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第2部 激戦編
第50話 マギ・バスターキャノン
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【side ルキア】
魔王軍の七大幹部だったモーシャスとの戦闘の後に帝国軍の20機のMGTと対峙する事になった私達。
だが、クラウド艦長からは主砲を最大出力で放つので、時間を稼いでくれと言った。
アルム達はそれを聞いてひと踏ん張りだと励ましつつ、帝国軍に攻撃する。
時間稼ぎが主目的なので、撃墜できなくてもいいらしいが、やはり後にいる他のメンバー……辺境伯の部隊と戦った人達の疲弊ぶりが激しい。
元々は同じ軍の人達だったから、精神的な疲労が大きいのだろう。
「くっ!」
『焦っちゃダメです、マスター。 時間稼ぎなんですから』
「分かっちゃいるけどね……」
私もファイアバレットライフルで帝国軍のMGTに向けて撃つも、モーシャス戦後ということもあってか、精度が落ちてる。
時間稼ぎだと分かっていても、焦ってしまう。
『焦るな、ルキア。 焦りや恐怖は、エマージェンシーシステムを発動させる可能性がある。 ひとまず俺から離れるなよ』
「あ、ありがとう」
アルムが私の側につき、私から離れないようにデバイスやライフルで、帝国軍のMGTを牽制したり、駆逐したりしている。
そうだったわね。
私の焦りや恐怖が、エマージェンシーシステムを発動させる可能性があるからね。
アルムが側にいるとかなり安心感がある。
「そういえば、戦艦フィールラスクスから主砲が発射されるみたいだけど、どんな代物なの?」
『アレの主砲は【マギ・バスターキャノン】という魔力エネルギー兵器らしい。 最大出力なら今対峙している帝国軍のMGTならば一瞬で纏めて屠れる』
「それが今ようやくってところ?」
『ああ、出航後からはなかなか解禁できなかったからな。 エネルギー周りの問題で。 それがようやく解決したんだろうな』
「要はそのチャージのための時間稼ぎかしら?」
『そうだ。 だからもうひと踏ん張りだ。 アレが発射される際は巻き込まれるなよ。 射程も長いが範囲も広いからな』
「了解!」
プライベートモードにして、ライフルやバルカンで牽制しながら、フィールラスクスの主砲についてアルムに尋ねた。
フィールラスクスに搭載されている主砲……【マギ・バスターキャノン】は長射程かつ範囲が広い魔力エネルギー兵器らしい。
その兵器が最大出力で放った場合は、今私達が対峙している帝国軍のMGTならば、一瞬で屠れる程の威力だという。
出航後からあまり攻撃しなかったのは、武装面での解禁に時間が掛かったかららしく、今ようやく解禁できたという事なのだろう。
『フィールラスクスより各機へ! 今しがたチャージが完了した! これより主砲を発射する! 各機、射程外へ退避しろ!』
『来たか! ルキア、離れるぞ!』
「ええ!」
クラウド艦長から主砲を発射する旨を伝えてきたらしく、アルムと共に退避する。
そして、私達が退避した直後に主砲が発射され、帝国軍のMGTは瞬く間に消滅した。
「これが……主砲の最大出力での威力……」
私はあの主砲の威力が頼もしくあると同時に恐ろしさを感じた。
◇◇◇◇◇◇◇◇
【side クラウド艦長】
フィーアクロイツ共和国の内乱が魔王軍の七大幹部の一人が作り上げた出来事に衝撃を受けるも、何とかその幹部……【変化】のモーシャスを屠る事に成功した。
同時に、奴の洗脳術によって人ではなくなったかつての辺境伯の部隊をも屠らねばならない事態になってしまった事実も受け入れるしかない。
アリシア嬢は、一時納得がいかないと言わんばかりの反論をしたが、ルキア嬢とリーゼ嬢、そしてマイア王女の話でショックを受けて、現在艦内の自室に篭っている。
相当ショックなのだろうな。
そして、現在その隙を突く形で帝国軍のMGTが20機程攻めてきた。
だが、同時に今まで解禁できなかった我が艦の武装はようやく解禁できた。
皆には主砲のチャージが完了するまで時間稼ぎして貰っている。
「プラム曹長、主砲のチャージは?」
「只今完了しました。 いつでも撃てます」
「よし……」
オペレーターの一人の少女、プラム・マクラウド曹長が主砲のチャージが完了したと報告私にした。
部隊の多数が精神的にも疲弊が溜まっているから、この一撃で決めなければならない。
腹は括った。
「フィールラスクスより各機へ! 今しがたチャージが完了した! これより主砲を発射する! 各機、射程外へ退避しろ!」
私の号令に従うように、次々と射程から退避していく。
主砲の射程から味方の機体がいなくなり、帝国軍のMGTが射程内に捉えた。
「帝国軍のMGT全機、主砲の射程内です!」
「よーし、【マギ・バスターキャノン】一斉発射!!」
私の号令で、オペレーターがトリガーを引く。
同時に戦艦の主砲が一斉に発射された。
そして、その主砲は瞬く間に帝国軍のMGTを包み込み、爆発しながら消滅していった。
我が艦ながら、主砲の最大出力での威力は恐るべきだな。
「帝国軍のMGT、全機消滅しました」
「うむ……。 では、各機は持ち場の艦に帰還するように伝えてくれ」
「了解です」
プラム曹長が、全機に帰還命令を伝える。
次々とフィールラスクスやヒルデガルドに帰還する。
