不老不死ロリの国

木mori

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第二章

第三十四話

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死へのバトルフィールドは、校舎内の別の階に変わっていた。

「次は、今までよりは安全ゲームな肝試しだよん。」

「肝試しって言ったら、精神攻撃の最たるものじゃないのか?」

「これだからシロートは。一度このセリフ、言ってみたかったんだよん。それをこともあろうにオニイチャンに言えるとは、もえ、幸せだよん。」

ホクホク顔の萌絵に対して、ひとりは明日にも世界が滅亡するような表情をしている。

「ブルブル、ブルー、ブルーマンデー。ブルーメランブルマデー。お、お化け屋敷なんて、こ、こわくなんかないぢゃん。これはタダのむしゃぶりつきぢゃん。」

そう言いながら、木憂華は昆太の背中で子泣きジジイになっている。

昆太には密着幼女に不満などあるはずもなく、逆に嬉々としていた。

市長が案内した場所は『分校ホラーハウス』という看板のある教室。ワンフロア全部がお化け屋敷なのだから、かなり広い。

「お化け屋敷!?分校にこんなものがあったんだ!楽しみ。ワクワク。」

「何を仰いまちゅの。これは遊びではありまちぇんわ。死を試す試練なんでちゅから。それに分校にこんな施設を作るなんてもったいないでちゅわ。お化け屋敷なんて、入場料もかかるし、面白くもなんともないでちゅわ、あんまり。最近人生をエンジョイしてまちぇんし、いやこれは全然楽しみでもなんでもないでちゅわ。ワクワク。」

こちらのふたりは遠足待ちの幼女であった。

「では入場するよん。入場料金は税金の無駄遣いだよん。」

「ということはタダでお化け屋敷に入れるんでちゅのね。タダより安いものは、おカネをもらってでもやれでちゅわ。バンザイでちゅわ!」

奇妙な格言を作りつつ、吝奈は無料と知ってさらにテンションが上がった。税金の使い道については、なんらツッコミはなかった。自分がよければすべてよしという、民主主義の根幹を揺るがす思考である。

「それでは突入するよん。」

お決まりの紫色暖簾をくぐると、眼前に広がる、荒涼とした寂れ墓場のブキミな図。

「コ、コワいよ~ん!」

昆太の腰に抱きついてきた萌絵。

「市長。実はこわがり幼女だったりして。」

ニヤリと邪悪猥雑系笑みを浮かべた昆太。

「だって、だって、コワいものはコワいんだもんだよん!ニタリ。」

ビミョーに意図的な行為であるように見えることはおいといて、こういう場合、女子は頼る男子のシャツを引っ張るものであるが、冷静に考えると、低身長の萌絵が握っているのはブーメランブルマ。感触に違和感を感じて、ソコを見ると、目の前に広がる伸びたブーメランブルマワールド。

「きゃああ!ドヘンタイだよん~!」

いきなり本気で卒倒した萌絵。自業自得とはこのことだった。
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