不老不死ロリの国

木mori

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第二章

第三十二話

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「すると、泳げないということか。おこちゃま博士だからな。ははは。かわいいなあ。」

「違うぢゃん。このフツーのプールではぜったいあり得ない、このもうもうとして湯気はいったいなんだぢゃん!」

プールからは湯気どころか、ピカピカ頭の坊主のような泡があちこちで噴いていた。

「熱湯プールなんて聞いてないぢゃん。震えているのは、寒いの反対だからぢゃん!」

「市長。まさか、ここで泳ぐとか言うんじゃないだろうな。即死必至だぞ。」

「泳ぎはないよん。でも死ぬことを研究するんだから、そのままドボンとやるのも実地検証になるよん。」

「取りあえず泳ぎがないということは、お決まりの島でも作って、相撲を取らせて、落ちたら負けとかやるのかな。相撲のコスチュームはかっこいいからな。じゅる。」

「ピーッ!それはNGワードだよん。」

「水着にマワシでもかな?」

「それはビミョーだよん。ヨコヅナ審議会に諮らないと、ってそんなことじゃないだよん。島相撲ではないよん。始めればすぐにわかるよん。今回は個人戦いだよん。ほら、みんなプールに飛び込むんだよん。ほい、ほい、ほい。」

萌絵は幼女らしからぬ素早い動きで移動し、三人幼女をプールに突き落とした。木憂華は少し離れていたが、そんなことは無関係の超迅速な処理であった。

「「「うぎゃー。熱い、超熱い!」」」

暴れる三人幼女の悲鳴がプールの壁を壊さんばかりに響き渡る。

「ひ、ひどい。まさに阿鼻叫喚だ。この中にボクも入らないといけないのか?」

「オニイチャンは大丈夫だよ。オニイチャンに自殺願望がなければだよん?」

「自殺願望?それはない、ないよなあ、あ・は・は・は・。」

「オニイチャン、ひょっとしたら、どこかにひょっとこ?」

「意味不明かつ意味深な物言いはやめてくださる?」

「オニイチャン。急に話し方を変えるとが、ぐっと疑惑の根を引き寄せたよん?」

本題に無関係な会話を展開する昆太たちの脇のプールでは、三人幼女がゆでダコのように変色しながら、武器を振り回している。いやそれだけでなく、バトルしている。

プールをよく見ると、いつの間にか、透明なアクリルのようなフタが全体を覆っており、真ん中に幼女がひとりだけ通り抜けられそうな丸い穴が開いている。その穴は少しずつ小さくなっているように見える。

「ぐあああ!熱い!あそこから出るのはあたしだよ!」

「いや、ワタクチでちゅわ。このままでは、お肌がヤケドして治療代がかかってもったいないでちゅわ。」

「Qが先ぢゃん。注射器の耐熱性に限界があるぢゃん。早く出ないとダメになるぢゃん。」

 三人幼女は我先に穴から出ようと先陣争いをしていた。
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