(さて、私も労いの言葉を掛けねばならんな)
そう考えながら、私は格納庫に向かうのだった。
魔王軍の七大幹部だったモーシャスとの戦闘の後に帝国軍の20機のMGTと対峙する事になった私達。
だが、クラウド艦長からは主砲を最大出力で放つので、時間を稼いでくれと言った。
アルム達はそれを聞いてひと踏ん張りだと励ましつつ、帝国軍に攻撃する。
時間稼ぎが主目的なので、撃墜できなくてもいいらしいが、やはり後にいる他のメンバー……辺境伯の部隊と戦った人達の疲弊ぶりが激しい。
元々は同じ軍の人達だったから、精神的な疲労が大きいのだろう。
「くっ!」
『焦っちゃダメです、マスター。 時間稼ぎなんですから』
「分かっちゃいるけどね……」
私もファイアバレットライフルで帝国軍のMGTに向けて撃つも、モーシャス戦後ということもあってか、精度が落ちてる。
時間稼ぎだと分かっていても、焦ってしまう。
『焦るな、ルキア。 焦りや恐怖は、エマージェンシーシステムを発動させる可能性がある。 ひとまず俺から離れるなよ』
「あ、ありがとう」
アルムが私の側につき、私から離れないようにデバイスやライフルで、帝国軍のMGTを牽制したり、駆逐したりしている。
そうだったわね。
私の焦りや恐怖が、エマージェンシーシステムを発動させる可能性があるからね。
アルムが側にいるとかなり安心感がある。
「そういえば、戦艦フィールラスクスから主砲が発射されるみたいだけど、どんな代物なの?」
『アレの主砲は【マギ・バスターキャノン】という魔力エネルギー兵器らしい。 最大出力なら今対峙している帝国軍のMGTならば一瞬で纏めて屠れる』
「それが今ようやくってところ?」
『ああ、出航後からはなかなか解禁できなかったからな。 エネルギー周りの問題で。 それがようやく解決したんだろうな』
「要はそのチャージのための時間稼ぎかしら?」
『そうだ。 だからもうひと踏ん張りだ。 アレが発射される際は巻き込まれるなよ。 射程も長いが範囲も広いからな』
「了解!」
プライベートモードにして、ライフルやバルカンで牽制しながら、フィールラスクスの主砲についてアルムに尋ねた。
フィールラスクスに搭載されている主砲……【マギ・バスターキャノン】は長射程かつ範囲が広い魔力エネルギー兵器らしい。
その兵器が最大出力で放った場合は、今私達が対峙している帝国軍のMGTならば、一瞬で屠れる程の威力だという。
出航後からあまり攻撃しなかったのは、武装面での解禁に時間が掛かったかららしく、今ようやく解禁できたという事なのだろう。
『フィールラスクスより各機へ! 今しがたチャージが完了した! これより主砲を発射する! 各機、射程外へ退避しろ!』
『来たか! ルキア、離れるぞ!』
「ええ!」
クラウド艦長から主砲を発射する旨を伝えてきたらしく、アルムと共に退避する。
そして、私達が退避した直後に主砲が発射され、帝国軍のMGTは瞬く間に消滅した。
「これが……主砲の最大出力での威力……」
私はあの主砲の威力が頼もしくあると同時に恐ろしさを感じた。
◇◇◇◇◇◇◇◇
【side クラウド艦長】
フィーアクロイツ共和国の内乱が魔王軍の七大幹部の一人が作り上げた出来事に衝撃を受けるも、何とかその幹部……【変化】のモーシャスを屠る事に成功した。
同時に、奴の洗脳術によって人ではなくなったかつての辺境伯の部隊をも屠らねばならない事態になってしまった事実も受け入れるしかない。
アリシア嬢は、一時納得がいかないと言わんばかりの反論をしたが、ルキア嬢とリーゼ嬢、そしてマイア王女の話でショックを受けて、現在艦内の自室に篭っている。
相当ショックなのだろうな。
そして、現在その隙を突く形で帝国軍のMGTが20機程攻めてきた。
だが、同時に今まで解禁できなかった我が艦の武装はようやく解禁できた。
皆には主砲のチャージが完了するまで時間稼ぎして貰っている。
「プラム曹長、主砲のチャージは?」
「只今完了しました。 いつでも撃てます」
「よし……」
オペレーターの一人の少女、プラム・マクラウド曹長が主砲のチャージが完了したと報告私にした。
部隊の多数が精神的にも疲弊が溜まっているから、この一撃で決めなければならない。
腹は括った。
「フィールラスクスより各機へ! 今しがたチャージが完了した! これより主砲を発射する! 各機、射程外へ退避しろ!」
私の号令に従うように、次々と射程から退避していく。
主砲の射程から味方の機体がいなくなり、帝国軍のMGTが射程内に捉えた。
「帝国軍のMGT全機、主砲の射程内です!」
「よーし、【マギ・バスターキャノン】一斉発射!!」
私の号令で、オペレーターがトリガーを引く。
同時に戦艦の主砲が一斉に発射された。
そして、その主砲は瞬く間に帝国軍のMGTを包み込み、爆発しながら消滅していった。
我が艦ながら、主砲の最大出力での威力は恐るべきだな。
「帝国軍のMGT、全機消滅しました」
「うむ……。 では、各機は持ち場の艦に帰還するように伝えてくれ」
「了解です」
プラム曹長が、全機に帰還命令を伝える。
次々とフィールラスクスやヒルデガルドに帰還する。
(さて、私も労いの言葉を掛けねばならんな)
そう考えながら、私は格納庫に向かうのだった。
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