妄想日記6<<EVOLUTION>>

YAMATO

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Chapter8(がむしゃら編)

Chapter8-④【Flamingo】前編

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また同じ夢を見た。
シオンは起きるとバスルームへ向かう。
夢精したビキニを洗濯機に放り込むと、熱いシャワーに頭を突っ込んだ。
「あれは誰なんだろう?」
開いた口に水流を流し込む。
それを吐き出し、シャワーを止めた。
 
通勤電車に揺られ、車窓を眺める。
別に何かを見ている訳ではない。
他に見る物がなかっただけだ。
三日連続で夢の中に男は現れた。
ヒーロー然とした男が椅子に座っている。
只、ヒーローと呼ぶには余りにも如何わしいコスチュームを着ていた。
男は目を瞑り、何かに耐えている様だ。
長いブーツがコツコツと床を打つ。
口が歪み、声が漏れる。
「気分悪いんですか?」
声を掛けるが、男は答えない。
「うっ、ううっ…。」
漏れた声が震えている。
それにシンクロする様に身体も震え出す。
小刻みに揺れる男の手が股間から滑り落ちた。
「えっ!」
真っ黒なペニスが上を向く。
血管が浮かんで反り返ったぺニスは丸でディルドの様だ。
震えが大きくなる。
だが男は椅子から下りない。
「だっ、大丈夫ですか?」
男に近寄る。
伸びた手が肩を掴む。
強引に引き寄せられ、男の腿に吸い寄せられる。
勇ましいぺニスが侵入してきた。
アナルが一気に広がる。
顎を上げ、男に身を任せた。
振動がシオンにも伝わる。
「あっ、ああっ…。」
震える声で、いつも目が覚めた。
 
薄いビキニでは先走りを吸収出来ない。
染みがスーツを濡らしていくのが分かる。
吊革を持つ手から汗が腕を伝う。
景色がぼやける。
同時に吊革から手が離れ、目の前が真っ暗になった。
「だっ、大丈夫ですか?
座って下さい。」
前の女性が席を立つ。
「あっ、いや、大丈夫です。
ちょっと目眩がしただけで…。
次、降りるのでお気遣いなく。」
慌てて吊革を掴み、次の停車を待つ。
 
「ありがとうございました。」
女性に礼を言い、次の駅で降りる。
「若月ですが…。
途中で気分が悪くなったので、今日は休みます。」
「えっ、何だって?」
だみ声が響く。
「今日は休みたいと…。」
「この忙しい時に呑気なもんだ。
明日、来なかったら、二度と来なくていいぞ。」
電話は切れた。
スマホをポケットに収め、ベンチに座る。
掌で顎を支え、視線を落とす。
スーツを濡らす染みは一段と広がっていた。
ベージュを選んでしまった事を後悔する。
席を代わってくれた女性はきっとこの染みに気付いた筈だ。
『親切ではなく、気持ち悪いからか…。』
身体が火照り、油っぽい汗が頬に留まる。
通過する快速電車が巻き起こす風が頬を掠めた。
それにより動き出した汗がシャツを濡らす。
 
反対のホームの駅名を見る。
初めて下車する駅だ。
電車が滑り込んできた。
降り立つ者の多くが大学名の入ったジャージを着ている。
誰もが真っ直ぐ階段を降りていく。
その先に前途洋々な未来が待っているかの様に。
自分にもそんな時代があった。
たった五年前だが、酷く遠い気がする。
 
 
(つづく)
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