年下俺様アイドルの、正しい飼い方

ryon*

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好きだから③

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「それにそうならないように私も頑張るし、それでも駄目になっちゃうとしたら。
 ......その時は奏くんだけじゃなく、私にも責任があるんだと思う」
 
 人の気持ちは、変わる。
 例え最初は、どんなにお互いを想い合っていたとしても。
 
 元カレと別れた後、他の人は気付かなかったのに、華月だけは私が落ち込み、ずっとひとりで泣いて過ごしていた事に気付いていたのだろう。
 
 だからたぶん彼女はもう二度と私があんな目に遭わぬよう、心配してくれているのだと思う。
 相手が芸能人だから、なおの事。

 だけど今の私は、あの時とは違う。
 この恋を終わらせないために、きっと努力する。
 だって今日よりも明日、明日よりも明後日、もっと彼に好きになって貰いたいから。

「はぁ......千尋も大人に、なったもんだ。
 私もついに、保護者のお役御免かなぁ」

 ちょっぴり残念そうに、そう言って。
 なのに華月はどこか嬉しそうに、ニッと笑った。

「卒業も何も、華月は私の保護者じゃなくて友達でしょ?」

 思わずプッと、吹き出した。
 
「んー。確かに、そうなんだけどさ。
 はぁ......可愛い千尋に近付く悪い虫達を、せっせと駆除していた私は奏になんか褒美を貰っても良いと思うわ」

 思わぬ発言に、今度はブフォッと吹き出した。

「悪い虫って......。どういう事!?」
 
 自然と、大きな声が出た。
 すると華月は、ニヤリと笑った。

「千尋はね、なーんかやたらとS男の嗜虐心を煽るのよ。
 しかも無自覚だから、たちが悪い。
 だからヤバそうなヤツらは私が、片っ端からふるいに掛けて弾いてやったけど。
 ......ちょっと目を離した隙にいつの間にか付き合ってた、女々しくて粘着質なあのバカ元カレは弾き損なったけどね」

 忌々しげに、言われた。
 そしてこの時の私は彼女に感謝して良いのか、怨んで良いのか分からず、きっと苦虫を噛み潰したみたいな顔をしていたに違いない。
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