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Chapter4(下坂編)
Chapter4-⑨【EROTICA】後編
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温い風が頬を撫でる。
ヒリヒリする顔に汗が浮かぶ。
その一粒が頬を伝う。
荒い息を我慢し、耳を澄ませる。
ジッパーの下がる音が耳元でした。
唾を飲み込む音が聞こえたのではと、ドキッとする。
だが実際聞こえてくるのはワタルの鼾だけだ。
男が左右を見回し、誰もいない事を確信した。
『くそっ、浮浪者どころか、筋肉マッチョじゃないか!
いつもワタルばかり良い思いしやがって。
これじゃ復讐じゃなくて、ナイスアシストになっちゃうじゃん。』
高木かどうか確かめたい。
正面から見たい衝動に駈られる。
もし高木なら、噂通りのデカマラを拝みたい。
ヒリヒリするアナルの痛みが、異物を欲していた。
身を屈めたまま、逆サイドの柱へ移動する。
男の視線はワタルの口に向いていた。
暫く上がる事はなさそうだ。
『ジョ、ジョ、ジョー。』
放尿の音が聞こえてきた。
『今だ!』
柱の影から顔を出す。
街灯に照らされた放尿が放物線を描いていた。
その奥にペニスを持つ男が仁王立ちしている。
若干、顎が上がった時、キャップの下から目元が覗く。
『やはり高木だ!
ゲイだったのか!』
タクは視線を下ろし、放物線の出発点を見詰める。
へちまの様なぺニスが奇っ怪に映った。
「きっ、気持ち悪っ…。」
思わず声に出てしまう。
後退りする足が枯れ木を踏んだ。
『ポキッ。』
「誰だ?」
男が視線を上げた。
タクは一目散に逃げ出す。
小便が終わる前に、遠くへ逃げるだけだ。
鬼の形相で追って来る高木が直ぐ背後にいる気がした。
息をするのも忘れ、ひたすら手を振り足を動かす。
小便が永遠に終わらない事を願いながら。
「おはよう。
怒ってる?」
支度をしていると、タクの顔が半分見えた。
「別に怒ってないさ。
そんな所にいないで、入れよ。」
ワタルは明るく言う。
「本当?
復讐しようなんて考えてない?」
様子を伺う様にタクが入ってきた。
「俺はタクとは違うよ。
何か飲むか?」
「いや、これから仕事だから…。
ただ謝りに来ただけ…、ゴメン。」
頭を下げるタクが愛おしく思えた。
日焼けした顔からプールへ行った事は察しが付いた。
きっと上手く行かずに八つ当たりしただけだろう。
そんな子供っぽい行動は若い証拠だ。
そんな衝動的な事をする年齢はとっくに過ぎていた。
「気にするな。
俺達、友達だろ?
明後日からの旅行なんだけどさ、面白い所へ色々行ってみようぜ。」
楽しみを口にして、落ち込んだタクを労る。
「あっ、うん。
本当にごめんなさい。
ワタルがタチだったら、最高のパートナーになれるのにね。」
泣き笑いしたタクが言う。
「いつも売り上げに貢献してくれて感謝してるんだ。
バリウケ同士でも、きっとベストパートナーになれるさ。」
ワタルは出任せを口にする。
そんな事があり得ない事は自分の身体が一番知っていた。
『俺の身体が望んでいるのは圧倒的なタチだけだ。』
しかし感謝している事は事実だった。
タクの悪戯のお陰で、あの後…。
(つづく)
ヒリヒリする顔に汗が浮かぶ。
その一粒が頬を伝う。
荒い息を我慢し、耳を澄ませる。
ジッパーの下がる音が耳元でした。
唾を飲み込む音が聞こえたのではと、ドキッとする。
だが実際聞こえてくるのはワタルの鼾だけだ。
男が左右を見回し、誰もいない事を確信した。
『くそっ、浮浪者どころか、筋肉マッチョじゃないか!
いつもワタルばかり良い思いしやがって。
これじゃ復讐じゃなくて、ナイスアシストになっちゃうじゃん。』
高木かどうか確かめたい。
正面から見たい衝動に駈られる。
もし高木なら、噂通りのデカマラを拝みたい。
ヒリヒリするアナルの痛みが、異物を欲していた。
身を屈めたまま、逆サイドの柱へ移動する。
男の視線はワタルの口に向いていた。
暫く上がる事はなさそうだ。
『ジョ、ジョ、ジョー。』
放尿の音が聞こえてきた。
『今だ!』
柱の影から顔を出す。
街灯に照らされた放尿が放物線を描いていた。
その奥にペニスを持つ男が仁王立ちしている。
若干、顎が上がった時、キャップの下から目元が覗く。
『やはり高木だ!
ゲイだったのか!』
タクは視線を下ろし、放物線の出発点を見詰める。
へちまの様なぺニスが奇っ怪に映った。
「きっ、気持ち悪っ…。」
思わず声に出てしまう。
後退りする足が枯れ木を踏んだ。
『ポキッ。』
「誰だ?」
男が視線を上げた。
タクは一目散に逃げ出す。
小便が終わる前に、遠くへ逃げるだけだ。
鬼の形相で追って来る高木が直ぐ背後にいる気がした。
息をするのも忘れ、ひたすら手を振り足を動かす。
小便が永遠に終わらない事を願いながら。
「おはよう。
怒ってる?」
支度をしていると、タクの顔が半分見えた。
「別に怒ってないさ。
そんな所にいないで、入れよ。」
ワタルは明るく言う。
「本当?
復讐しようなんて考えてない?」
様子を伺う様にタクが入ってきた。
「俺はタクとは違うよ。
何か飲むか?」
「いや、これから仕事だから…。
ただ謝りに来ただけ…、ゴメン。」
頭を下げるタクが愛おしく思えた。
日焼けした顔からプールへ行った事は察しが付いた。
きっと上手く行かずに八つ当たりしただけだろう。
そんな子供っぽい行動は若い証拠だ。
そんな衝動的な事をする年齢はとっくに過ぎていた。
「気にするな。
俺達、友達だろ?
明後日からの旅行なんだけどさ、面白い所へ色々行ってみようぜ。」
楽しみを口にして、落ち込んだタクを労る。
「あっ、うん。
本当にごめんなさい。
ワタルがタチだったら、最高のパートナーになれるのにね。」
泣き笑いしたタクが言う。
「いつも売り上げに貢献してくれて感謝してるんだ。
バリウケ同士でも、きっとベストパートナーになれるさ。」
ワタルは出任せを口にする。
そんな事があり得ない事は自分の身体が一番知っていた。
『俺の身体が望んでいるのは圧倒的なタチだけだ。』
しかし感謝している事は事実だった。
タクの悪戯のお陰で、あの後…。
(つづく)
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