年下俺様アイドルの、正しい飼い方

ただいま②

「千尋さん......俺やっぱ千尋さんの事が、めっちゃ好きみたい」

　甘く耳元で囁かれ、心音がドクンと跳ねた。
　すると彼はクスリと妖艶に笑い、私の耳たぶを軽く食んだ。

　びくんと大きく、震える体。
　だけど、そのタイミングで。
　......空気を読めない私のお腹の虫が、思いっきりグゥと鳴いた。

　それに驚いたように、きょとんとした感じで瞳を大きく見開く奏くん。
　恥ずかしいやら、情けないやらで、一気に全身の血液が逆流したような気がした。

「千尋さんって、ホント読めないなぁ。
　でもとりあえず、夕飯にしよっか？」

　軽く首筋に、歯を立てて。
　そのまま何事も無かったような顔をして、彼はいつもみたいにキッチンへと向かった。

「今のは、私のせいじゃないもん！」

　真っ赤であろう顔のまま、訴える。
　すると彼は、一瞬だけ真顔になって。
　......そのままやっぱり堪え切れないといった感じでブフォッと吹き出し、お腹を抱えて爆笑した。

　しかし完全に拗ねてしまった私をなだめすかすように、今度は優しく微笑んで言われた。

「んー、そんなに凝った物だと時間が掛かるし、今夜はオムライスにしよっか？
　千尋さん、好きだよね？」

　やっぱり、子供扱いだ。
　そう思い、自然と尖る唇。
　だけど彼は、艶っぽく笑って続けた。

「ご飯食べたら、その後は千尋さんを食べさせて貰うから。
　焦らされた分、スゲェ激しく抱いちゃうと思うから、覚悟しといて」

　ポカンと口を空け、彼の綺麗な横顔を凝視した。
　そんな私の間抜け面に、奏くんはちょっぴり呆れたような感じで苦笑した。

　それから最近私がマスターした、ある仕事を与えた。

「ほら、千尋さんも手伝って！
　ピーマンを切る係を、命じます」
　
　だから慌てて彼の隣に立ち、手渡されたエプロンを身に付けた。