。

 誰もがそう思った。

 だが倒れない。それどころか心臓が潰されたのにも関わらず俺に攻撃を仕掛けてくる。

 どういうことだ。

 なにかがおかしいなにかがおかしい。なにがおかしいんだ。考えろ考えろ考えろ。

 俺は身体を動かしながら脳をフル回転させる。

「『隔たぬ壁』!!」


 あぁ、くそ。そういうことか。
 くそ。何十年前にこいつが現れたって言ったな。あぁ、そういうことか。

 くそったれ。

 俺は今度はロキシアの隙を狙い、再び跳躍。今度は首もとに近づく。
 そして人間で言うところの頸動脈の部分で剣をふるう。

 絶叫を上げながらロキシアは倒れ、今度こそ動くことは無かった。


「だ、団長!!」

 心配そうに俺の戦闘を見ていた部下たちが声を上げる。俺はそいつらの元へ行き、回復魔法をかけてやる。

「大丈夫か?」
「は、はい!ありがとうございます」
「団長こそ大丈夫か?」
「あぁ」
「しかしなんだったんだ?あいつは。心臓を刺されても死ななかったぞ。そんな事例ないぞ今まで」

 ……………俺はロキシアの死体を睨みながら口を開く。

「見てんだろ!!!」

「団…長…?」

「俺の力量試しか?よく俺がこの国にいるってわかったな。そんなに俺と戦いたかったのか?魔物を引き連れれば、俺が出てくると踏んだのか?いいぞ戦ってやる。だがなその時はサシで殺る。二度と俺の部下を巻き込むんじゃねえ分かったか!」

 その場には俺たちの他には誰もいない。
 俺の声だけが響いた。

「あーーーーくそ」
「だ、団長?誰かいるのか?」

 辺りを警戒しだすセトルイス達を静止する。

「ここにはいない」

 どういうことか説明を求める顔をしているセトルイスを一目見てとりあえず一旦戻るように口を開く。

 そして執務室に戻ったあと話を再開する。アナラスは事後処理のためここにはいない。

「あいつは、あいつらはーロキシアは魔族達が作った魔物だ。アイツらの魔力で生成された魔物」
「………は?」
「そのため普通の魔物より強力で横暴、さらに知能をもつ。今のやつは多分多めに魔力が注ぎ込まれてるんだろ、恐らく注ぎ込まれた魔力の量、質により急所の数が変わるんだ」
「っつーことはさっきのやつは急所が2個あったっつーことか?」
「あぁ、そうだ」
「だが今までそんな事例なかったぞ!」
「だろうな、多分今までロキシアを作っていたのは魔族だろ。そして、これは完璧勘だがやつらは玩具としてロキシアを作り出してと思う」
「じゃあ今回は?」
「魔人だ。アイツらの魔力は魔族よりも強いし質も高い。それにあいつの体内からは高密度の魔力が感知された。だが魔人が作ったとはいえ本人ではないから聖魔法じゃなくても倒せたがな」
「魔人………」
「しかも魔人はロキシアを通じてこちらの様子を見ていた。通信系の魔法もロキシアに組み込まれてた」
「さっき団長が、叫んだのもそのためか…………………だがなんで団長を狙ってたんだ?」
「あーーー……………………」

 昨日の夜に関しては伏せてあったんだっけ。

「俺魔人と昨日会ってんだよな…や、会ってるって言っても向こうは俺の姿は見えてなかったけどな」
「…ん????」
「まあそこら辺は省くとして」
「いや、省くなよ…」
「とりあえずあいつが俺の事に執着してることはだいたい分かった。なら俺がやつを殺す。今回はロキシアと雑魚の魔物の大軍だったら良かったがもっと強力な魔物を大量に連れてこられたら部下たちだけでなく国民にも被害がでる」

 それだけは絶対に避けたい。

「わかった。じゃあ俺も戦うぜ」
「は???」
「団長1人じゃ迷子とか色々不安だからな!」
「迷子って…」
「団長はさ、もうちっと俺を頼ってもいいんだぜ?あ、書類整理意外でな?そっちの面では頼りすぎ」
「……セトルイス…」
「確かに俺は聖魔法は使えねえが他の魔物の駆除ぐれーはできるつもりだ」

 だからもう少し頼れよ、と笑うセトルイスに俺も自然と笑みが零れた。

「………………………頼む」
「あぁ!」
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