不老不死ロリの国

木mori

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第二章

第四十六話

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「お客様。ステッキというお品はありません。その部分のみで結構ですから、再度ご注文をお願いします。」

「ええぇ?もう面倒だよん。ステッキでいいじゃん。」

「お客様。僭越ながら、『ス』と『ッ』を省略されますと、さらにおいしく召し上がれますけど。」

「そんなバレバレの小手先作戦は通用しないよん。でもそのフレーズを言わせたいなら、サーロインは必須だよん。」

こうして、ステーキをちゃっかり頂いた校長。

昆太もまだ屈してはいない。

「おもてなし作戦は失敗に終わったので、強行突破を図ることにする。俺を憎らしく思えるように持って行けば自ずとこちらに敵意を向けるはずだ。その手段としてはこれだ。」

昆太は萌絵の首を捕まえて、そのまま、三発平手打ちした。

「痛いよん。いきなり何するんだよん!」

「こうすれば攻撃を受けた側はこちらに反撃して、こちらを敵とみなすだろう。それにしても無抵抗な他人をいたぶるのは実に気持ちいいなあ。」

昆太にドSという新たな属性が開花しつつあった。

(お兄ちゃん、もうやめて!体の痛みを受けるのはあたしなんだよ。)
「箱子?痛いのは箱子なのか?」
「そういうことだよん。そんなことしても無駄だよん。痛いのは本体なんだから。」

「いやそんなブラフには乗らないぞ。肉体を共有していなければ、体を自由に動かせないだろう。つまり痛覚も共有しているはずだ。」

「さすがだよん。でもオニイチャンに勝利の風は吹いてないよん。」

「ドMモード支配!」

萌絵が声を出すと、顔が赤くなりその筋肉が弛緩した。

(お兄ちゃん、もっとして、もっとぶって、はたいて~!)

「ねだっているのは校長じゃなくて、箱子か?やられた。」

「へへん。萌絵は百戦錬磨だよん。ダテに十年の人生を歩んでないよん。」

「なんか強烈な虚偽感に溢れてるんだけど。」

「そんなことないもん。萌絵は永遠の『重歳』だよん。」

「さらにワケがわからない年齢なんだけど。とにかくこの作戦も失敗したので、次の手だ。これだけはやりたくなかったんだけど、仕方ない。吝奈と木憂華。こっちに来てくれ。」

「はいですの。」「わかったじゃん。」

「ふたりきれいに並んだな。では両手を上にあげて、伸ばす。」

「なんですの?」「なんなんだじゃん。」

不審な表情の吝奈たちは、昆太の言葉に従った。
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