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第5章 慈愛の聖女、クラリス
44,めでたしめでたし
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「?」
タツシは目を大きく見開いたままただ茫然としている。
「さあ、立って。ほら。」
「あ、ああ……」
クラリスがタツシに手を伸ばし、タツシはそれに掴まって立ち上がった。
確かに、近づいてみるとタツシと身長がほとんど変わらない。
「本当に……クラリスなのか……?」
「そうよ、ちょっと待ってね。」
クラリスは複雑な魔法を唱えだした。
すると、真っ赤だった髪色が見る見るうちに銀色になり、そして真っ黒だった瞳にいくらか青っぽさが出た。
「ああ、本当だ、いつものクラリスだ……」
「あのね、本当にごめんなさい、まさかタツシがあんなに必死になると思っていなくて…………」
クラリス的には、タツシはいつもみたいに王女に対してもラフな態度で接し、テキトーに振られてから「本当に結婚しなくていいのかしら……?」などといってネタ晴らしするつもりだった。
どちらにせよ、クラリスがやったのはただのドッキリ企画のようなものである。
「あれ……え……? で結局第一王女は?」
「だから私が第一王女なのよ。」
「え? 聖女は?」
「私よ」
「え、だって、だったらスラ介たちがとっくに正体を明かしているはずじゃ……」
ぽよんっぽよんっ
野生のスライムが現れた!
「ふふっ。スライムさん、今日まで隠してくれてありがとう。」
クラリスはスライムに向かって軽くお辞儀をしている。
「おいおいおい、ちょっと待ってくれ、まさかここんところお前たちが帰ってくるたびにヘロヘロになってたのって演技!?」
ご名答、とばかりにスライムは揺れている。
「あー、あーーー、うん、なるほどね、百年に一度の豊麗の美女、千年に一度の奇跡ねぇ……」
「ちょっと、やめてよ! 恥ずかしいんだから! それ、まだ私が五歳の時にお父さんがパーティーの時に私が将来そうなるだろうって言っただけなの! ただの親ばかよ!」
「親ばかは認めるけど、まあ噂通りなんだよなー、うん。あれ、ところで結婚て言うのは……」
「あのね、親族からお許しが出たの。三日前に。」
「あれ、あの手紙って……」
「私が3分で書いてその場でスライムさんに渡したわ。」
「おい! お前ら!」
いつの間にかスラ介以外にに毒スラ、電スラ、霧スラもみんな揃っていた。
いつもは人にやりたい放題のタツシがやり込められているのが面白くて見に来た、とは本人には決して言えない。
「なあ、ところで、この部屋に漂っているすごい量の火属性魔法は、何?」
そう、タツシは部屋に入った時から恐ろしい量の火属性の魔力を感じていて、その魔力を燃やして部屋中の明かりが燈っていることに気が付いていた。
「あ、私がさっき練習で……」
「練習?」
「あのね、本当は私、聖属性がメインじゃないのよ。もともと火属性の魔術師団になるように育てられたの。だからここに戻ってきたらちょっとだけ火の魔法も練習しているの。」
「え?」
タツシの語彙力は激減中だ。
「うちの家系はもともとみんな火属性人が多いの。だから私もってことだったのよ。でも私、小さい頃に自分からどうしても治癒術を学びたいって騒いだらしいのよね。」
「へぇ……そりゃまたなんで?」
「あんまり覚えていないんだけど、お母様が言うには、火属性よりも聖属性の方が人を救えるからって……」
「うーん、昔っから変わっていないんだねぇ。」
「で結局すぐに聖女候補なんて言われるまでに聖属性も強くなって、もし王女が聖女になるなんてことになると権力関係とか家系のこととか面倒くさくなるから、第一王女は表に出すのをやめようって。」
「それで別人ってことにしたのか。その変装は?」
「あ、一応言っておくけど、この銀髪の方が変装よ。これはなんか……よくわからないけど魔法で変えられるの。」
「ああ、もともとあの綺麗な赤い髪なのか。なるほど。」
「それで♪ 結婚♪ ね、しましょ!」
「あ、ああ、しよう。」
タツシは典型的な日本人男子だから当然自分から言おうと思っていたせいで面食らっているが、この世界ではあまりどっちがするという偏りはないようだ。
「好きよ、タツシ。私のことをあんなに想っていてくれたって知れて嬉しいわ。」
「本当に君じゃなきゃだめなんだ。好きだよ、クラリス。」
そういって、世間では秘密のベールに包まれている、勇者と王女の二人はお互い強く抱き合った。
ラスボス戦(?)、おしまい。
タツシは目を大きく見開いたままただ茫然としている。
「さあ、立って。ほら。」
「あ、ああ……」
クラリスがタツシに手を伸ばし、タツシはそれに掴まって立ち上がった。
確かに、近づいてみるとタツシと身長がほとんど変わらない。
「本当に……クラリスなのか……?」
「そうよ、ちょっと待ってね。」
クラリスは複雑な魔法を唱えだした。
すると、真っ赤だった髪色が見る見るうちに銀色になり、そして真っ黒だった瞳にいくらか青っぽさが出た。
「ああ、本当だ、いつものクラリスだ……」
「あのね、本当にごめんなさい、まさかタツシがあんなに必死になると思っていなくて…………」
クラリス的には、タツシはいつもみたいに王女に対してもラフな態度で接し、テキトーに振られてから「本当に結婚しなくていいのかしら……?」などといってネタ晴らしするつもりだった。
どちらにせよ、クラリスがやったのはただのドッキリ企画のようなものである。
「あれ……え……? で結局第一王女は?」
「だから私が第一王女なのよ。」
「え? 聖女は?」
「私よ」
「え、だって、だったらスラ介たちがとっくに正体を明かしているはずじゃ……」
ぽよんっぽよんっ
野生のスライムが現れた!
