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第三章 弱小領地の防衛
第22話 作物を増やそう
しおりを挟む鍛冶屋に鋼鉄のつるはし製作を命じると、彼らは大工や焼き物師と協力して『鍛冶工房』を作り始めた。
鍛冶仕事をするためには窯のある鍛冶工房が必要である。
ちなみに、TOLでも鍛冶屋に最初の命令をするとまず鍛冶工房を作りだすのだけれど、焼き物師がいないとその窯を作ることができず、いつまでも鍛冶屋が鍛冶を始めない。
ゲーム的に初見殺しと言えば初見殺しだが、付与可能ジョブが増えた時はせめて一人だけでも領民に付与しておくのが無難だってことだな。
もちろん俺はそこらへん知っているので、最初から焼き物師を3人育てて来たんだけどね。
「うおおお、鉄を打ちてえ」
「鉄を打ちたくて右腕が痙攣するぅぅうう!!」
「早くぅ、早く窯を作るんだぁ!」
なんかヤベー奴らだな。
「じゃ……じゃあ頼んだぜ(汗)」
俺はそう頼んで鍛冶屋たちの元を去った。
さて、『鋼のつるはし』ができるまで次の魔境第三地区の攻略ができない。
厳密に言えばできないことはないのだけれど、つるはしのあるのとないのでは攻略難易度が全然違ってくるので、それまではおとなしくしておくのが無難だ。
というワケで、今のうちに内政しとくか。
今日は農業に手を付けていくことにする。
そう。
今までダダリで育てることのできた作物はジャガイモだけであった。
だが、人間一つの作物だけで生きていくことはできない。
現状、育てたジャガイモをよその商人へ渡し、その債権でよその産物を仕入れてきてもらうということになっていた。
これが貧乏の元なのである。
ひとつの産物しか育てられない領地は、よその商人に対する依存度が高いからだ。
ジャガイモは買いたたかれるし、輸入物価も高くなる。
これを解消するために、産業、産物、作物の種類を増やし、『領地単位での自給自足』を目指していく必要があった。
「というワケでコレらの種を育てられるように研究してほしいんだ」
俺は以前『種家』を付与した4名に、魔境の各地区で獲得した新素材を提供しておく。
第一地区……薬草(b種)、ドクダメ草、眠り草、綿。
第二地区……薬草(a種)、ほうれんそう、ゴマ、骨粉
「新作物の研究はよいことだと思いますが……農地はいかがします?」
「ジャガイモ畑を減らすんで?」
そこで種家たちがそんな心配をする。
そりゃそうだ。
ジャガイモは現状で確実に収穫できる作物。
一方、新作物というのは育ててみて失敗ということもあるので、いわばギャンブルなのだ。
「いや、減らさないぞ。ジャガイモはうちの主食だからな」
「ではどうするので?」
「農地を広げるんだ。魔境を攻略して領土が広がっているからな。これを開墾して農地を確保する」
「「なるほどー!」」
こうして種家たちは安心して新作物の研究を始めた。
◇
数日のこと。
俺はうららかな日差しのさす庭のベンチで、リリアのふんどしのお尻をペロペロと舐めていた。
「気持ちいいー! 気持ちいいわー!」
少女はびくんびくんとお尻を跳ね、ショートヘアーをサラサラと舞わせている。
ぷりっとしたお尻と裏太ももの付け根のところをペロペロされるのを、リリアはとても好むのだ。
「あー! あー!」
ヨダレを垂らして、凛とした美少女がだいなしである。
……言っておくが、別にサボっているわけじゃないぞ。
領民にジョブや指令を与えたら、しばらく待っているのも領主の仕事だ。
ゲームならこちらで指令を与えている間にあちらの指令が終わっていて次の指令を出して……という具合に時間の流れが早いけど、現実では一日といえばちゃんと一日で、一週間といえばちゃんと一週間かかるから、その間は嫁の尻をなでてやったり、おふくろの肩を揉んでやったりして日常を過ごすのである。
「若ー! 大変でやんすー!……って、うっひょー??」
そんな時、盗賊から忍者へと進化したリッキーが木の上から降ってきた。
「キャー! ヤダ、エッチー!!」
と言って、俺に抱き着いてくるリリア。
むっ、可愛いヤツめ。
俺はよしよしとリリアの頭をなでて宥めてやる。
「あんたら何やってんでやんすか!? こんな真っ昼間に!」
「悪い悪い。それよりなんだ? 大変なことって」
「……あ、そうだ! 若、女の尻なんて舐めてる場合じゃねえでやんすよ!!」
リッキーは飛び上がって報告を始める。
忍者の報告によると、北のガゼット領がダダリ領に攻めてくるそうだ。
「……ガゼット領が? 確かな情報か?」
「間違いねえでやんす。この目で森を進軍してくるヤツらを見たんでやんすから」
「敵の兵力は?」
「おおよそ800。もうじきやってくるでやんすよぉー!!」
「……わかった。すぐに戦闘領民を集めろ」
そう命じるとリッキーは「御意でやんす!」と言って消えた。
「あ、アルト。だいじょうぶなの?」
気づくと、いつも気の強いリリアが俺の腕の中で震えている。
戦争は怖いからな。
「だいじょうぶさ。そのために準備してきたんだ」
俺は美少女の頬に頬をぴたりとくっつけてそう答えた。
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