妄想日記6<<EVOLUTION>>

YAMATO

文字の大きさ
上 下
94 / 190
Chapter4(下坂編)

Chapter4-⑨【EROTICA】後編

しおりを挟む
温い風が頬を撫でる。
ヒリヒリする顔に汗が浮かぶ。
その一粒が頬を伝う。
荒い息を我慢し、耳を澄ませる。
ジッパーの下がる音が耳元でした。
唾を飲み込む音が聞こえたのではと、ドキッとする。
だが実際聞こえてくるのはワタルの鼾だけだ。
男が左右を見回し、誰もいない事を確信した。
『くそっ、浮浪者どころか、筋肉マッチョじゃないか!
いつもワタルばかり良い思いしやがって。
これじゃ復讐じゃなくて、ナイスアシストになっちゃうじゃん。』
高木かどうか確かめたい。
正面から見たい衝動に駈られる。
もし高木なら、噂通りのデカマラを拝みたい。
ヒリヒリするアナルの痛みが、異物を欲していた。
 
身を屈めたまま、逆サイドの柱へ移動する。
男の視線はワタルの口に向いていた。
暫く上がる事はなさそうだ。
『ジョ、ジョ、ジョー。』
放尿の音が聞こえてきた。
『今だ!』
柱の影から顔を出す。
街灯に照らされた放尿が放物線を描いていた。
その奥にペニスを持つ男が仁王立ちしている。
若干、顎が上がった時、キャップの下から目元が覗く。
『やはり高木だ!
ゲイだったのか!』
タクは視線を下ろし、放物線の出発点を見詰める。
へちまの様なぺニスが奇っ怪に映った。
「きっ、気持ち悪っ…。」
思わず声に出てしまう。
後退りする足が枯れ木を踏んだ。
『ポキッ。』
「誰だ?」
男が視線を上げた。
タクは一目散に逃げ出す。
小便が終わる前に、遠くへ逃げるだけだ。
鬼の形相で追って来る高木が直ぐ背後にいる気がした。
息をするのも忘れ、ひたすら手を振り足を動かす。
小便が永遠に終わらない事を願いながら。
 
「おはよう。
怒ってる?」
支度をしていると、タクの顔が半分見えた。
「別に怒ってないさ。
そんな所にいないで、入れよ。」
ワタルは明るく言う。
「本当?
復讐しようなんて考えてない?」
様子を伺う様にタクが入ってきた。
「俺はタクとは違うよ。
何か飲むか?」
「いや、これから仕事だから…。
ただ謝りに来ただけ…、ゴメン。」
頭を下げるタクが愛おしく思えた。
日焼けした顔からプールへ行った事は察しが付いた。
きっと上手く行かずに八つ当たりしただけだろう。
そんな子供っぽい行動は若い証拠だ。
そんな衝動的な事をする年齢はとっくに過ぎていた。
「気にするな。
俺達、友達だろ?
明後日からの旅行なんだけどさ、面白い所へ色々行ってみようぜ。」
楽しみを口にして、落ち込んだタクを労る。
「あっ、うん。
本当にごめんなさい。
ワタルがタチだったら、最高のパートナーになれるのにね。」
泣き笑いしたタクが言う。
「いつも売り上げに貢献してくれて感謝してるんだ。
バリウケ同士でも、きっとベストパートナーになれるさ。」
ワタルは出任せを口にする。
そんな事があり得ない事は自分の身体が一番知っていた。
『俺の身体が望んでいるのは圧倒的なタチだけだ。』
しかし感謝している事は事実だった。
タクの悪戯のお陰で、あの後…。
 
 
(つづく)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

捜査員達は木馬の上で過敏な反応を見せる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

終わり無い絶頂で男は全てを壊される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

機械に吊るされ男は容赦無く弄ばれる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...