年下俺様アイドルの、正しい飼い方

ryon*

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告白③

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 彼の予想外な言動に私は、更に激しく動揺してしまった。
 だけど奏くんはそれを笑うでもなく、視線をそらすこと無く続けた。

「ねぇ、千尋さん。
 ......そんな顔されたら俺、期待しちゃうんだけど」

 期待......?
 期待って、それは何に対する?

 本気でその意味が分からず、恥ずかしかったのも忘れて彼の顔を凝視してしまった。
 すると彼は困ったように小さく笑い、また強く私を抱き締めた。

「......まだ言うつもり、無かったんだけどなぁ」

 何の話を、この人はしているのだろうか?
 やはり全く理解が出来なかったから、頭の中を巨大なクエスチョンマークが占拠した。

「参った、降参。
 ......ホント千尋さんって、鈍いよね」

 確かに空気が読めないだとか、鈍いというのは、不本意ながら非常によく言われる言葉だ。
 とはいえ何の前触れもない失礼な発言に、子供みたいに自然と唇が尖る。
 それに気付いた彼はやれやれとでも言いたげに、ふぅとひとつ大きな溜め息を吐き出した。

 どういう事かと詰め寄ろうとしたタイミングで、彼は優しく微笑み告げた。

「千尋さん、好きだよ。
 俺と、付き合って下さい」

 彼の唇が、戸惑う私の首筋に移動してきて軽く触れたものだから驚き、体がびくんと大きく震えた。

 クスリと笑って彼は私を抱く力を弱め、少しだけ距離をあけて再び顔を覗き込んできた。

「その表情を、見る限り。
 ......千尋さんも俺の事、好きだよね?」

 なんて自信たっぷりな、感じの悪い男なんだろう?
 だけど普通なら鼻につきそうな発言なのに、全然嫌じゃなくて。
 素直にコクンと、小さく頷いた。

 すると彼は嬉しそうにくしゃりと笑い、私の事をまたぎゅっと抱き寄せた。

「良かった......ヤバい、スゲェ嬉しいんだけど!」
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