年下俺様アイドルの、正しい飼い方

ryon*

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好き③

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***

 いつものように食事をし、二人で食器の後片付けを終えたところでソファーに座ったまま、またしても彼に強く抱き締められた。

 そして頬や首筋、唇と、場所を変えながら何度もキスをされ続けた。

 これまでハグだけの関係だったのが嘘みたいに、一度許してしまうと彼は当たり前のように口付けを求めた。

 それがもちろん嫌なワケではないけれど、恥ずかしいしちょっと視線のやり場に困る。

 受け入れながらもそんな風に考えていたら彼はプッと吹き出して、今度は私のまぶたに口付けた。

「......千尋さん、目を瞑ろっか?」

 自身の口元に手を当てて、笑うのを堪えながら言われてしまった。

 確かに閉じていたさえ、視線のやり場には困らないわね。
 ......キスなんて情けないくらい久しぶりだったから、そんなのすっかり忘れてた。

 言われるがままぎゅっとかたく瞳を閉じると、今度は耳たぶを軽くまれた。
 それに驚いて思わずまた目を開けると、彼は悪戯っぽく笑って言った。

「ホント、素直だよね。可愛過ぎ」

 そのまま彼の舌先が、私の耳の裏側を這い回る。
 自然と漏れた、吐息。
 それを聞き彼は、クスリと妖艶に笑った。

「耳、敏感なんだ?」

 クスクスと笑いながら耳元で意地悪く囁かれ、今度は首筋に軽く歯を立てられた。
 だけどそれは痛みではなく甘い刺激へと変化したため、体が小さく震えた。

 すがり付くみたいに彼の背中に腕をまわし、夢中で与えられる感覚に溺れる私。
 すると彼はフッと笑って体を離して、何事も無かったみたいに私の頭にポンポンと優しく触れた。

「そう言えば今日、職場でクッキー貰ってきたんだった。
 千尋さんも、食べるよね?」

 本当に普通に、笑顔で言われた言葉。
 失った体温が寂しかったけれど、もっとして欲しいだなんていうはしたないことは言えないから、私も笑ってただ頷いた。
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