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Chapter4(下坂編)
Chapter4-③【Glory Days】後編
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「ラバーは好きなのか?」
駅が見えた所で高木が口を開いた。
「ええ…、まあ…。
昔、バイトでキャトスーツ着てたんで。」
15年前の記憶が甦る。
毎日が眩しい位に輝いていた。
ナツキがいて、中嶋がいて、ランマがいた。
悪い奴もいたが、それすらも輝きの一因だ。
その全てへ繋がる入り口がラバーだった。
ラバーイベントに参加しなければ、ナツキ達と知り合う事はなかった。
「キャトスーツか、本格的だな。
家に来ないか?
着せてやるぜ。」
「えっ、もっ、持ってるの?」
声が震えるのが自分でも分かる。
「ああ、持ってるぜ。
たっぷりザーメンの染み込んだのをな。」
高木のペースに引き込まれていく。
「いっ、行きたいのは山々なんだけど、これから仕事なんで…。」
言葉を絞り出す。
「そっか、残念だな。
だったら明日はどうだ?」
伸びた手が尻を撫でる。
「明日なら…。」
明日はタクとプールへ行く約束をしていた。
「なら明日ジムへ来い。
朝番だから昼で上がれる。
それ迄に来い。」
掌の力が増していく。
「えー、その…。」
頭では約束を優先しなくてはと思うのだが、言葉が続かない。
「おらっ、返事は?」
尻を一発叩かれた。
「はっ、はい!
伺います!」
直立不動で答える。
「いい返事だ。
なら明日はこれを穿いて来い。
待ってるぜ。」
高木はポケットから布を出すと、ワタルの掌に押し込んだ。
右手を上げると、改札へ入っていった。
ラバーのパンツに陽が当たり、中が透けて見える。
「明日、雨が降らないかな…。」
ワタルは雲一つない青空を見上げた。
「どっ、どうしたの、その格好?」
いつものマシンを使うタクが目を丸くした。
「あー、昨日コインランドリー行くの忘れて、これしかなかったんだ。」
ワタルはショートスパッツ姿で隣のランニングマシンに乗る。
「今朝は高木がいるから絶対に指導されるよ。
連絡くれれば、持ってきたのに。」
タクが大袈裟に顔を歪めた。
ワタルはどう言って午後の約束を断るか、思案する。
硝子張りの窓から射し込む陽射しは昨日以上に強烈だ。
「予報だと40度近くなるってさ。」
タクの発言に余計言いそびれる。
「あのさ…。
ニュースで熱中症が…。」
それでも何とか切り出す。
「あっ、そうそう、今日のプールは延期してくれない?
明日でも明後日もいいからさ、お願い!」
「えっ?」
思いがけない頼みに耳を疑う。
「そんな大声出さないでよ。
楽しみにしてたのは分かるんだけどさ。
昨日、発展場で知り合った人が、今日も会いたいんだって。
僕の魅力に嵌っちゃったみたいで。」
タクが笑いを噛み殺す。
「そっ、それは良かったな…。」
「ゴメン、埋め合わせはするからさ。」
タクの視線が後方へ向く。
その先に歩いてくる高木が見えた。
マシンを回り込み、ワタルに話し掛ける。
「お客様、トレーニング中に申し訳ないのですが、お話があります。
スタッフルーム迄、お越し下さい。」
タクがほら見たことかと、顔を顰めた。
(つづく)
駅が見えた所で高木が口を開いた。
「ええ…、まあ…。
昔、バイトでキャトスーツ着てたんで。」
15年前の記憶が甦る。
毎日が眩しい位に輝いていた。
ナツキがいて、中嶋がいて、ランマがいた。
悪い奴もいたが、それすらも輝きの一因だ。
その全てへ繋がる入り口がラバーだった。
ラバーイベントに参加しなければ、ナツキ達と知り合う事はなかった。
「キャトスーツか、本格的だな。
家に来ないか?
着せてやるぜ。」
「えっ、もっ、持ってるの?」
声が震えるのが自分でも分かる。
「ああ、持ってるぜ。
たっぷりザーメンの染み込んだのをな。」
高木のペースに引き込まれていく。
「いっ、行きたいのは山々なんだけど、これから仕事なんで…。」
言葉を絞り出す。
「そっか、残念だな。
だったら明日はどうだ?」
伸びた手が尻を撫でる。
「明日なら…。」
明日はタクとプールへ行く約束をしていた。
「なら明日ジムへ来い。
朝番だから昼で上がれる。
それ迄に来い。」
掌の力が増していく。
「えー、その…。」
頭では約束を優先しなくてはと思うのだが、言葉が続かない。
「おらっ、返事は?」
尻を一発叩かれた。
「はっ、はい!
伺います!」
直立不動で答える。
「いい返事だ。
なら明日はこれを穿いて来い。
待ってるぜ。」
高木はポケットから布を出すと、ワタルの掌に押し込んだ。
右手を上げると、改札へ入っていった。
ラバーのパンツに陽が当たり、中が透けて見える。
「明日、雨が降らないかな…。」
ワタルは雲一つない青空を見上げた。
「どっ、どうしたの、その格好?」
いつものマシンを使うタクが目を丸くした。
「あー、昨日コインランドリー行くの忘れて、これしかなかったんだ。」
ワタルはショートスパッツ姿で隣のランニングマシンに乗る。
「今朝は高木がいるから絶対に指導されるよ。
連絡くれれば、持ってきたのに。」
タクが大袈裟に顔を歪めた。
ワタルはどう言って午後の約束を断るか、思案する。
硝子張りの窓から射し込む陽射しは昨日以上に強烈だ。
「予報だと40度近くなるってさ。」
タクの発言に余計言いそびれる。
「あのさ…。
ニュースで熱中症が…。」
それでも何とか切り出す。
「あっ、そうそう、今日のプールは延期してくれない?
明日でも明後日もいいからさ、お願い!」
「えっ?」
思いがけない頼みに耳を疑う。
「そんな大声出さないでよ。
楽しみにしてたのは分かるんだけどさ。
昨日、発展場で知り合った人が、今日も会いたいんだって。
僕の魅力に嵌っちゃったみたいで。」
タクが笑いを噛み殺す。
「そっ、それは良かったな…。」
「ゴメン、埋め合わせはするからさ。」
タクの視線が後方へ向く。
その先に歩いてくる高木が見えた。
マシンを回り込み、ワタルに話し掛ける。
「お客様、トレーニング中に申し訳ないのですが、お話があります。
スタッフルーム迄、お越し下さい。」
タクがほら見たことかと、顔を顰めた。
(つづく)
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