年下俺様アイドルの、正しい飼い方

ryon*

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心も、体も④

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「確かに奏くんは、従順なペットでは無いかもね」

 ワシワシといつもとは逆に、彼の頭に手を伸ばし撫でた。
 すると奏くんは少しだけムッとした様子で、コツンと私の額に額を押し当て、言った。

「またそうやって、年下扱いする。
 ......俺一応、成人済みなんだけど?」

 子供扱いされているのは、年上だというのに私の方なのだとばかり思っていた。
 なのにそんな風に言われ、あまりにも可愛いその仕草に悶絶した。

「千尋さん?......ホント、拗ねるよ?」

 これまでの演技とは異なる、新たな『可愛い』を見せ付けられ、のし掛かられたまま思わず強く抱き締めた。

「拗ねないでよ、奏くん。
 年下扱いなんて、したつもり無かったんだけどな」
 
「んー......、ホントに?」

 じっと私の事を見下ろす、少しだけ青みを帯びた瞳。
 さらりと揺れる、艶やかで真っ直ぐな黒髪。

「ホントだよ。だって奏くんは私なんかより、ずっとしっかりしてるもの」
 
 フォローのためだけでなく、心から思ったから口にした言葉。
 それが伝わったのか、彼は満足そうにニッと笑い、いつもみたいにちょっと意地悪く言った。

「まぁ、確かに。
 ......千尋さんと比べたら、ねぇ?」

 ぐぬぬ.....なんて、小憎たらしい事を!
 ......なのにこういうところも、好きなのよね。

「人に言われると、なんかちょっといらっとするかも」

 私の発言に、ちょっぴり驚いたように瞳を見開いて。
 ......それから甘えた声で、こてんと愛らしく小首を傾げて言われた。

「千尋さん、いらっとしないで。
 ......ね?」

 くぅぅぅうっ、可愛い!
 だけどもう、分かってるから。
 奏くんが、自分がどれ程可愛いのかを、知ってやっているという事が。

 そう思うのに危うくその表情に絆され、甘やかしてしまいそうになった。
 しかし心を強く持ち、にっこりと微笑み答えた。

「......そういう演技、私の前ではもういらないから」

 すると奏くんは私から視線をそらし、軽く舌打ちをした。
 ......本当にこの男、油断も隙もない!!
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