93 / 190
Chapter4(下坂編)
Chapter4-⑨【EROTICA】前編
しおりを挟む
一歩踏み出すと、アナルに強烈な痛みが走る。
恐る恐る触ってみると、物の見事に内腸が飛び出していた。
「えっー、脱肛してる!
メチャ格好悪いじゃん!」
忌々しげに言うと、ワタルの笑顔が思い浮かぶ。
「という事はワタルを脱肛させた犯人はリョウマか!
しかもこうなる事を知りながら黙っていたな!
姑息な手を使いやがって。
くそぉ!」
タクは一方的に思い込む。
プールサイドを壁に沿って横歩きする。
ロッカールームはまだまだ先だ。
「絶対に復讐してやる。
僕を騙した事を必ず後悔させてやるからな。」
自分の滑稽さにワタルへの逆恨みが益々増長した。
「おう、珍しいいな。
こんな時間に。」
10時前、タクが店に現れた。
「お盆の時期で人通りがないんだ。
暇だから切り上げちゃった。」
タクがカウンターに座る。
「何か飲むか?」
「ビール貰おうかな。
ワタルも飲みなよ。」
二つのグラスにビールを注ぎ、乾杯した。
「顔が真っ赤だな。
日焼けしたのか?」
「まあね。」
プールへ行ったと言わないので、敢えてそれ以上は聞かない。
「腹減っちゃった。
適当に何か作って。」
「よっしゃ、任せろ。」
冷蔵庫を覗き、食材を取り出す。
「ねー、公園行ってみない?」
料理を置くと、タクが誘ってきた。
「おっ、いいな。
どうせ今日は客が来そうもないから、店じまいにするか。」
ビールを飲み干すと、暖簾と看板を中に入れる。
労働後のビールは格別に旨く思えた。
「疲れが溜まってんのかな?
自棄に足が重いんだ。
ちょっと休んでいいか?」
東屋のベンチに座ると、一気に眠気が押し寄せてきた。
「なら何か飲み物買ってくるよ。
コークでいいでしょ?
ちょっと待ってて。」
タクの声が遠退いていく。
「いや、冷たいお茶が…。」
その言葉は闇に飲み込まれた。
ペットボトルを買って戻ると、ワタルは頬杖を突いて寝ていた。
ベンチから下ろすと、倒れない様に柱で背中を支える。
そして持ってきたプラカードを首から下げた。
『俺の口は便器です。
自由に使って下さい。』
「さて、どんな奴が現れるか見物だ。
浮浪者だったら、最高なのにな。」
満足げにペットボトルを口にする。
「あっ、釣り忘れた!」
慌てて自販機へ取りに戻る。
前方に影が見えた。
それが次第に大きくなる。
道を逸れ、自販機の裏にしゃがみ込む。
気付かぬ男は東屋の方向へ歩いていく。
自販機の灯りが横顔を照らす。
目深に被ったキャップは明らかにゲイだ。
このまま行けば、ワタルの存在に気付く筈だ。
タクは顔だけ出し、男の後ろ姿を見送る。
発達した太股にレザーパンツが張り付いていた。
「えっ、レザパン!
まさか…、高木?」
タクは自分のアンテナの精度に自信を持っていた。
釣り銭を握り締め、東屋へ戻る。
レザーパンツの男がワタルを見下ろしていた。
叢の影から成り行きを見守る。
「今日はこのパターンが多いな。」
鉢合わせになった時の為に、今度は逃げ道を確認しておく。
(つづく)
恐る恐る触ってみると、物の見事に内腸が飛び出していた。
「えっー、脱肛してる!
メチャ格好悪いじゃん!」
忌々しげに言うと、ワタルの笑顔が思い浮かぶ。
「という事はワタルを脱肛させた犯人はリョウマか!
しかもこうなる事を知りながら黙っていたな!
姑息な手を使いやがって。
くそぉ!」
タクは一方的に思い込む。
プールサイドを壁に沿って横歩きする。
ロッカールームはまだまだ先だ。
「絶対に復讐してやる。
僕を騙した事を必ず後悔させてやるからな。」
自分の滑稽さにワタルへの逆恨みが益々増長した。
「おう、珍しいいな。
こんな時間に。」
10時前、タクが店に現れた。
「お盆の時期で人通りがないんだ。
暇だから切り上げちゃった。」
タクがカウンターに座る。
「何か飲むか?」
「ビール貰おうかな。
ワタルも飲みなよ。」
二つのグラスにビールを注ぎ、乾杯した。
「顔が真っ赤だな。
日焼けしたのか?」
「まあね。」
プールへ行ったと言わないので、敢えてそれ以上は聞かない。
「腹減っちゃった。
適当に何か作って。」
「よっしゃ、任せろ。」
冷蔵庫を覗き、食材を取り出す。
「ねー、公園行ってみない?」
料理を置くと、タクが誘ってきた。
「おっ、いいな。
どうせ今日は客が来そうもないから、店じまいにするか。」
ビールを飲み干すと、暖簾と看板を中に入れる。
労働後のビールは格別に旨く思えた。
「疲れが溜まってんのかな?
自棄に足が重いんだ。
ちょっと休んでいいか?」
東屋のベンチに座ると、一気に眠気が押し寄せてきた。
「なら何か飲み物買ってくるよ。
コークでいいでしょ?
ちょっと待ってて。」
タクの声が遠退いていく。
「いや、冷たいお茶が…。」
その言葉は闇に飲み込まれた。
ペットボトルを買って戻ると、ワタルは頬杖を突いて寝ていた。
ベンチから下ろすと、倒れない様に柱で背中を支える。
そして持ってきたプラカードを首から下げた。
『俺の口は便器です。
自由に使って下さい。』
「さて、どんな奴が現れるか見物だ。
浮浪者だったら、最高なのにな。」
満足げにペットボトルを口にする。
「あっ、釣り忘れた!」
慌てて自販機へ取りに戻る。
前方に影が見えた。
それが次第に大きくなる。
道を逸れ、自販機の裏にしゃがみ込む。
気付かぬ男は東屋の方向へ歩いていく。
自販機の灯りが横顔を照らす。
目深に被ったキャップは明らかにゲイだ。
このまま行けば、ワタルの存在に気付く筈だ。
タクは顔だけ出し、男の後ろ姿を見送る。
発達した太股にレザーパンツが張り付いていた。
「えっ、レザパン!
まさか…、高木?」
タクは自分のアンテナの精度に自信を持っていた。
釣り銭を握り締め、東屋へ戻る。
レザーパンツの男がワタルを見下ろしていた。
叢の影から成り行きを見守る。
「今日はこのパターンが多いな。」
鉢合わせになった時の為に、今度は逃げ道を確認しておく。
(つづく)
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる