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第二部
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しおりを挟む「ジャックさんはエラさんが心配で心配で……ずっとあなたから離れなかったのですよ」
「え……」
「まるで忠犬のようでした」
「おい」
ジャックの睨みにも怯まず、講師はエラが眠り込んでしまってからのことを話し始めた。あの後、エラは魔力を使い切ってしまい眠り込んだ。魔力が欠乏すると休息が必要である。エラも以前一度だけ倒れてしまったことがある……だが今回は以前よりもずっと膨大な魔力を注ぎ込んだ為、随分と長い間眠り込む羽目になった。
魔力欠乏は病気ではない。眠っていればいつかは目覚める。魔力についてよく知る講師たちは何度もジャックにそう説明したがジャックは納得しなかった。講師たちが予想したよりも長い時間、エラが眠り込んでいたため余計心配したのだろう。
ジャックは文字通りエラに付きっ切りだったようだ。講師たちはエラのことも心配だったが、どちらかというとジャックがいつか倒れるのではないかと心配し、エラとジャックが暮らす塔に彼らも寝泊まりしジャックに無理矢理休息を取らせていた。
エラの部屋はあの夜に滅茶苦茶になってしまったため、リフォーム中だと言う。そのためジャックの部屋で眠らされていた。着替えや清拭は侍女を雇って対応してくれていたと聞き、エラは密かに胸を撫で下ろした。
「折角あなたのお姫様が目を覚ましたと言うのに、なぜそんなに不機嫌なのですか?」
「……っ、お前」
「あんなに毎日献身的にお世話されていたと言うのに」
「……もういい、黙れ」
「ふふ、そろそろお邪魔虫はお暇しましょう」
顔を顰めたジャックへ揶揄うような笑みを浮かべた講師は、エラにこっそり「大丈夫ですよ」と呟いた後部屋を出た。不機嫌なジャックと取り残されてしまったエラは、彼に何と声を掛けるべきか途方に暮れた。
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