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Chapter2(フラ編)
Chapter2-②【オーシャン・ブルー】前編
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「ハワイは初めて?」
眼鏡を外したユーリが目を瞑る。
ブランケットの下でユーリの手が動く。
貞操具が濡れていくのが分かる。
乾いていた残滓が潤い、異臭が鼻を突く。
「学生時代に一度だけ。
もう20年近く前になるな。」
ワタルは伸びた手を押し退け、答える。
「なら随分変わっているよ。
過激なグッズを売ってる店があるんだ。
今、家にある物だと、物足りないだろ?
ワタルさん向けに買いたい物があるんだ。
楽しみだな…。」
ユーリは眠りに落ちた様だ。
食後に飲んだ睡眠薬が効いたのだろう。
飛行機に乗っている間は貞操具が外れると思っていた。
出国時の金属探知に引っかかったら面倒だ。
「これさ、プラスチック製だから、安心して。
金属探知に反応しないから。」
出発前に外れたのは一瞬で、直ぐに新しいケージに閉じ込められた。
そこまでしなくても良いかと思うが、ユーリは至って真剣だ。
「ネットで調べちゃったよ。
空港の金属探知に反応しない貞操具ってないか。
だって外して乗ったら、絶対トイレで射精しちゃうでしょ。
折角何日も掛けて敏感にしたのに、ここで出されちゃったらさ。」
諦めて、身を任すしかなかった。
軽い寝息を立てた寝顔に変質性は微塵もない。
女性にモテそうな犬顔は幼ささえ残る。
性に執着する者達は外観にもそれが出ていた。
ランマやシンの様に。
それが一切ない意外性がワタルには好ましい。
前にユーリも同じ事を言っていたと、可笑しくなる。
ワタルはユーリの股間に手を伸ばす。
温もりを感じ、穏やかな気分になる。
自分のマラが触れない今、唯一握る事が出来た。
ゆっくり動かしてみる。
「うっ…。」
眉根が寄り、声が漏れた。
「もう…、許してくれよ…。」
寝言とは思えないはっきりした声に、慌てて手を引っ込める。
その言葉が誰に向けられたか、ワタルは察した。
『思い過ごしだ。』
自分に言い聞かせ、瞳を閉じる。
「これぞハワイの陽射しだ!
気持ちいいな。」
ユーリが手の甲で太陽を遮って言った。
ワタルは機内で一睡も出来ず、とぼとぼと歩く。
「プールに行く?
それともビーチに行ってみる?」
ユーリはタクシー乗り場へすたすたと向かっていく。
「寝れれば何処でもいい。」
ワタルは陽炎の向こうの背中へ声を掛けた。
カメハメハデイと重なり、町は人で溢れていた。
「普段は日本人が目立つけど、この時期は本土のアメリカ人が多いんだ。
それを狙って来てたんだ。」
開放的になったユーリは上半身裸体で闊歩する。
確かに前に来た時は日本人の多さに湘南に来た錯覚を抱いた。
途中のスタバでコーヒーを買い、ビーチ沿いを歩く。
目映い陽光と爽やかな海風は日本にはない。
湿度が低い所為で、汗は殆ど掻かない。
心踊るビーチへの道なのだが足取りが重い。
メインのビーチを通り越し、公園に出た。
青々とした芝生が眩しい。
そこにシートを敷き、荷物を置く。
目の前に海原が広がっていた。
「ねぇ、海に入ろう。」
ユーリが手を引っ張った。
眠気に耐え、短パンを脱ぐ。
出発前に買ってくれたリゾート用の水着だ。
「凄く似合うよ。
鮮やかな色がワタルにぴったり。
シュノーケル持ってきたから、早く泳ごう。」
ユーリは浜へ駆け出していた。
(つづく)
眼鏡を外したユーリが目を瞑る。
ブランケットの下でユーリの手が動く。
貞操具が濡れていくのが分かる。
乾いていた残滓が潤い、異臭が鼻を突く。
「学生時代に一度だけ。
もう20年近く前になるな。」
ワタルは伸びた手を押し退け、答える。
「なら随分変わっているよ。
過激なグッズを売ってる店があるんだ。
今、家にある物だと、物足りないだろ?
ワタルさん向けに買いたい物があるんだ。
楽しみだな…。」
ユーリは眠りに落ちた様だ。
食後に飲んだ睡眠薬が効いたのだろう。
飛行機に乗っている間は貞操具が外れると思っていた。
出国時の金属探知に引っかかったら面倒だ。
「これさ、プラスチック製だから、安心して。
金属探知に反応しないから。」
出発前に外れたのは一瞬で、直ぐに新しいケージに閉じ込められた。
そこまでしなくても良いかと思うが、ユーリは至って真剣だ。
「ネットで調べちゃったよ。
空港の金属探知に反応しない貞操具ってないか。
だって外して乗ったら、絶対トイレで射精しちゃうでしょ。
折角何日も掛けて敏感にしたのに、ここで出されちゃったらさ。」
諦めて、身を任すしかなかった。
軽い寝息を立てた寝顔に変質性は微塵もない。
女性にモテそうな犬顔は幼ささえ残る。
性に執着する者達は外観にもそれが出ていた。
ランマやシンの様に。
それが一切ない意外性がワタルには好ましい。
前にユーリも同じ事を言っていたと、可笑しくなる。
ワタルはユーリの股間に手を伸ばす。
温もりを感じ、穏やかな気分になる。
自分のマラが触れない今、唯一握る事が出来た。
ゆっくり動かしてみる。
「うっ…。」
眉根が寄り、声が漏れた。
「もう…、許してくれよ…。」
寝言とは思えないはっきりした声に、慌てて手を引っ込める。
その言葉が誰に向けられたか、ワタルは察した。
『思い過ごしだ。』
自分に言い聞かせ、瞳を閉じる。
「これぞハワイの陽射しだ!
気持ちいいな。」
ユーリが手の甲で太陽を遮って言った。
ワタルは機内で一睡も出来ず、とぼとぼと歩く。
「プールに行く?
それともビーチに行ってみる?」
ユーリはタクシー乗り場へすたすたと向かっていく。
「寝れれば何処でもいい。」
ワタルは陽炎の向こうの背中へ声を掛けた。
カメハメハデイと重なり、町は人で溢れていた。
「普段は日本人が目立つけど、この時期は本土のアメリカ人が多いんだ。
それを狙って来てたんだ。」
開放的になったユーリは上半身裸体で闊歩する。
確かに前に来た時は日本人の多さに湘南に来た錯覚を抱いた。
途中のスタバでコーヒーを買い、ビーチ沿いを歩く。
目映い陽光と爽やかな海風は日本にはない。
湿度が低い所為で、汗は殆ど掻かない。
心踊るビーチへの道なのだが足取りが重い。
メインのビーチを通り越し、公園に出た。
青々とした芝生が眩しい。
そこにシートを敷き、荷物を置く。
目の前に海原が広がっていた。
「ねぇ、海に入ろう。」
ユーリが手を引っ張った。
眠気に耐え、短パンを脱ぐ。
出発前に買ってくれたリゾート用の水着だ。
「凄く似合うよ。
鮮やかな色がワタルにぴったり。
シュノーケル持ってきたから、早く泳ごう。」
ユーリは浜へ駆け出していた。
(つづく)
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