年下俺様アイドルの、正しい飼い方

ryon*

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天然か、策略か ~side奏~①

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「ホント、素直だよね。可愛過ぎ」

 されるがまま流され、俺の腕の中で小さく震える彼女を抱き締めたまま舌先を蠢かせ、耳の裏側に這わせると、自然と漏れたなまめかしい吐息。
 それを聞き、悪い笑みが溢れた。

「耳、敏感なんだ?」

 クスクスと笑いながら耳元で意地悪く囁き、今度は首筋に軽く歯を立てた。

 すがり付くみたいに俺の背中に腕をまわし、夢中で与えられる感覚に溺れる千尋さん。

 ......ヤバい、このままだと絶対に止められなくなる。

 真面目な彼女を付き合い始めた初日に襲うのは、さすがに気が引けた。
 がっついていると思われたくなかったというのもあるが、それ以上にこの人の事をただ大切にしたいと思った。
 
 ......俺ってこんなに、紳士だったっけ?
 
 小さく苦笑して体を離し、いつもするみたいに何事も無かったふりをして彼女の頭にポンポンと優しく触れた。

「そう言えば今日、職場でクッキー貰ってきたんだった。
 千尋さんも、食べるよね?」

 欲を隠し、笑顔で聞いた。
 すると彼女は一瞬戸惑ったように視線をさまよわせてから、にこっと無邪気に笑って小さくコクンと頷いた。

 ちょっぴり残念な気がしながらもソファーから体を起こし、再びキッチンに向かった。
 そして二人分の紅茶をいれるための、湯を沸かしながら。

 ......少し離れただけなのに、自ら手放した彼女の温もりがもっと欲しいと思ってしまっている弱く女々しい自分に気付き、思わず吹き出した。

 そして茶葉をティーポットに入れた、タイミングで。
 彼女が後ろから俺の事を、強く抱き締めた。
 更にそのまますりすりと体をすり寄せられると、俺の理性の糸はあっという間に切れ掛けた。

 ......まじで恐ろしいな、この人。
 これで誘惑してるつもりとかは全く無いんだから、たち悪過ぎだろ。

 これまではただの同居人兼ペットとして、濃密なスキンシップは我慢してきた。
 だけど......。

「えっと......千尋さん?
 俺割と色々と、限界なんだけど」

 華奢な手首を掴み、そのまま口元に彼女の指先を移動させ、軽く噛み付いた。
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