「ふふっ。スライムさん、今日まで隠してくれてありがとう。」
クラリスはスライムに向かって軽くお辞儀をしている。
「おいおいおい、ちょっと待ってくれ、まさかここんところお前たちが帰ってくるたびにヘロヘロになってたのって演技!?」
ご名答、とばかりにスライムは揺れている。
「あー、あーーー、うん、なるほどね、百年に一度の豊麗の美女、千年に一度の奇跡ねぇ……」
「ちょっと、やめてよ! 恥ずかしいんだから! それ、まだ私が五歳の時にお父さんがパーティーの時に私が将来そうなるだろうって言っただけなの! ただの親ばかよ!」
「親ばかは認めるけど、まあ噂通りなんだよなー、うん。あれ、ところで結婚て言うのは……」
「あのね、親族からお許しが出たの。三日前に。」
「あれ、あの手紙って……」
「私が3分で書いてその場でスライムさんに渡したわ。」
「おい! お前ら!」
いつの間にかスラ介以外にに毒スラ、電スラ、霧スラもみんな揃っていた。
いつもは人にやりたい放題のタツシがやり込められているのが面白くて見に来た、とは本人には決して言えない。
「なあ、ところで、この部屋に漂っているすごい量の火属性魔法は、何?」
そう、タツシは部屋に入った時から恐ろしい量の火属性の魔力を感じていて、その魔力を燃やして部屋中の明かりが燈っていることに気が付いていた。
「あ、私がさっき練習で……」
「練習?」
「あのね、本当は私、聖属性がメインじゃないのよ。もともと火属性の魔術師団になるように育てられたの。だからここに戻ってきたらちょっとだけ火の魔法も練習しているの。」
「え?」
タツシの語彙力は激減中だ。
「うちの家系はもともとみんな火属性人が多いの。だから私もってことだったのよ。でも私、小さい頃に自分からどうしても治癒術を学びたいって騒いだらしいのよね。」
「へぇ……そりゃまたなんで?」
「あんまり覚えていないんだけど、お母様が言うには、火属性よりも聖属性の方が人を救えるからって……」
「うーん、昔っから変わっていないんだねぇ。」
「で結局すぐに聖女候補なんて言われるまでに聖属性も強くなって、もし王女が聖女になるなんてことになると権力関係とか家系のこととか面倒くさくなるから、第一王女は表に出すのをやめようって。」
「それで別人ってことにしたのか。その変装は?」
「あ、一応言っておくけど、この銀髪の方が変装よ。これはなんか……よくわからないけど魔法で変えられるの。」
「ああ、もともとあの綺麗な赤い髪なのか。なるほど。」
「それで♪ 結婚♪ ね、しましょ!」
「あ、ああ、しよう。」
タツシは典型的な日本人男子だから当然自分から言おうと思っていたせいで面食らっているが、この世界ではあまりどっちがするという偏りはないようだ。
「好きよ、タツシ。私のことをあんなに想っていてくれたって知れて嬉しいわ。」
「本当に君じゃなきゃだめなんだ。好きだよ、クラリス。」
そういって、世間では秘密のベールに包まれている、勇者と王女の二人はお互い強く抱き合った。
ラスボス戦(?)、おしまい。
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