幽霊祓い

akade

文字の大きさ
上 下
102 / 233
第2章 天界大会編

第102話 凶人

しおりを挟む
「青山君、大丈夫かな・・・」

「羽川さん、心配しなくてもあいつは大丈夫だ。そう簡単にやられるほど弱くはない」

「ごめんね、私、回復術しか使えないから守ってもらってばっかりで」

「気にするな、3人で現世に帰ろう。ん?」

羽川さんと森の中を歩いていると、目の前に改造霊のような三つ目の人型の何かが現れた。

「何だ、お前は?」

「私はダルガ・ドルガ。人間をやめた人間だ」

天界大会参加者・ダルガ・ドルガ。本人の言う通り人間をやめた人間。本名は美東  涼香みとう  すずか。美東はもともと幽霊が見えるただの一般女性だった。しかし、日本旋廻時に、たまたま見かけた改造霊に魅了され、自身の身体をいじりにいじり倒して、改造霊になろうとした、正真正銘のサイコパスだ。いじり倒しすぎた結果、死亡した。幽霊が見えるだけで微量の霊気を持っているが、術は使えない。なので、愛用の包丁とハサミで戦う。

「羽川さん、下がっておいてくれ。雷術・雷針らいじゅつ  らいしんッ!!」

俺は雷針を使ったが、ダルガはそれを見事にかわし、猛スピードでこちらに向かってきた。

「あ゙ははっ、あなたの顔や体も私と同じようにしてあげるぅぅぅッ」

俺に向けられた言葉かと思ったが、ダルガの目線からして、その言葉は羽川さんに向けられたものだった。まずい、このままだと、羽川さんがッ!!

蒼天術・曲そうてんじゅつ  きょくッ」

鮫術・カミカミさめじゅつ  かみかみッ」

そう聞こえたあと、ダルガが吹っ飛んだ。

「ダルガ・ドルガ、戦闘不能と認知。残り人数225人」

ダルガが先程まで立っていた場所には、優牙と知らない男が立っていた。2人は仲良さそうに話していた。どうやら、敵ではないようだ・・・。それにしても、鮫術・カミカミとはふざけた名前だが、術の威力は確かなものだった。一体、何者だ?
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!


処理中です...