年下俺様アイドルの、正しい飼い方

ryon*

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好きだけど③

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***

「さて......とりあえず、食べよっか。
 私もう、お腹がペコペコなんだよね」

 何事も無かったかのように、華月は笑顔で言った。
 私の気持ちを少しでも軽くするためだと思うけれど、気遣われているのだと分かっているからその優しさが余計に辛い。

 だけど私はちょっと苦笑して、彼女の言葉に小さく頷いた。

 奏くんが用意してくれていた本日のメインディッシュは、私が以前美味しいと大絶賛した肉じゃが。

 それからこちらも私が大好きな、マカロニサラダ。
 カリカリに炒めたベーコンが入ったそれは、黒胡椒が効いていてちょっぴり大人向けな感じだ。

 ちなみにお味噌汁には、私が苦手な人参が、塵ほど細かく刻まれて入れられている。
 ......完全なる、子供扱い。

 足りなければ冷凍庫に、余分に炊いたご飯も入っているからと言われている。
 
 私同様細身で小柄な癖に大食漢な華月と食べるならば、そちらもあらかじめ解凍しておいた方が良いかも知れない。

 華月にはソファーで待つように言い、中断していた食事の準備に再度取り掛かった。

***

「......ちょっとさすがに、あの子に悪い事しちゃったかな」

 食事を終え、二人で食器の後片付けをしながら。
 華月はちょっぴりバツが悪そうに、眉尻を下げた。

 だから私はふるふると左右に大きく首を振り、答えた。

「ううん、全然良いと思う。
 華月が居てくれて、良かった。
 ありがとね」

「そう?なら、良いんだけどさ。
 そう言えばアンタ、私に大事な話があるって言ってたよね。
 ......洗いざらい全部、吐いて貰おうか?」

 昭和の悪徳刑事デカみたいな悪そうな顔で、ニッと華月が笑った。
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