どん底から頂点を目指しました

ゆめ

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体調

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「母さん?」
 最近母さんの体調が悪い。咳をよくしてる。
「なぁに?おなかすい…ゴホッゴホッ…」
「大丈夫…?」
 夏風邪らしい。それでも辛そうな母さんを見て何も出来ないのは歯がゆい。
 少しでも金に余裕があれば薬が買える。だが勿論そんな余裕は無い。俺に出来ることは少しでも母さんの負担を減らすことだけ。
「大丈夫大丈夫」
 そう微笑む母さん。いつもの笑いみたいに元気はない。
「あ、お、俺。美味い肉捕ってくるよ!それ食べて母さん元気になる!」
 最近の食卓にはよく肉が並ぶ。
 それはほとんど俺が森に入ってるからだ。
「ふふ。楽しみにしてるね」
 毎日の事となって母さんが止めることはなくなった。はじめの頃はまだ抵抗があったのだ。
「うん!行ってきます!すぐ帰ってくるね!」
そう言い俺は急いで森の中に入った。
「今日は何にしよう」
 いつも同じ肉だとなぁ、などと思いつつ森の中を徘徊する。
「おっ?」
 少し離れたところから聞こえた物音にサッと隠れる。
「あ、」
 ご・ち・そ・う・は・っ・け・ん☆
 目の前には久々に見る牛の姿。
「牛肉うめぇよなぁ」
 前世での俺の好物は牛肉だった。だがこの世界に来て魔物を狩るようになってから牛は見たことがなかった。てっきりこの世界にはいないものなのか、と軽く絶望していた。
「あの美味さを母さんにも…」
 俺は身体能力アップの魔法を自分にかけて草陰から飛び出した。

「今日は何捕れたの?」
 行く前よりも体調が悪化しておきながら働いてた母さんを強制的に寝かせた。
 不満そうにしていたが仕方が無いことだ。
「えとね、今日は牛が捕れた!」
「牛?」
 知らないらしい。むっ、損してるぞ。母よ。
「めっっっちゃ美味しい肉っ!」
 手に汗握るとはまさにこの事だろう。
「ふふふ、なら美味しく料理しなきゃね」
 と言いつつ布団から出ようとする母さんを止める。
 たまには俺に任せればいいのにさ。
「だめだよ。母さんは寝てて!」
 もの言いたげな母さんを布団に寝かせて調理に入る。
「んーー…」
 どうしよう、と悩む。
 俺は料理がそこまで得意、という訳では無い。さて、どうしたものか。折角の肉を焦がしたら大変だ。
「あ、そだ!」
 魔法でやりゃいいじゃん!と思いつつサッ、と布団の方を除く。
 よし。母さんからは見えないな。
 さて、と。程よく焼いて…あ、いい匂い。
 完成っと☆
 え?何?こんなの料理じゃないって?
 うん。肉を料理する方法なんて俺は知らん!しかも材料とか肉だけだぞ!何が出来るっ!焼肉しかないではないか。
「母さん!出来たよぉ」
 わー、と肉とはしをもって母さんの布団へとダイブする。
「火傷とか大丈夫だった?」
「うん!もちろん!さ、早く食べてぇ」
 ずいっと肉を出すと母さんは笑って一口食べた。
「あら。本当美味しいわね」
「でしょ!!!」
 俺も一口食べる。
 うん。久々の牛肉は美味い。
「明日も捕ってくる!」
「楽しみにしてるわね」
 母さんのためなら何でもする。

 次の日も同じように森へと入り肉をゲット。
「慣れてきたなぁ、この作業…にしても肉を持って帰る作業を何とかしたいなぁ」
 子供が大きな肉を担いで歩いてる。そんなシュールな姿をよくほかの人たちに見られるのだ。
 流石に恥ずかしい。
 うーん…などと考えてると家の前まで来てた。
「あ、やべ」
  魔力除去の魔法かけるの忘れてた。
 わりと忘れがちだが(見た目のせいで)こいつらは普通の獣ではなく魔物だ。普通の肉として食べるにはこの魔法が欠かせないことが分かった。
「よし。おっけ」
 ただいまー!と家に入ろうとした時家の中から母さんともう1人の声が聞こえた。
「……んだ…て」
「……り…………こに……はだ……てて」
 むっ、聞き辛いな…小声で喋ってるのか?
 扉に耳を立てた瞬間、今よりも大きな声が響いた。
「だからあんたは血流病なんだって!薬もない、治療設けれないここじゃ確実に死ぬよ!?」





 え…?
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