幽霊祓い

第3章 ゴースト・キング編

第208話 ラメンタービレ

「チッ、もう再生をし始めやがった。流石は国家主霊だな」

国家主霊の幽霊階級は基本的に真レベル。国は、国家主霊は国家の最終兵器として、国指定の封印場所に封印している。それを幽使術によって盗んだガブリスの実力というのは片山もロバートも理解していた。しかし、問題点はそこではない。一帝、いや、会長レベルの人でも国家主霊と戦うなんてことは普通はありえない。ロバートと片山が心配しているのは、ガブリスを倒せるかではない。クフ・カフラー国家主霊を倒せるかどうかということなのだ。

「仕方がない、あれを使うか・・・」

そう言って、ロバートは指揮棒を構えた。

「さぁ、国家主霊よ、死ぬがいい。指揮総術・奥義しきそうじゅつ  おうぎ・ラメンタービレ」

ロバートがそう唱えるとクフ・カフラーの動きが突如として止まり、パラパラと崩れていった。

「何!?クフ・カフラーが一瞬で？一体、何をした？」

驚いた様子で、ガブリスがロバートに問う。俺はロバートの肩をぽんっと叩き、

「あれは温存しておく作戦だっただろ・・・」

とため息をつきながら言った。ロバートは笑っている。ラメンタービレは最強の奥義であり、普通にはなかなか見ることのできない特別な奥義なのである。

「ガブリスよ、俺の奥義であるラメンタービレは年に1回しか使えないんだよ。その能力は、相手の強制死。ラメンタービレは音楽用語で『哀れに』を表している。つまり、ラメンタービレを使用して、俺がその使用対象を哀れむことで相手を確定で死なすことができる。本当は、ゴースト・キングが暴走した時用に使用する予定だったが、国家主霊が相手となるとなぁ・・・」

苦笑いをしながらロバートがこっちを見る。俺は、再び、ため息をついた。

「と、まぁ、俺の奥義の紹介はどうでもいい。ガブリス、どうやって国家主霊を盗んだ？」

「知りたいか？」

そう言って、ガブリスはその場から逃げようとした。

「待てッ！！」

俺とロバートが追いかけようとした、その時、上空の繭が膨らみ、破裂し、中から大量の幽霊が降ってきた。

「まだ、捕まるわけにはいかないんでね。俺と、また会えたら教えてやるよ」

そう言い残して、ガブリスは去っていった。