年下俺様アイドルの、正しい飼い方

ryon*

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ただいま① side千尋

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 自然な態度を装おうとした結果、かえって不自然な対応になってしまったかも知れない。
 ......だって奏くんってば、思いっきり顔が引きつっていた気がするし。

「ただいま、千尋さん。
 俺の方こそ大切な事を、ずっと黙っててごめん。
 ......俺の話、今度こそちゃんと聞いてくれる?」

 彼は穏やかに微笑み、言ってくれた。

 ただいまっていうたった四文字の当たり前の言葉が、こんなにも嬉しいだなんて。
 ......ここが彼の帰る場所なんだよって言ってくれたみたいで、心が暖かくなった。
 まるで自分の中で渦巻いていたどす黒い感情が、溶けて消えていくような。
 ......そんな、感覚。
 
 だから私も、笑ってコクンと頷いた。

 かなり変人だという社長との出逢いや、奏くん自身だけでなく他のJOKERのメンバーの話まで。
 楽しそうに語るその表情からも、いかに彼が皆の事を信頼し、好きなのかが伝わってくる。
 
 すべて話し終わると彼は、もう一度私に対してごめんねと謝罪の言葉を口にした。

 なので私は、今後嘘を吐いたり隠し事をしないのであればという条件付きで、許してあげた。

 そしてこの間は断られてしまったけれど、彼の歌が聞きたいとおねだりしたら、彼はちょっと照れ臭そうにしながらも、私が好きだと言った曲。
 ......『Love !sラブイズ』を、私を抱き締めたまま、歌ってくれた。

「でも、マジで良かった。
 愛想尽かされて俺、ホントに千尋さんに捨てられるんじゃないかって思ってたから」

 ホッとしたように綻ぶ、彼の表情。
 ライブで見た愛らしいアイドルの姿とはまるで異なる、ちょっぴりヤンチャさの残るその仕草に、私も自然と笑みが溢れた。
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