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しおりを挟む「ふぅ、今日は少し疲れたわ。」
「アニエスったら、もっと怒ったらいいのに……。」
就寝前、ベッドの淵に座り溜息をつくと急遽私の家にお泊りすることになったクロエが不満そうに口を尖らせた。あの衝撃の光景を見た後、クロエは激怒し突撃するのだと意気込んだ。あわや暴れ出しそうな親友を私は必死で止め、どうにか引っ張って帰って来た。クロエは怒りが落ち着いてくると、私のことが心配になってきたのだろう。私の家に泊まるのだと、譲らなかった。
クロエが急にお泊りすることはよくあることなので、使用人たちも慌てることなく対応してくれた。一緒に夕食を摂り、入浴後はこうしてお喋りしているだけでも私の心は癒された。
「私のような地味な婚約者、リシャール様でなくても嫌に決まってるわ。」
「そんな……!」
クロエは声を上げ眉を寄せた。その後ぎゅうぎゅうに私を抱き締め「可愛いアニエスを地味なんて言うのは、本人でも許さないわよ。」と震える声で囁いた。彼女の優しさがじんわりと心に染み込んだ。
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