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Chapter4(下坂編)
Chapter4-①【サムライ☆ラブ☆アタック】後編
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「あのー、入れますか?」
男の顔が覗く。
「ええ、勿論大丈夫です。
お一人様ですか?
さあ、入って下さい。」
ワタルは調理場から出て、男を招き入れる。
男は法被姿のワタルを見て、引っ込んでしまった。
慌てて表に出ると、五人の男達が円陣を組んで相談している。
「さあ、どうぞ、どうぞ。
今、団体が帰って、丁度席が空い所です。」
夜風が法被の裾を捲り、ケツワレを露にした。
「だったらここにするか?」
最初に顔を出した男がワタルの股間を見ながら言う。
「今ならボトルサービスするので。」
胸を撫で下ろしたワタルは勢いで言ってしまった。
だがそれが功を奏した。
五人で一本のボトルでは足りる訳もなく、次々に追加されていく。
それに合わせて、料理のオーダーも絶え間ない。
『タクを帰さなければ良かった。』
だがもう後の祭りだった。
注文が落ち着き、ワタルは流しに腰を掛ける。
ひんやりしたステンレスが尻に当たり心地好い。
団体はバレーボールの試合の後らしく、ゲームの話に夢中だ。
「マサト、最後のフェイント、あれはないんじゃないか?
思い切り打てよ。」
「あんなネットから離れたトスを打てる訳ないだろ。
ジュンのトスを責めろよ。」
「俺もあれはセッターが悪い思うな。」
「そうそう、マサトの前の奴、馬鹿デカかったしさ。
ブロックがネット越えて、出てたじゃん。」
四人の話題は最後の一点に集まっていた。
「それを打ち抜くのがエースだろ!」
「って、お前もトスが悪いと思っているから、ジュンを誘わなかったんだろ?」
「別にそういう訳じゃないさ。
俺はエースの仕事を語っているんだ!」
ジェスチャーを交えた反省会に四人は盛り上がる。
ワタルは一人黙っている端の男に気付く。
最初に入ってきた男だ。
「話に加わらないのか?」
空のグラスに焼酎を注ぐ。
「えっ、まあ…。」
気のない返事がすると、グラスを一気に空けた。
仕方なく、また焼酎を注いでやる。
「俺、補欠なんで、試合出てないんです。」
ボソッと男が言う。
「そっか、変な事を言っちゃったな。」
ワタルはばつが悪く、無駄にマドラーを回す。
「ここって、何時も賑やかですよね。
何度か前を通った事あるけど、何時も叫び声が聞こえてたし。」
男が話題を変えた。
「何時もは大袈裟だと思うけど。
まあ静かに飲む店じゃない事は確かだ。
祭っていう位だからな。」
「こんなイケメンがケツワレ姿でいるんだから、騒がしい訳だ。
前から不審に思っていたんです。
やっと理由が分かって、すっきりしました。」
男に笑顔が戻る。
「ケン坊、そろそろ帰るか?
纏めて払っておいてくれ。
明日、割り勘にしようぜ。」
リーダーらしき男が立ち上がると、他の三人も腰を上げた。
「はいっ、キャプテン!
すいません、会計お願いします。」
端の男が財布を出す。
「おい、スパイクってのはこう打つんだ。
良く見てろ!」
キャプテンがジャンプし、右手を大きく振る。
伸びた手が天井に届き、大量の埃が舞落ちてきた。
(つづく)
男の顔が覗く。
「ええ、勿論大丈夫です。
お一人様ですか?
さあ、入って下さい。」
ワタルは調理場から出て、男を招き入れる。
男は法被姿のワタルを見て、引っ込んでしまった。
慌てて表に出ると、五人の男達が円陣を組んで相談している。
「さあ、どうぞ、どうぞ。
今、団体が帰って、丁度席が空い所です。」
夜風が法被の裾を捲り、ケツワレを露にした。
「だったらここにするか?」
最初に顔を出した男がワタルの股間を見ながら言う。
「今ならボトルサービスするので。」
胸を撫で下ろしたワタルは勢いで言ってしまった。
だがそれが功を奏した。
五人で一本のボトルでは足りる訳もなく、次々に追加されていく。
それに合わせて、料理のオーダーも絶え間ない。
『タクを帰さなければ良かった。』
だがもう後の祭りだった。
注文が落ち着き、ワタルは流しに腰を掛ける。
ひんやりしたステンレスが尻に当たり心地好い。
団体はバレーボールの試合の後らしく、ゲームの話に夢中だ。
「マサト、最後のフェイント、あれはないんじゃないか?
思い切り打てよ。」
「あんなネットから離れたトスを打てる訳ないだろ。
ジュンのトスを責めろよ。」
「俺もあれはセッターが悪い思うな。」
「そうそう、マサトの前の奴、馬鹿デカかったしさ。
ブロックがネット越えて、出てたじゃん。」
四人の話題は最後の一点に集まっていた。
「それを打ち抜くのがエースだろ!」
「って、お前もトスが悪いと思っているから、ジュンを誘わなかったんだろ?」
「別にそういう訳じゃないさ。
俺はエースの仕事を語っているんだ!」
ジェスチャーを交えた反省会に四人は盛り上がる。
ワタルは一人黙っている端の男に気付く。
最初に入ってきた男だ。
「話に加わらないのか?」
空のグラスに焼酎を注ぐ。
「えっ、まあ…。」
気のない返事がすると、グラスを一気に空けた。
仕方なく、また焼酎を注いでやる。
「俺、補欠なんで、試合出てないんです。」
ボソッと男が言う。
「そっか、変な事を言っちゃったな。」
ワタルはばつが悪く、無駄にマドラーを回す。
「ここって、何時も賑やかですよね。
何度か前を通った事あるけど、何時も叫び声が聞こえてたし。」
男が話題を変えた。
「何時もは大袈裟だと思うけど。
まあ静かに飲む店じゃない事は確かだ。
祭っていう位だからな。」
「こんなイケメンがケツワレ姿でいるんだから、騒がしい訳だ。
前から不審に思っていたんです。
やっと理由が分かって、すっきりしました。」
男に笑顔が戻る。
「ケン坊、そろそろ帰るか?
纏めて払っておいてくれ。
明日、割り勘にしようぜ。」
リーダーらしき男が立ち上がると、他の三人も腰を上げた。
「はいっ、キャプテン!
すいません、会計お願いします。」
端の男が財布を出す。
「おい、スパイクってのはこう打つんだ。
良く見てろ!」
キャプテンがジャンプし、右手を大きく振る。
伸びた手が天井に届き、大量の埃が舞落ちてきた。
(つづく)
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